デジャブな旅【岡山/広島旅行】

トマト銀行

丁度駅弁を食べ終えた頃、倉敷駅に到着。

倉敷駅の改札を出たらすぐそこが江戸時代風の建物が並ぶ場所、ということはない。ここから徒歩で10分程度歩いた先が、いわゆる「美観地区」と呼ばれる蔵屋敷密集地となる。

駅北口にはアリオ(イトーヨーカドー)があり、その脇にはアウトレットモールもある。駅からこんなに近いアウトレットモールは数少ないはずだ。アウトレットモール、イコール、マイカーで突撃する場所、という印象があるが、ここだと「電車で往復」が余裕すぎる立地。

なんで倉敷の駅前ともあろう場所が、そんなに土地に余裕があるの?というと、ここには以前第三セクターのテーマパーク、「倉敷チボリ公園」があったからだ。このチボリ公園が経営不振で惜しまれつつ閉園になって、さあ次は何のテナントがやってくるの、と関心をもって見守っていたら、アリオとアウトレットモールになっちゃった。いかにも現代的な土地の活用法だと思った。

さて、われわれはそんなアウトレットモールには見向きもしないで、南口から美観地区を目指す。当初計画段階では、「時間が余ればアウトレットモール見学」という事も視野に入れていたのだが、どうもそんな余裕はなさそうだ。今んとこ、おかでんが想定している時刻とぴったり。腹時計については、さっき祭ずしとままかり寿司を食べたのでちょっと進み気味。

そんな中、コンビニの片隅にあるトマト銀行が目に留まった。岡山の第二地銀。昔は「山陽相互銀行」という堅苦しい名前だったのだが、岡山の名産物の一つであるトマトを名前に冠して、「トマト銀行」という名前にしちゃった。堅苦しいいめーじがある銀行にしてはえらく思い切った名前だ。これを機に、岡山中の金融機関が「メロン銀行」とか「マスカット信金」なんて名のれば面白かったのだが、やはり相当勇気が必要だったようだ、マネするところは皆無だった。

そんな話をFishにすると、面白かったのかトマト銀行のロゴをパシャリと撮影していた。

美観地区入口

今回われわれが泊まる宿は「ドーミーイン倉敷」というシティホテル。美観地区の入口すぐ近くに立地しており、非常に便利な場所だ。あと、何が魅力って、大浴場が最上階にあって、脚を伸ばしてゆっくりとくつろぐことができるということだ。頑張ってボーリングした甲斐あって、一応温泉が湧いている。

チェックイン時間前だったので、フロントにいったん荷物を預けておく。そして、身軽になったところで美観地区散策開始。ちなみにただいまの時刻、13時27分。

写真は美感地区入口。日光江戸村じゃないんだから、ちょんまげを結った人が往来を歩いている、といったことはない。

正直言っておかでんはこのあたりは靴がすり減るほど歩いた事があるので、驚きも喜びも全くない。観光客が大勢いるのと、土産物屋がずらりと並んでいる、という印象しかない。だが、それが故に「じゃあ、どんなお土産物屋があるの?」といった質問には答えられないのだった。知らんなあ、みやげ物店なんて入ること、無いもの。

今回はそういった「普段当たり前過ぎて入る機会がない場所」に行くことになるかもしれない。それはそれで楽しみだ。

倉敷川をまたぐ今橋

敷美感地区のメインストリートは、倉敷川が流れる両岸に伸びている。長さでいったらせいぜい500mもないくらいで、両岸を歩いて往復しても1キロ程度。倉敷を駆け足で観光するんだったら、ものの20分もあれば十分だ。

しかし、倉敷をもっと楽しむには、裏道を散策してみたりすると楽しみがぐっと増す。メインストリートはお土産物屋が並ぶので風情という点では欠けるのだが、その風情が楽しめる場所、それが裏道。

大原美術館

美観地区の一角にでん、とそびえているギリシャ神殿風建築物。これが大原美術館。日本で最初の近代西洋美術館だという。倉敷を1日がかりで観光する時間的余裕があったら、ぜひここは入れておきたい場所。「蔵造りの家を見るために倉敷に来たのであって、絵なんて興味ないデスよ」という人もいるだろうが、地方都市倉敷にもかかわらずなんでこんないい絵がそろってるの、というコレクションが見応えありだ。

