3軒目:菓子匠 三久(長島町)
恵那市の中心街に、「三久」という和菓子店がある、という。
僕は「恵那市公式観光サイト『え~な恵那』」しか情報源としていなかったので、その情報は知らなかった。えっ、恵那市の公式観光サイトにも載っていない栗きんとん屋さんがあるのか。
「じゃらん」のような広告収益モデルの情報サイトなら、協賛料を払ったお店が掲載され、払わなかったお店は掲載されないというのは理解できる。しかし、市の公式サイトなのに、載ってるお店・載っていないお店があることには驚いた。
どういう因縁があるのだろうか?
因縁、というのは大げさとしても、何か理由があるのだろう。お店が掲載を断ったとか。
いずれにせよ、恵那には「え~な恵那」に掲載されている7店舗以外にも、栗きんとん屋さんはあるということがわかった。先程食べた山栗の栗きんとんを売っていたお店しかり。
https://www.kankou-ena.jp/gourmet/kurikinton.php
僕のような「コンプリートして満足感を得る人」にとっては、「え~な恵那」の情報に網羅性がないことが分かった時点でちょっとテンションが下がった。せっかく「恵那の栗きんとん、ワシは全部食べたことがある」と言い張りたかったのに。
いずれにせよ、そこに栗きんとんを売るお店がある以上は行ってみないと。
店名は三久。
カーナビで検索しても見つからない。電話番号で調べても、でてこない。
最近、Googleマップに慣れすぎてしまい、車載カーナビの検索能力の低さには驚きを超えて呆れてしまう。一方通行や車線変更といった情報精度はさすがだが、今回の旅のような、アワレみ隊がよくやる「食べ歩き」の旅には厳しい。特に最近、お店の電話番号が固定電話でなくなったり非公開になってきたので、ますますお店を検索しづらくなった。

10:42
「だいたいこのあたり・・・」
と探すことしばし、一回は道に迷うも、しばらく目的地周辺を探し回ってようやく見つかった。
ああ、これは見つけにくい。さりげないお店だ。

しかも駐車場が見つからない。
「おかしいな、この街なら車移動が基本だろうから、駐車できないわけがないんだが」
と途方に暮れたのだが、結論としてはお店の斜め向かい側、反対車線のほうにひっそりと駐車場があった。
なるほど、「え~な恵那」にお店の情報が載らないわけだ。
これはあくまでも推測だけど、このお店の情報を観光ウェブサイトに乗せて観光客がドシドシやってきたらどうなる?路駐、ゴミのポイ捨てなどで周囲に迷惑がかかる。だから、ひっそりと営業したいというお店の意向が働いたのではなかろうか。

お店に入ると、入口のすぐ左手が栗きんとんを作る場所だった。
機械で栗を絞り出している工程を間近で見ることができ、一同眼福。食べることもさることながら、栗きんとんを作るのを見ることができるのもこの時期ならではだ。
大型店では製造機械が店頭に置いていあることはないので、貴重なものを見た。

栗きんとん260円。
おっ、ここでも栗こもちが売られていた!4個入600円。ぜひ買わなくては。

ということで栗こもちを買った。
容器にお餅を入れ、その上から荒く裏ごしした栗粉をバラバラと振りかけている。
「これ、食べ終わっても栗粉が大量に余るね。もったいないね。どうやって食べきればいいのだろう?」
と悩んでしまう。
家だったらともかく、外出先で食べるので、この栗粉をうまく全部食べるのはなかなかむつかしい。

