アワレみ隊・歳の差最大47歳、みんなで1日中栗を食べまくる【恵那・中津川栗きんとんめぐり】

09:36
松浦軒本店の店内に入る。

名物のカステーラが並んでいるのが見える。

焼き色の付き方が、一般的なカステラと違う。カステラの四すみの焼き色が淡くなっていて、独特。まるで、まるごと一斤の食パンのようだ。

栗のお菓子はどうしても季節ものなので、秋以外はこのカステーラが主力商品なのかもしれない。

ただ、栗の季節、すなわち今まさにこの時ともなれば、栗づくしだ。カステーラと栗蒸し羊かんのセットなど、栗製品もショーケースを賑わせている。

「あ、栗粉餅があったぞ」

としぶちょおが言う。

「クリコモチって?」と思っていたが、ここでようやくクリコモチが「栗の粉の餅」であることを知る。そして、実物がどのようなものかも、知った。

栗きんとんはバラ売りが可能だけど、栗粉餅はバラで売っていない。最小単位が2個だ。

2個で360円なので、栗きんとんよりは単価が安い。

栗蒸し羊かん、栗きんとんが並ぶ中、「栗きんとんおこげ」なるものも売られていた。

しぶちょおが

「おっ、おこげが売られているなら食べたほうがいいぞ」

と言う。栗粉餅以上にあまり手に入らないものらしい。

なんだなんだ?今回の旅は、アホみたいに栗きんとんを食べ続ける予定だったが、「栗粉餅」だの「栗きんとんおこげ」といった見知らぬレアアイテムが次々でてくるんだな。

しぶちょおによると、「栗きんとんを作るために栗を炊いた鍋底に残った『おこげ』を剥いで集めたもの」なのだそうだ。おお、それはうまそうだ。

このお店は、イートインというと大げさだが、ちょっとしたベンチが店内にある。お店で買ったものをぱっとつまむことができるので、ありがたくこのスペースを使わせてもらうことにした。

まずは気になる、初対面の「栗粉餅」。

お弁当で煮物とかを入れる容器(おかずカップなどと呼ばれるもの)に、お餅が入れられ、そのお餅おを覆い尽くすようにそぼろ状の栗がまぶしてある。

栗きんとんはもともと賞味期限がとても短い食べ物だが、栗粉餅は当日中なんだって。餅が固くなるかららしい。赤福みたいなものか。

松浦軒で購入したものをずらりと並べる。栗おこげ、栗きんとん、栗粉餅。

栗きんとんは、先ほど食べた大木菓子舗のものと違う味わい。

栗粉餅はそのうまさに驚いた。純粋に栗を楽しみたい人にとっては栗きんとん一択なのだろうが、甘味としては栗粉餅のほうが僕の口にあった。餅の柔らかさ、栗の深い味わいと甘み。「モンブラン」などと称して洋菓子になってしまった栗とは大違いの、渋い、熟練のうまさがある。

そぼろ状態の栗を残さず食べるのはちょっとむつかしい。でも、人目を憚らず、容器を傾けて口にそぼろを流し込みたい気持ちになる。それくらい、うまい。

栗おこげも、栗きんとんの素材を使った兄弟分。これは香ばしさとせんべいのような食感が楽しい。

まいったな、どれもうますぎるじゃないか。

でも、敢えていうなら、栗粉餅に心底惚れた。どうせ今日一日で恵那・中津川の栗きんとんを食べきるのは無理なんだから、「栗粉餅を売っているお店だけに限定して巡るツアー」にしても良いくらいだ。

