フィトンチッドでいこう【赤沢自然休養林】

アワレみ隊、つかの間の休息。

日 時:2017年(平成29年) 09月23日-25日
場 所:赤沢自然休養林(長野県)
参 加:おかでん、ばばろあ、ひびさん、しぶちょお(以上4名)

最近活動がほとんどなかったアワレみ隊だが、2017年GWの長崎遠征で弾みがついた感じがする。今年二度目の企画が、9月に立てられた。

過去3年くらい、僕はアワレみ隊の活動を脇においてでも大切にしてきた余暇があった。でもそれも一区切りつき、今は身軽な立場。むしろ過去3年を取り返すつもりで、最近はあちこち繰り出している。財力の都合上、「さすがにこれは無理だぁ!」という時もあるけれど。

たとえば7月に、ばばろあやしぶちょおたちは広島で集まっている。僕も当然声がかかったのだけど、東京に住んでいておいそれと広島には遠征できなかった。我が出身地の広島だけど、すでに両親は岡山に移住し、僕が寝泊まりする拠点は残されていないからだ。往復運賃+宿代を考えると、4万円近くがかかってしまう。「イベントに貴賎なし」と思ってはいるけれど、どうしても選別をしてしまう。

場所を選ぶ、という点ではアワレみ隊のアクテイブメンバーの一人、ばばろあもそうだ。彼は山口在住だが、最近「イベントに行けても名古屋あたりまで」と公言している。愛知以東になると、交通費・時間・気力体力すべての面においてしんどくなるからだ。まあ、そりゃそうだ。

これまで彼は香川県に住んでいたときも、岡山に住んでいたときも、兵庫県に住んでいたときも、律儀に長野県の蕎麦食べ歩きに参加していた。でもそれが、むしろ異常とも言えるフットワークの軽さだったにすぎない。ばばろあはようやく最近「我に返った」とも言える。

「東京に来りゃいいじゃないか。自分の家に布団はあるから、好きに使ってくれてもいいんだぞ?お前、国立国会図書館で資料をあさるために東京に来ることがあるだろ?」

と聞いてみたら、ばばろあは「いやー」と首を振る。

「最近はネットがあるんでね。わざわざ国会図書館に行かんでも、お金さえ払えば資料は手に入るんよ」

なるほど。地方の人にとっては良い時代になったものだ。

こうなるとアワレみ隊における東京というのは、辺境の地となる。そして、中心地は中京エリアから阪神エリア、ということになるのだった。

さて今回だが、しぶちょおから「赤沢自然休養林に行こうと思っているのだが、一緒に行く人はいるか?」という照会がアワレみ隊メーリングリストに投げ込まれたことに端を発している。

なにそれ。聞いたことがない場所だ。

その頃の僕はというと、週末は様々な予定が立て込んでいてバタバタ、平日は残業続きでこれまたバタバタ、という有様だった。帰省したり、半分徹夜状態で大曲花火大会に行ったり、山に登ったり。しかも、今回の日程の数日前まで、3泊4日で北海道に行っているという有様。もう、ヘトヘトだ。

「なんでこんなに過密スケジュールなんだ」と嘆いている最中、しぶちょおからの企画提案は無謀だと思われた。しかし、他でもないしぶちょおからの提案で、久しく彼とも会っていないから今回会っておきたかった。そして、聞きなれない「赤沢自然休養林」について調べてみたら、まさに今の自分向けの場所だとわかった。

そこで、「行く」と即答した。普段なら、しばらくグダグダと様子見をする性分だけど、今回はわりかし即決だったと思う。

しぶちょおが提案してきたのは、赤沢自然休養林内にある民宿「去来荘」に泊まる、というものだった。その公式サイトを見てみると、こう書いてあった。

何もない
何もしない
ただそこにいる。

この一文で僕は「あっ、これだ!ここに行こう!」と決めたのだった。しかも、ダメ押しで

憩いの一時、静かにのんびりを大切にしたい
「大人だけの宿」です。

と書いてあるの、すごくいい。

「何もしない」というのはアワレみ隊らしくない。でも、40代半ばになってきたアワレみ隊御一行様、たまにはこういう「何もしない」活動というのを僕らなりにやってみたい。
僕は、

「何もしないでゆっくりしたい」

と企画を具体的に検討しはじめる早々に宣言した。つい色気を出して、近所の散策・・・なんてこともやめよう、ただひたすらダラダラしよう、という考えだ。逆に、そうでもしないと僕がヘロヘロだ。

ところで、去来荘という宿の話はともかく、そもそもの「赤沢自然休養林」ってなんだ?

