いしが仕事がらみで岐阜県の恵那市に行くことになった。スポーツの日三連休だ。
休みの日なのにご苦労なこっちゃ、と思ったら、諸経費すべて自腹だという。えっマジか、職場から出張経費が落ちないのか。高くつくなぁ。
自腹で自爆する決意を固めたいしは、その勢いを駆って「ついでに二人(僕と、弊息子タケ)も恵那に来たら?」と秋波を送ってきた。どうせ金がかかるんだ、ホテルの部屋に1名泊まろうが3名泊まろうが値段が3倍になるわけではあるまい、というわけだ。
ヤケクソ過ぎる提案に呆れつつも、僕とタケも恵那に行くことにした。
あっち方面に行くなら、名古屋にいるしぶちょおに話を通しておかなければ。「かくかくしかじかで、恵那に行くことになりまして」と一報を入れておく。
それなら、ということであれこれ協議した結果、恵那と中津川の栗きんとん屋さんを巡ることにした。ちょうど栗きんとんの季節だということと、お店巡りというスタンプラリー要素がいかにもアワレみ隊的だったからだ。
本当は2泊3日でしぶちょお・ひびさんと恵那近辺でキャンプをすることまで検討し、近隣のキャンプ場を調査していた。しかし、こちらの都合と合致するキャンプ場が見つけられず、断念した。
テント類を現地でレンタルできたとしても、当日雨が降られたら困る。なにしろ、僕は遊びで恵那に行くけれど、いしは業務途中だからだ。雨の中キャンプをやって、翌日は朝8時半には始業、というのは大変だ。
コテージや貸別荘を一棟借りることも考えたが、行楽シーズン3連休ということもあって空きが見つけられなかった。
グランピングなら空きがあちこちで見つかったが、一人1泊2万円以上するキャンプをするのはためらわれた。どうせエイヤッとやるなら、いしが仕事ではなく、全員がのんびりできる時に限る。今はまだその時期じゃない。
しぶちょおたちとはキャンプをやりたいので、2025年はなんとかそういう計画を立てたい。
で、不本意ながら恵那のビジネスホテルに2泊する僕らと、最終日の3日目に合流することとなったしぶちょお・ひびさん。目指すは、栗きんとん屋だ。
中津川の栗きんとんについては、以前木曽檜の産地である赤沢自然休養林に行った最終日に食べる機会があった。
おせちに入っている栗きんとんは、「栗の甘露煮を、裏ごししたさつまいもで包んだ黄色くて甘い食べ物」だ。しかし中津川の栗きんとんはもっと素朴で、茹でて潰した栗に砂糖を混ぜ、整形したものだ。ダイレクトに栗の味が伝わってくるので、とても美味しい。
美味しいだけでなく、中津川の各地にある和菓子店ごとに栗きんとんの味が違うので、その食べ比べが楽しい。栗を荒くクラッシュしたものが入っている店もあるし、なめらかな食感を追求したものもある。食材がシンプルゆえ、各店舗の腕の見せ所が際立って面白い。
中津川は観光協会が「栗きんとんマップ」を作っていて、栗きんとんを市の重要な観光資源として大々的に売り出している。
しかし、栗きんとんって中津川市に限定的なお菓子なのだろうか?お隣の恵那市はどうなのだろう?と調べてみたら、恵那も栗きんとん屋さんが何店舗もあることがわかった。おっ、それは知らなかったぞ。
https://www.kankou-ena.jp/gourmet/kurikinton.php
しぶちょお・ひびさんと合流する日は、まずは恵那の栗きんとん屋さんを巡り、一通り食べ歩いたら中津川に移動し、時間が許す限り中津川の栗きんとんを食べることにした。
2024年10月14日(祝)
1軒目:大木菓子舗(明智町)
恵那市で一番早くから開店するお店はどこ?と調べてみたら、明智町の「大木菓子舗」だった。朝9時の開店。
恵那の栗きんとん店舗の中では一番遠い場所にあるので、渡りに船だった。ここを起点として、食べ歩きを始めよう。
9時前に到着したら、お店の駐車場にすでにしぶちょおの車が停車していた。
しぶちょおと会うのは2年ぶりだ。
再会を喜びながらも、開店を待つ。
しばらくすると、店頭の黄色いパトランプが光り、くるくると回り始めた。
「おっ!?パトランプが光ったぞ。まるで名古屋の喫茶店みたいだな」
「まあな、このあたりもそういう文化を受け継いでいる」
「和菓子屋でもパトランプがあるのか・・・」
よそ者の僕が名古屋界隈でいつも感心するのが、喫茶店をはじめとしていろいろなお店が「ただいま営業中!」ということを伝えるために黄色いパトランプを光らせていることだ。そういうルールがあるわけじゃないのに、定着しているご当地ルールだ。
和菓子屋もパトランプだなんて、とは思うが、車で通り過ぎる時や、遠くから歩いてくるときでも、「あっ、今日は営業しているぞ」とか「休みの日だったかー!」とわかるのでとても便利だ。
あまりクールな見てくれではないけれど、機能重視で考えるととても良い文化だ。
「栗むし羊かん」「栗きんとん」の看板が店頭にでている。よっしゃよっしゃ。
店内の様子。
ガラスのショーケースに箱詰めされたお菓子が並んでいる。食品サンプルが置いてあるわけではないので、いったいどういうお菓子なのか、買ってみるまでわからない。
「楓もなか」というお菓子がずらりと並ぶ。
栗きんとんはあるかな・・・と探したら、あった。
バラでも購入できるので、ありがたい。