でも、「栗きんとんマップ」というのは恵那市も中津川市もあるけれど、「栗粉餅マップ」は存在しない。今後、行く先々で栗粉餅に出会ったら必ず買うようにしよう。

弊息子タケもご満悦。

栗きんとんをはじめとするお菓子を親がどんどん買って、それのお裾分けが自分に回ってくるからだ。

普段、なかなか甘いものを食べる機会が与えられていない彼にとって、今日はボーナスデーになっている。

「お前、やるやんけ」という感じでいしの肩をポンポン叩いている。

清酒「女城主」の蔵元が松浦軒の近くにあった。

そこには大きなソフトクリームの立体看板も。

蔵元の中をちょっと覗いて、店内の商品を眺めている間に、タケはいしにソフトクリームを買ってもらっていた。

「あれっ、ソフトクリーム買ったの?」

びっくりした。というのも、いしはタケに対して「甘いものは基本的にあまり食べさせない」方針で接してきたからだ。

ソフトクリームを買い与えるとすれば、どちらかというと僕のほうだと思う。

いしは、立て続けに2軒の美味なる栗きんとん屋を巡ったことで、嬉しさが極まってしまいお財布の紐が緩んだようだ。珍しいことがあったものだ。(ちなみにこれ以降、タケは旅行先で大人と同じサイズのソフトクリームを当然のように食べるようになった。これまではせいぜい、大人のものを一口二口シェアする程度だったのに)

思いがけないボーナスに喜ぶタケだが、いしもこの「いかにもアワレみ隊的な、コンプリートしないと気が済まないクセ丸出しのお店巡り」の流儀に喜んでいる。

車を停めている場所に戻りながら、お店を眺めていく。行きの際にはまだ開店していなかったお店も、ぼちぼち営業がはじまっている。

おっ、なんだこれは。

店頭に売られているのは「おにまんじゅう」という食べ物。

これは・・・?かき揚げのように見える。しかも、賽の目状にカットしたさつまいもの。

しぶちょおに聞くと、「東海地方ではよくある食べ物」なんだそうだ。驚いたなあ、今日は立て続けに見たことも聞いたこともない食べ物が次々でてくるぞ。まだ朝の10時前なのに。

製法について調べてみると、さつまいも、小麦粉、砂糖が原材料で、蒸して作るものらしい。へえー。

これも栗きんとん同様、うまいだろうな。

買ってみてもよかったのだけど、頭の理解が追いついていなかったのでそのまま素通り。

先ほどみかけた、五平餅の看板を掲げているお店。

「あれっ、ここでも栗きんとんが売られている!」

びっくりした。こんなさりげないお店でも栗きんとんって売られているのか。もっと格式張った「老舗和菓子店でございます」というところじゃないと売っていないのかと思ったのに。

というより、恵那市のwebサイトで市内の栗きんとん屋が紹介されているのでそれを参照しながら今日の旅を続けているのだけど、webに載っていないお店も存在する、ということなのか。

「えー、どうしようかなあ」

あくまでも恵那市のwebに載っているお店をコンプリートすることを優先するか、それとも栗きんとんが目に止まったならコンプリートするのか。

ちょっと躊躇したが、1個買うことにした。決め手となったのは、「当店の栗きんとんは天然山栗を100%使用しています」と書いてあったからだ。えー、栗林で採れた栗じゃなくって、山に分け入って栗を拾ってくるの?それは大変な手間だ。

このお店の山栗の栗きんとん。

とても印象的なお菓子だった。まず、色が他のお店のものと比べて黄色がかっている。そして、食べると、華やかな栗の風味が口に広がった。適切な例えではないのかもしれないが、「フレッシュな栗だな」と思わず形容してしまった、そんな味。これは美味しかった。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 今や東京都内のデパートに並ぶ中津川の栗菓子❗️出身者としてはなるほど🧐と感心しきり
    所謂,地域起こしかな⁉️季節の贈答品としては喜んで頂けますね、

  • 桂川保彦さん>
    贈答品として栗きんとんをいただいたなら、かなり嬉しいですね。
    ただ、贈る側としては、恵那地方の栗きんとんはおせちに入っているのと違うんだ、という説明をしなくちゃいけなくて面倒かもしれませんね。
    希少な存在なんだよ、と説明しても、贈られた側が「へーそうなんですかー」の一言で済ませてしまうと、相当ガッカリしそう。

  • 栗の和菓子
    中津川が有名ですが
    恵那市にも
    地元の人に人気の栗菓子が
    いっぱい有ります
    次回は是非来て下さい

  • 加トちゃんさん>
    今回、恵那の栗きんとん・栗粉餅もあれこれ食べて美味しかったです。
    ルートイン恵那のすぐ隣にトレーラー型のホテルがあって面白そうなので、次はそこに泊まりつつ周辺の食べ歩きをやってみたいですね。

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