場所としては、木曽の山奥。岐阜県との県境からもそう遠くない。御嶽山や開田高原があるエリアの南側だ。

アワレみ隊は木曽界隈も蕎麦の食べ歩きで訪れているけど、さすがに蕎麦屋が存在しない山奥までは足を踏み入れていない。赤沢自然休養林?聞いたことすらなかった。

しぶちょおはここに一度日帰りで訪れたことがあり、それがとても素晴らしかったので今度は泊まりで訪れたいのだという。へー。

名前からすると、「県立森林公園」的な場所っぽい。そんなものは全国各地に存在していて、「公園って名前をつけたもん勝ちだよね」という場所も、正直ある。単なる山じゃん、って。でも、しぶちょおを魅了させたというからには、そんじょそこいらのものとは何か違うようだ。

「木曽ヒノキの産地なんだよ」

しぶちょおが熱弁を振るう。

「伊勢神宮のご神木にも使われる木だぞ」

ああ、なるほど。そういえば木曽といえばヒノキの産地だ。それは知っているけど、ええと、ヒノキって温泉旅館の檜風呂くらいしか、馴染みがない。香りがいい木、だよね。え?歴史ある神社仏閣の材木って、ヒノキが使われているの?

そんな木が生える森、それが赤沢自然休養林なのだという。樹齢300年を越えるヒノキが天然で生えており、昔は林業が盛んだったけど今では環境が保護される場所になっている。

ヒノキ林か。そういえば、見たことがないかもしれない。

ヒノキは北限が福島県で、それより北には生えないという。また、雪に弱いので太平洋側中心に生える木だという。でも、「ヒノキ林」っていうのは東京界隈では聞いた記憶がない。でも、花粉症の人が、「スギ花粉だけじゃなくてヒノキ花粉でもアレルギーが出るから、長い間しんどいんだよね」と言っているのを何度も聞いたことがある。ということは、東京近郊でも花粉症を引き起こすくらいのヒノキの林が存在するのだろう。

それはともかく、ヒノキの林に囲まれたところでゆっくり過ごす。最高じゃないか。ヒノキ風呂は、その香りがなによりも癒やしをもたらしてくれる。それが、風呂でなくても、24時間ずっと感じられる空間なのだからすばらしい。ぜひ、ゆっくりしよう。

とはいえ、「周囲でお昼ごはんを食べる場所はあるかな?」と、ちょっと色気を出してあれこれ調べたのは事実。でも、分かった事実は「あまりに山奥すぎて、何にもない」ということだった。小一時間かけて木曽福島に行ったり、開田高原に行けば蕎麦屋が何軒もある。しかし、ちょっとそれは遠すぎるようだ。これは、おとなしく休養林の中で休養せよ、というお告げにほかならない。

よし、開き直って2泊3日、ここでだらーっとすごそう。

ちょうど、この赤沢自然休養林には何本ものトレイルルートが用意されていた。ヒノキ林を散策してのんびりするのは格好の暇つぶしだ。写生でもやってやろうか、なんて気にもなったけど、いやいや、余計な要素を入れちゃダメだ。おとなしく過ごそう。

こうして、アワレみ隊4名によるツアーは、「森の奥でひっそり過ごす」という趣旨で参集された。

2017年9月23日(土)

オールフリー1

07:21
朝の東京駅ホーム。

名古屋に向かう新幹線に乗るため、ここにいる。

木曽の山奥に向かうために、名古屋経由で行くか、それともレンタカーを調達して車で行くか、の二択だった。あれこれ検討した結果、みんなで名古屋から出発、ということに落ち着いた。

「えっ?東京から長野に行くのに名古屋経由?」

と一瞬思うだろうが、長野とはいえそういう立地条件なのが、木曽だ。東京からのアクセスでは、むしろ名古屋を経由したほうが近かったりする。

昔の僕なら、ウキウキと朝6時発の始発新幹線に乗車していたと思う。しかし今回は始発から1時間以上遅い便での出発だ。さすがにここ最近の疲弊著しく、朝4時代に起きるのがしんどかったからだ。