われわれは明日の午前を使って大原美術館に入る予定。

「せっかくの美観地区なのに、こんな場違いな建物はけしからんじゃないか」

という意見もあろうが、せいぜい二階建て程度の蔵屋敷とこの大原美術館の神殿風建物とではスケール感が違いすぎ、ほとんど気にならない。

北田証券

美観地区の中に地味ながら変わった場所がある。お土産物屋ではなく、普通の民家なのかと思ったら、ここは「北田証券」という証券会社なのだった。

中でちょんまげ姿の番頭さんがそろばん弾いてなにやら計算していそうな佇まいだが、この建物に人が出入りしているのを見たことは全くないので正体不明。

今まで、ここはほとんど興味なく素通りしていたのだが、あらためて観光客目線で見てみると結構これが楽しい。

北田証券の黒板

まず、気になるのは看板なのだが、よくみるとこれ、黒板だ。そこにチョークでびっしりと言葉が書いてある。しかも達筆だ。何が書かれているのかというと、「当面の相場見通し」なのだから、さすがは株屋さんだ。

「日経平均株価は、3月27日に10,255円をつけ、東日本大震災後の高値を更新した。しかし4月4日には、3月13日以来約3週間ぶりに一万円の大台を割り込んだ・・・(以下略)」

勉強になります、はい。

あと、面白いのがこの家の柵。溝がたくさん掘られて模様のようになっている。これがどういう意味があるのか、おかでんでもさっぱり分からない。さすがにおかでん家実家にはこんな柵は備わっていないからなあ。

中橋

美観地区の真ん中あたりにある、倉敷川をまたぐ橋「中橋」。このあたりは写真撮影をしている人が特に多い。地元民おかでんとしては全然興味がなかったのだが、今回観光客になってみてなるほど納得だ。土蔵が並び、火の見やぐらがあったりして、結構フォトジェニックなエリアだからだ。こりゃ記念撮影をしたくなるよな。

「倉敷、どこから撮影しても絵になるねー」

とFishは感心して言う。おかでんは決してそうだとは思っていなかったのだが、この景色を見せられると納得する。なんだ、倉敷って土産物屋だらけで俗っぽい場所だと思っていたが、案外見応えあるぞ。

川舟

川舟がゆっくりと倉敷川を進んでいる。Fishは、倉敷のガイドブックを読んだ際に、この川舟にぜひ乗りたいと思ったそうだ。

えー。川沿いをどうせ散策するわけだし、この舟が動ける範囲はせいぜい数百メートル程度だし、わざわざ乗る価値、ないと思うんだけど。

そう意見表明してみたが、それでもFishは乗りたいと言う。違った観点で倉敷を楽しめるから、というのがその理由。なるほど、そういうことか。

川舟乗船券販売所
川舟のチケット

これで乗船の値段が1000円とかするんなら、問答無用で却下しようと思った。しかし、調べてみたら300円と大層お安いことが判明。なんだ、300円だったら乗ってもよいじゃないか。所要時間は20分程度といったお手頃なボリューム感。もっと観光地物価&クオリティなのかと思っていたが、これだったら問題なし。

チケットの購入は、蔵屋敷が並ぶ倉敷の中では異彩を放つ西洋館、「倉敷館観光案内所」で行っているらしい。早速観光案内所に行く。

中橋のたもとに観光案内所はある。元倉敷町役場ということだ。実はおかでん、この中に入ったことがなかった。今回初潜入。おいおかでん、あんた「倉敷は地元」と言っている割には結構抜け漏れが多いな。

川舟の乗船券を購入しようとしたら、直近の時間帯は全て埋まっているとのことだった。30分刻みで乗船できるのだが、今すぐ乗るのは無理。結局、随分後の16時30分からの舟に乗ることにした。倉敷観光をざっと済ませたところで舟に乗るのがよろしかろう、と思ったからだ。

ちなみに川舟が運行されているのは9時半~17時。一度に二艘で運行されるのだが、一艘あたりの乗船定員は5名。つまり、毎回10名までしか乗れないことになる。人気アトラクションなので、もし乗りたいと思ったら倉敷到着後すぐに券を買った方がよいだろう。