栗きんとんは日持ちしないお菓子だ。赤福並みに日持ちしない。なので、朝イチの来店だと、「まだ今は今日の分を職人さんが作っている最中でして~あともう少しすれば出来上がると思うんですけど」と言われるんじゃないか?と心配だった。でも、問題なく朝9時でも買うことができた。
さっそく、お店の駐車場で食べることにする。
どこかベンチがある公園にでも行って、なんてやってるといくら時間があっても足りない。今日は15時までに中津川のレンタカー屋さんに車を返さないといけないんだ。どんどん食べてどんどん次のお店に行きたい。
しぶちょおが渋い顔をして言う。
「最近、栗きんとんの人気が出すぎてなー、えらい道が混むようになったんよ」
そういえば2日前、仕事終わりのいしをピックアップして栗きんとん屋さんのひとつ・恵那川上屋に行ったのだが、日没で薄暗い山の中だというのにギョッとするレベルで客がいてびっくりした。駐車場には何人もの警備員がいるし、店内はレジ待ちの人がメッカのカーバ神殿のようにぎゅうぎゅうに渦巻いている有り様。
「恵那川上屋のあたりは特に渋滞するんよ。今日は行けんかもしれんな」
あ、やっぱりそうか。でもまあいい、昔なら「何が何でもコンプリート」と意気込んでいたものだが、今は良い意味で肩の力が抜けている。「全店舗制覇できなくてもいいや」と思っている。というか、恵那と中津川の栗きんとん屋は数が多い。到底巡りきれない。
大木菓子舗の栗きんとん。
つぶつぶが若干残っている。
味のコメント?いや、いちいちボイスメモなどで記録を取っているわけじゃないので、覚えていない。というか、忘れた。食べた瞬間は「うまい!」とか「さっきと比べて◯◯だね」などと会話をしていたのだけど、数軒食べ歩いているうちにだんだん自分の基準が曖昧になってきて、何を物差しに評価しているのか、わからなくなってしまった。
今回、「どのお店がオススメ」なんて言うつもりはないので、とにかく栗きんとんを食べ歩いた記録として読んでほしい。
2軒目:松浦軒本店(岩村町)
場所を移動して岩村町へ。
以前、アワレみ隊で「日本三大巡りの旅」をやったとき、「日本三大山城」の一つとして岩村城に行った時以来だ。
岩村に到着してみて驚いた。あれっ、ここ、宿場町だったのか。
かなり長ーい、古い町並みが現存している。まだ朝で人が少ないこともあって、とても気持ちが良い場所。
以前岩村城を訪れたときは、先を急いでいた。なので、この宿場町を探索する機会がなかった。
それが今回は、「たぶんこの辺だと思うけど・・・どこに車を停めればよいかわからないから、一旦歩いていこう」ということで、思わぬ宿場町散歩ができた。
弊息子タケ、ベンチで一休み。
傍らには、端材が500円や100円で売られている。何か使い道がないものか、と思ったが、思いつかなかったので買うのをやめた。端材って男のロマンだよな。いりもしないのに、なんだか欲しくなる。
「100円くらいだったら・・・」と思うが、妻子に説明がつかないので諦めるしかなかった。なにせ、使い道がないのだから。
タケ、五平餅団子が気になって寄り道をしようとする。待て、今日は栗きんとんがお目当てだ。
あった、松浦軒本店。
立派な佇まい。呉服屋や酒屋がこの外観ならわかるが、和菓子店でこんな間口が広いのはすごい。
看板には「カステーラ」と書いてある。
どうやらこのお店はカステラ推しらしい。
大丈夫だろうか、そんなお店の栗きんとんを食べても美味しいだろうか?モンブランみたいなのが食べたいわけじゃないんだ、僕らは。
しぶちょおが
「そうこれこれ、栗粉餅。これが美味いんよ」
と黒板を指差す。そこには、「土日祝のみ販売」と小さく書かれた、「栗粉餅(くりこもち)」の字が。なにそれ。聞いたことがない。
「餅に粉末状にした栗きんとんがかかっているものだよ」
と教えてもらったが、さっぱりイメージがつかない。でも、しぶちょおが推薦するものに外れはない、ぜひ栗きんとんとともにその「栗粉餅」も食べよう。
僕もさることながら、いしがウッキウキしている。こういうアワレみ隊的食べ歩き企画は殆ど経験がないので、嬉しくて仕方がないようだ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (4件)
今や東京都内のデパートに並ぶ中津川の栗菓子❗️出身者としてはなるほど🧐と感心しきり
所謂,地域起こしかな⁉️季節の贈答品としては喜んで頂けますね、
桂川保彦さん>
贈答品として栗きんとんをいただいたなら、かなり嬉しいですね。
ただ、贈る側としては、恵那地方の栗きんとんはおせちに入っているのと違うんだ、という説明をしなくちゃいけなくて面倒かもしれませんね。
希少な存在なんだよ、と説明しても、贈られた側が「へーそうなんですかー」の一言で済ませてしまうと、相当ガッカリしそう。
栗の和菓子
中津川が有名ですが
恵那市にも
地元の人に人気の栗菓子が
いっぱい有ります
次回は是非来て下さい
加トちゃんさん>
今回、恵那の栗きんとん・栗粉餅もあれこれ食べて美味しかったです。
ルートイン恵那のすぐ隣にトレーラー型のホテルがあって面白そうなので、次はそこに泊まりつつ周辺の食べ歩きをやってみたいですね。