栗きんとんを買うのは当然として、「栗きんとん大福」なるものが売られていたのでそれも買ってみた。

三久の栗きんとん。
これまで食べてきたものと比べて、食感が滑らか。ツルッとしている。なんだろうこれは。
しぶちょおが言う。
「栗きんとんはトレハロースが入っているものと入っていないものがあって、食感が全然違うでな」
へえ、知らなかった。トレハロースなんて、「甘味料、添加物」というイメージしかなかったけど、食感を変えるほどの影響力があるのか。しぶちょおがいるといろいろ学びになる。教えてもらわなかったら、「なんか違うな?」と思う程度でスルーしていた。
確かに、原材料を見ると「トレハロース」と書いてある。
栗きんとんは「栗と、砂糖」だけで作ることができるお菓子だ。敢えてトレハロースを加えているということは、このお店としてなめらかな口当たりの栗きんとんを意図的に指向したことがうかがえる。
なお、wikipediaで調べてみたら、トレハロースを使うと渋みやエグみを抑える効果も期待できるそうだ。つまり、三久の栗きんとんは、上品な栗菓子を目指した作品、ということになる。
敢えて栗の一部を粗みじんにして栗の野性味を主張させる栗きんとんがある一方で、その逆を目指す栗きんとんもある。面白いね。これだから食べ歩きは楽しい。
4軒目:えなてらす(大井町)

中津川の駅前にある物産館、「中津川市にぎわいプラザ」はとても有名だ。
中津川市内の栗きんとん屋さんが一同に集い、栗きんとんのバラ売りや各店舗の栗きんとんが詰め合わせで売られているからだ。
単に栗きんとんを食べ比べたいなら、この「にぎわいプラザ」1軒で事足りる。
一方、恵那の栗きんとんはどうか。僕は今回初めて知ったのだが、恵那駅前にも同じように栗きんとんのバラ売りをやっている物産館がある。「えなてらす」という名前だ。
僕らは、これ以降の恵那の栗きんとん食べ歩きをこのお店に託した。
まだ未訪問である「銀の森」や「良平堂」があるエリアは、激しい渋滞に巻き込まれることが予想されたからだ。
しぶちょおが言う。
「年々栗きんとんの時期になると、渋滞がひどくなっている」
と。確かに、僕らも一昨日、何か所かで渋滞を見かけた。「なんでこんなところに渋滞が?」と思ったが、あれは栗きんとん渋滞だったのか。
国道19号のような主要幹線道でさえ、栗きんとん渋滞ができてしまうのだから恐るべしだ。
そんなわけで、JR中央本線より北側エリアについては、店舗めぐりを諦めて「えなてらす」で買うことにした。

おー、売ってる売ってる。
先ほど食べたばかりの三久、松浦軒なども並んでいる。
「栗きんとんバイキング」と銘打たれているが、「バイキング」という表現だとまるで食べ放題みたいだ。つい、多く取りすぎてしまいそうで怖い。
「栗きんとんは消費期限が短いので、バラ売りの栗きんとんの発送はできない」という注意書きが書いてある。一期一会だ。
この表現は脅しでもなんでもない。実際に1日経った栗きんとんを食べてみたら、ボソボソした食感であまり美味しくなかった。
また、駅などのお土産物店で売られている、比較的日持ちがする栗きんとんは店頭で売られているやつと別物だった。日持ちする方が、やっぱり味が落ちる。「なんとなく、そういう気がする」レベルではなく、明らかに味が落ちるのだから面白い。有名店舗の栗きんとんでさえ、そうだ。

中津川同様、各店舗の栗きんとんを詰め合わせた「栗くらべ」が売られていた。
7個詰め合わせで2,200円(税込)。1個あたり314円。
バラで買うより割高なので、箱代がかかっていると考えるのが妥当。
その場で食べるつもりなら、バラで買ったほうがいい。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (4件)
今や東京都内のデパートに並ぶ中津川の栗菓子❗️出身者としてはなるほど🧐と感心しきり
所謂,地域起こしかな⁉️季節の贈答品としては喜んで頂けますね、
桂川保彦さん>
贈答品として栗きんとんをいただいたなら、かなり嬉しいですね。
ただ、贈る側としては、恵那地方の栗きんとんはおせちに入っているのと違うんだ、という説明をしなくちゃいけなくて面倒かもしれませんね。
希少な存在なんだよ、と説明しても、贈られた側が「へーそうなんですかー」の一言で済ませてしまうと、相当ガッカリしそう。
栗の和菓子
中津川が有名ですが
恵那市にも
地元の人に人気の栗菓子が
いっぱい有ります
次回は是非来て下さい
加トちゃんさん>
今回、恵那の栗きんとん・栗粉餅もあれこれ食べて美味しかったです。
ルートイン恵那のすぐ隣にトレーラー型のホテルがあって面白そうなので、次はそこに泊まりつつ周辺の食べ歩きをやってみたいですね。