前日は雨の中、会社の同期たちとビアガーデンで宴会をやっていて、帰宅したのは23時近く。旅行の荷造りをするのさえ、しんどかった。

「そこまでして旅に出なくてもいいのに!」と思うが、いやいや、今回はこれから休養に行くのです。癒されにいくのです。そのためには、今日は少しだけ早起きしてもいいの。たぶん。きっと。

そんなわけで、現時点ではまだ癒やされていないおかでん中年、重たい体を引きずりながらメガステーション・東京駅をさまよう。新幹線の出発までまだ少し時間がある。ここは一発、何か我が老体にカツを入れるものがほしい。「さあ!これからツアーが始まるぞ!」というなにか、だ。

最初は、駅弁を買おうと思っていた。しかし、東京駅が誇る巨大駅弁売り場「祭」が、早朝にも関わらず人が溢れごった返しているのを見てやる気を失った。

で、宙ぶらりんの気分のまま新幹線ホームに来てしまった。今更駅弁というわけにはいくまい。じゃあこんな僕を慰めてくれるのはノンアルコールビールだよね、ということでキオスクに行ってみることにした。

ノンアルコールビール。ようやく市民権が得られつつある飲み物ではあるけれど、まだまだ取り扱いが少ない「ややマイナー」な飲み物だ。飲食店でも扱っていないところは案外あるし、キオスクのような駅の売店でさえ、取り扱っていないお店が多い。

新幹線ホーム上のキオスクで、「サントリーオールフリー」を発見した。お値段は147円。

うーん、値段はともかく、「オールフリー」が欲しいんじゃないんだよなぁ。この飲み物、丁寧で上品な味わいだとは思うけど、僕がノンアルコールビールに欲しいのは、もっとガツンとした炭酸の刺激だ。だから、飲むとすれば「アサヒドライゼロ」に限る。

ドライゼロが売っていなかったので、一旦パス。新幹線ホーム上には、数十メートルおきに売店がある賑わいだ。時間の許す限りハシゴして、ドライゼロを探そう。

オールフリー2

あれっ?

何軒もホーム上のキオスクを見比べていたら、同じ「オールフリー」でも値段が違うことに気がついた。

グリーン車の前にあるキオスクの場合、お値段は165円だった。先ほどのキオスクから100メートルも離れていないのに、値段が17円も違う。

グリーン車に乗るようなお金持ち相手のお店は、割高な価格設定にしているわけだ。JR東海、商売上手だなあ。

感心している場合ではない。早くしないと新幹線が出発してしまう。結局、ホーム上でドライゼロを発見することができなかったので、おとなしくオールフリーを買って乗車した。もちろん148円のほうで。

名古屋駅に向かう

07:27
オールフリーで、これからの出陣を記念して一人乾杯。

プシっ!

ごきゅ、ごきゅ・・・おおおう。

喉をキュッ!と締め付ける刺激。

さあ、これから日常とは違う時間が始まるぞ!という、内外への宣戦布告だ。

しかし、当然これを飲んでも酔っ払わないわけであり、しかも糖質ゼロ、カロリーゼロときたもんだ。朝酒・昼酒独特の「罪悪感と背徳感」というのがまったく沸かない。なので、飲んでいる最中に「だから何なんだ?」という気にすーっと陥る。我に返る、という表現がただしい。

