
15:41
この先に展望台がある、とパンフレットには書いてある。
「いやー、さすがにこれは無いだろう?そこまで坂道になっていないぞ?」
「午前中見た、あの展望台もどきみたいな見え方だろうな」
あまり期待せずに、歩く。
このペースだと、ひのきの木の高ささえ超えられないに決まっている。となると、遠景が見えたとしても、「木々の隙間から」なのだろう。

15:48
おっと、正面にベンチが見える。ということは、あれが展望台・・・なのか?

ご丁寧に、ひな壇のようなものが組んである。この上に登って絶景を堪能せよ、ということらしい。
でもそのすぐ目の前に、木が邪魔をしているんですがこれは?
とはいえ、「乗鞍岳眺望」という看板が出ているので、これがその展望台で間違いない。

あー。
まあ、わざわざ見るまでもないだろう、とは思っていたけど。
雲のせいで乗鞍岳は見えなかったし、見えたとしても本当に絶妙な隙間から、ということになっていた。なんですかこの覗き趣味みたいな世界は。

15:57
整備された道を歩いて、ごくごくなだらかな下り坂を下っていく。
このあたりは木々が細く、密集している。樹齢は80年くらいなのだそうだ。

いきなり、パカーンと開けたところがあった。モーセの十戒のようだ。
もちろん人工的に切り開いたものだ。山火事の延焼を防ぐための防火帯・・・じゃなさそうだ。それにしては、幅が細すぎて火事はまんまと炎症する。
どうも、ここにワイヤーを通し、山の上で切った木材を吊るして下まで運んだらしい。宙ぶらりんにして木材を運ぶための通路。

16:01
新しい木もあれば、古い木もある。

こういうところを歩くと、いかにも「森林浴効果」がある気がするだろ?実際そうだぜ、本当にリラックスするし、心が穏やかになる。
これまで、心を落ち着かせるには温泉しかない!と思っていたけど、森林浴ってすごく良いものだなと思った。どこの森でもいいってもんじゃない。こういう森じゃなくちゃ。
もし足元がぬかるんでいたりしたら、リラックスどころかイライラしてむしろ逆効果だ。適度に整備されているというのが大事。

このトレイルルートは、ところどころに解説看板があって楽しい。

16:03
執念ともいえる、歩道の手入れっぷり。
これくらいの平地なら、そのままでもいいじゃないか・・・と思うけど、みっちりとウッドチップを敷き詰めている。
こうすることで、「ルート以外のところには立ち入るなよ」ということを暗黙のうちに伝えているのだろう。柵を作って美観を損なうよりも、遥かに美しく優しい世界だ。

それにしてもどうしたらこうなるのかね。

「なぜ根は浮き上がっているのかな」
とまさに僕が今感じた疑問に看板が答えてくれていた。
木の切り株のところに新しい木が生えた場合に、こうなるんだそうだ。数十年をかけて切り株は朽ちてその姿を消してしまうけど、新しく生えた木は残る。だから切り株がもともとあった場所は空洞になっているというわけだ。

気持ち良い散歩

そして気持ち良いヒノキ林。
このあたりは密集しているし、樹齢がほぼ同じっぽい。こういうのが人口植林されたヒノキ、ということなんだろう。

ここにもワイヤーを通していた跡があった。

苔むした倒木。

「おや森林(もり)の中がすっきりしているね」
なんだかフレンドリーなヤツだな。あと、何を一人で感心してるのかね。
森が広々して見えるのは、アスナロを刈り払っているからだ、と書いてある。当たり前だけど、ほっとけばこんな美しい森になるわけではない。
(つづく)
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