山で疲れたのではない、寝床で疲れたのだ【唐松岳~五竜岳】

カメラもずぶ濡れで限界

06:33
世の中が滲んで見える。眼鏡にびっしりと水滴がつき、視界がゆがむ。カメラも、レンズに水滴がついたり結露したりでいつ壊れてもおかしくない状態だ。

こんな使い方をしているから、デジカメを毎年1台ずつ買い換えなければならないわけだ。なるほど我ながら納得だ。

前方から歩いてくる人がへろへろに見える。やあ、相当視界がゆがんだな。・・・いや、実際にへろへろだぞあれは。風にあおられて、左側にふわふわっと流され、そこで踏ん張ったところで風が急に止んでさらに体が揺れる。大丈夫かな、この人。頑張れ。

多くの人がザックを背負わない状態で山頂を目指していた。五竜山荘に荷物をデポしておいて、山頂をピストンするのだろう。この人達はまだ良いのだが、デカいザックを背負って山頂を目指すパーティーもあった。話を聞いてみると、今日はこれから五竜岳に登った後八峰キレットを通過し、鹿島槍ヶ岳まで抜けて、そのまま種池山荘まで行くのだという。相当な強行軍だ。普通だったら冷池山荘でストップとなるはずだが、種池山荘までとなると相当な距離だ。ま、そういうガッツがある人でないと、この荒天の中を突き進むことは無理だろう。「ご武運を」と言って彼らを送り出した。大きなザックの側面に風があたり、体が何度も揺すられていた。大変そうだ。

風の通り道

06:44
信州側が谷になっているところは風の通り道になっていて、ひょーぅ、という音とともに猛烈に風が突き抜けていった。

黒部側がなだらかなのに対し、信州は絶壁、というのは後立山連峰の特徴。

稜線上

06:50
さて問題。この稜線、どっちが富山県でどっちが長野県でしょうか。

答:右側が長野県。

これまでの文章を読んできていれば、簡単な問題でしたね。

五竜山荘に戻ってきた

06:57
ほうほうの体で五竜山荘に戻ってきた。まだ朝7時前、日常生活だとようやく寝床から起き出す頃だ。

僕は何時起きだったっけ、今日・・・?というか、いつ寝たんだかあまり記憶にない。ああそうか、苦しい思いをして陣取り合戦を一晩中やっていたんだっけ。

山小屋の前には、今ようやく出発準備をしている団体がいた。団体の場合、個人客と違いこういうところでぱきぱきと動けないので大変だ。恐らく、食事を全員が食べ終わるまでには時間がかかっただろうし、やれお手洗いだ、歯磨きだ、荷造りだ・・・と全員の足並みをそろえていたらこんな時間になってしまった、という次第だろう。

そんな団体さんを後目に、僕はさっさと山荘にデポしておいたザックを担ぎ上げ、山小屋を後にした。食堂で優雅に朝ビールを、なんていう気分じゃない。体中びしょぬれ、疲れは蓄積する一方。このまま1時間2時間この場で粘ったとしても、天気が好転してあら絶景じゃあございませんか、ということは絶対ないだろう。ますます天気が悪くなるかもしれない。だったら、さっさと山を下りちゃうに限る。それ、さようなら五竜岳。

遠見尾根の分岐標識

07:07
下山開始とはいえ、まずは遠見尾根の分岐まではちょっとした登りがある。

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