いやいや、冷静になっちゃダメだ。これはそういう飲み物なんだから。「だから何なんだ?」なんて身も蓋もないことを考えてはいかん。

いずれにせよ、この儀式をもってアワレみ隊木曽ツアーの幕が開けた。おかでんの中で。

きしめん屋@名古屋駅

09:21
時間は流れて9時過ぎ。名古屋駅に到着し、在来線に乗り換える。

集合場所は、名古屋駅ではなく、JR中央本線の千種駅に指定されていた。しぶちょおがレンタカーを借りるお店が千種駅の近くにあるからだ。

在来線ホームに行ってみたら、ちょうど目の前にきしめん屋がある。

「ほほう?」

わかっているくせに、まるで初めて遭遇して「意外だった!」という体を装い、お店の様子を遠巻きに見つめる。

名古屋駅のホーム上にあるきしめん屋、というのはB級グルメの世界では特に有名だ。

「きしめんを食べるならわざわざ駅の外に出る必要はない、名古屋駅のが一番うまい」

なんて言われた時期もあった。そして、通な人は

「食べるなら新幹線ホームのお店だね、在来線ホームのお店よりもうまい」

なんて語る。

・・・実際、そこまで言うほどうまいとは思わない。少なくとも僕は。何度も名古屋駅できしめんを食べたけど、初戦は立ち食い屋の麺料理の域を超えない。その範疇でならうまいと思うけど、予め過剰に期待してから食べると「なんだ、こんなものなの?」と思ってしまうだろう。

で、僕は通常なら新幹線ホームのきしめんを食べるので、今回は敢えてそこを素通りして在来線ホームにやってきたというわけだ。

おい、食べる気マンマンじゃないか。

いや、そういうつもりはないんですけどね。あれ、おかしいなあ、電車の接続にまだしばらく時間がありそうだなぁ。

空きのきのこきしめん

半分薄ら笑いを浮かべながら、「何かの気の迷いがあったら食べちゃうかもよ?押すなよ?押すなよ?」と思っていた。

そんな僕の背中をドン、と押したのが店頭のポスターだった。

期間限定 秋のきのこきしめん

アカーーーーン!「期間限定」という言葉に弱い上に、「秋の」というズバリ季節感、さらには僕が好きな「きのこ」が全面に出ている料理ではないか。

これはもう、不可抗力やね。逃げられないね。ブラックホールやね。

そのままするすると店内に入ってしまった。

あー。最近はストレス太りなので、今回のツアーを目前に、せめて朝飯は抜こうと思ったのに。

食券機

自動食券機。

一番高いきしめんは名古屋コーチンきしめんで、お値段870円。駅ホームの立ち食い店で出す値段じゃない。誰が食べるんだ、これ?観光客だろうか?

それよりももっと気になるのが、このお店には酒が置いてあるということだ。以前名古屋を訪れた際も、ホームの立ち食い屋に酒があることが不思議だったのだが、今回もそう。名古屋ではこういうのが当たり前らしい。

狭い厨房にもかかわらず、誇らしげに生ビールサーバが銀色に輝きながら置いてある。生ビールはれっきとしたメニューだ。しかも、サイズが小・中・大と3つもあり、居酒屋顔負けの品揃え。誰がここでで大ジョッキを飲むんだ?

それだけじゃない、本醸造酒370円とか、(冷)吟醸生貯蔵酒390円、なんてボタンもある。本気で飲むモードだぞ、これ。

夜になると、こういうところを居酒屋代わりにして酒を飲むおっちゃんたちが多数いるのだろうか。

それとも、きしめんが出来上がるほんの僅かなスキに、キュッ!と一杯あおり、その後そそくさときしめんを食べて後腐れなくお店を後にするのだろうか?

あっ、下の方に、「枝豆」とか「どて」というメニューがある。こりゃあ、居酒屋顔負けだぞオイ。

こういうのを見ると、東京はまだまだだなーと思う。こんなお店、都心の駅で見たことがない!

いや、違う違う、東京のような人口超過密地の駅で酒を提供しちゃうと、混乱をきたす。多分やれば儲かるのだろうけど、敢えてやっていないんだと思う。

きのこきしめん

秋のきのこきしめん。

きのこを食べて満足。

千種駅にもきしめん屋

09:40
名古屋駅から数駅、千種駅到着。

ホームに降り立つと、ここにも立ち食いきしめん屋があった。かなり巨大で横幅がある。

そして笑ってしまうのが、ガラス戸の上の看板に

「そば きしめん 生ビール かん酒」

と書いてあることだ。もちろん、店内には銀色の生ビールサーバがコンニチハしている。

どんだけ酒を呑むんだ、名古屋の人は!

おそらく、居酒屋利用で長逗留するお客さんがいるからこそ、大きめの店構えになっているのだろう。ものの数分で食べ終わる立ち食いきしめんで、こんなに大きなお店はいらないはずだ。

でもこういうところでのサク飲み、いいよな。会社帰りに一献。飲み会の帰りに、シメの一杯。