フィトンチッドでいこう【赤沢自然休養林】

トレイルルート

09:45
2.7kmある「駒鳥コース」を歩く。

初日に歩いた川沿いの「ふれあいの道」を歩いていき、途中から川から外れて山の中に入っていく。道中、御神木の伐採地や大木がある、変化に富んだルートらしい。今回の総決算にふさわしい。

屋根が見える

09:53
なにか、屋根が見える。

外壁がない。休憩用のあずまやにしては形がシンプルすぎるし、倉庫にしても唐突だ。

御神木

近づいて見たら、大木の切り株が2つ、まるでおだいりさまとおひなさま、といった風情で並んで祀られていた。

御神木解説

御神木。

昭和60年に御神木として伐採されたものらしい。

伊勢神宮の式年遷宮は20年に一度行われることは有名だけど、一体いつの式年遷宮のために使われたのだろう。前回、62回目の遷宮が2013年(アワレみ隊が伊勢神宮詣でをしたとき)だった。

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61回目が1993年(平成5年)、60回目が1973年(昭和48年)。ということは、61回目の遷宮に向けて伐採されたということになる。1985年に伐採されて、遷宮は1993年。ざっと8年前だ。諏訪大社の御柱祭よりもさらに大掛かりな期間をかけていることになる。

もちろん、伐採するはるか前から、適切な木の選定が丹念に行われているはずだ。そして、その一連の作業のいたるところに、儀式があるはずだ。とんでもないスケールで展開されているに違いない。

興味を持ったので、遷宮に必要なヒノキの木の本数を調べてみたら、一回の遷宮で1万本だという。思わず笑ってしまった。1万本!山一つをはげ山にしても、まだ全然足りないだろう。こりゃあ大変なことだ。

じゃあ、赤沢のこのあたりがつるっ禿になっているかというと、そうはなっていない。このエリアで選りすぐりの木がたまたまここだった、ということで、あたり一帯総ざらいで伐採したというわけではない。

御神木解説

しぶちょおが言っていた、「三つ紐伐り(みつひもがり)」という独特な木の切り方が説明されていた。

独特な切り方

三カ所から木に斧を入れ伐採する、というやり方。複雑なので、以下のサイトで写真を見るとなんとなく理解できるはずだ。

https://wood.exblog.jp/2324661/

今時、斧で木を切り倒すなんていうことは滅多にないだろうから、この技術を持っている人は今や少なくなっただろう。それでも20年に一度、チェーンソー全盛のご時世であってもこのお作法はしぶとく復活するわけで、遷宮というのつくづく伝統を生きながらえさせる格好のしくみなのだな、と感心させられる。

ただ、ヒノキは20年で成長なんかするわけがない。100年でも足りない。200年で御神木になれるかどうか。そんな悠久の時を刻んでいるので、人間様の時間軸(神様の時間軸?)である「20年に一度」だと大変だ。山がいくらあっても足りない。

20年に一度、1万本のヒノキが必要になるわけで、ヒノキの成長に200年かかるとすると、同時に10万本の「伊勢神宮用のヒノキ」を育てていないといけない。もちろん、人間一代ではどうにもならないので、二代、三代と受け継いでようやく成り立つ世界だ。本当にすごい。

ただ、前回2013年はヒノキがいよいよ枯渇してしまい、青森のヒバ(あすなろ)が一部で使われたらしい。ヒノキは日本固有の種なので、「海外から輸入」というわけにはいかない。そもそも、伊勢神宮に「海外の材木」を使うというわけにはいくまい。

ヒノキ林

09:52
ヒノキがまっすぐ伸びる森の中を歩く。

切り倒された木

09:59
チェーンソーで切り倒されたヒノキが転がっていた。高級木材のはずなのに、なぜこんな無造作に放置されているのだろう。間伐のためだろうか?

「切っても、これを下界に運ぶ手間暇考えると割にあわないんじゃないか?」

確かにそうだろう、ここは重機も車も入れない山の中だ。これを頑張って運んでいくと、一本あたりいったいいくらになるんだ?

解説

現在、林内に伐採されているナラの木につきましては、遊歩道に枯れ木が落ちてくる危険がありましたので、平成28年2月に安全対策として処理させていただきました。

あれっ、ヒノキじゃなくてナラの木だったのか。

おい、ものすごく根本的なところで勘違いしていたぞ、恥ずかしいなあ、もう。

広場

10:04
森林鉄道の線路を超えて、川の反対側に渡る。

ここには、不自然に広い敷地がある。

解説

大樹(だいじゅ)、と書かれた看板があった。

御神木にするための、直径60センチ以上のヒノキなのだそうだ。木曽谷で18,000本、赤沢周辺で2,690本あるのだとか。

一回の遷宮で10,000本のケヤキを使うわけだから、木曽谷全体のヒノキをまるごと伐採しても、2回分にも満たないことになる。

森の中

気持ちのよい道を歩く。

川

10:15
ここにも床堰があった。

小川のような、浅い川だけど、この水流も材木を運ぶために使われていたのか。ちょっと今では想像がつかない。

昔はもう少し川が深かったのだろう。

解説

つめた沢床堰、という名前だそうだ。

木道

10:16
歩きやすい木道が設置されている。しかも手すり付き。

手すりまで作らなくてもよかろうに、と思うが、ありえないくらいに手間暇をかけている。尾瀬沼のような天然記念物の湿原地帯よりも手厚い。

(つづく)

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