そうかー、人気なんだ、この川舟。観光客目線だと大層楽しそうなのだろう。

着物試着体験・写真撮影

着物試着体験・写真撮影をワンコインでやりますよ、というビラを観光案内所で入手した。Fishが着物を着たらさぞや面白いだろう。早速会場である「倉敷物語館」に行ってみることにする。

有隣荘

倉敷物語館に行く途中通りがかった「有隣荘」。大原美術館の創設者であり近代倉敷の歴史においてもっとも重要な人である大原孫三郎が、病弱な妻のために作った家。瓦が珍しい緑色をしているので、通称「緑御殿」と言う。年に2回、大原美術館の特別展示室として一般公開されている。今日はもちろん一般公開されていないので、外から緑の瓦を見るだけ。緑がキラキラしていてきれいなお屋敷だが、当然瓦は特注品。台風とかで瓦が吹き飛ばされたら、一体修繕にどれだけお金がかかっちゃうのだろう?心配になる。

旧大原家住宅

有隣荘の隣には重要文化財の旧大原家住宅がある。重要文化財ではあるが、中にはまだ大原さんが住んでいるはずなので一般開放はなし。外から眺めるだけだ。重要文化財を家に持つことは名誉であるが、とはいえ勝手にリフォームなんてできないから大変だ。気苦労が絶えないだろう。

なんでも、美観地区内の建物をつつく際には、必ず倉敷市の許可を取らないといけないんだそうだ。面倒くさい。玄関のポストの位置を変えるだけでもお伺いを立てないといけないらしい。

ちなみにこの旧大原家住宅、1971年に主屋をはじめ10棟が国の重要文化財に指定。それだけにとどまらず、1982年には土地が重要文化財に追加指定されている。土地までもが重要文化財というのはちょっと面白い。というか、リフォームがほぼできないので住むとなれば大変だ。

鶴形山トンネルに向かう道

有隣荘と大原家住居の間の道。Fishはこれが気に入ったようで、何枚か写真を撮っていた。

まあ待て、まだもっといい場所がこの近くにあるから。倉敷に来たらここで写真撮影しないと、という場所は別なところにある。

壁間近で撮影

でも、Fishはここがよっぽど気にいったらしい。いろいろなアングルから写真を撮り、ついには上記のような写真を撮影していた。

「これ、何を撮影したかったの?」
「この角度からの眺めもいいな、と思って。」

うーん、全然わからない。壁が迫っていて圧迫感がある。でも、なにかFish的にはいい感じに見えたようだ。

旧大原家の裏通り

旧大原家住宅の裏側に回る。そこには車一台通るのがやっとくらいの道が伸びていた。ここがおかでんおすすめの撮影スポット。両側をなまこ壁の蔵が配置され、奥までそれがずっと続く。しかも、電柱は地下に埋めてあるので見苦しい電線はない。

Fishも感動したらしく、ここで何枚もポーズを決めて記念撮影を撮っていた。おかでんはカメラマン役に徹する。

ナチュラルアート

美観地区入口近くにある「倉敷物語館」に到着。ここは、多目的に活用できるイベントスペースとして蔵造りの建物が開放されている場所だ。

「あれ?ナチュラルアート作品展、って書いてあるぞ」

着物試着体験ができると思ってやってきたのだが、どうやら違ったようだ。チラシを確認してみると、着物試着は来週末であることが判明。ありゃ、倉敷に来着いて浮かれていたから、うっかり日時を間違えていたぞ。なんというケアレスミス!

でも、せっかくだからナチュラルアートなるものを見て行くことにする。

ナチュラルアートらしい

ナチュラルアートとな何ぞや、というと、「手作り器に草花を植えこむインテリア盆栽」なんだそうだ。見ると、石のような土台に草花が生けてある。器用なものだ、こんな土台で草や花が生存できるなんて。いろいろなナチュラルアートが並んでいて、偶然迷い込んだ割には結構楽しめた。

お抹茶をいただく

二階ではお茶の接待があり、お茶を一服いただく。うん、おいし。今日は朝から歩いてばっかりなので、こうやって一息つけたのは良かった。

エル・グレコ

また美観地区観光に戻る。

大原美術館脇にある喫茶店、「エル・グレコ」。エル・グレコとは大原美術館で一番有名な絵画「受胎告知」を描いた作家の名前。その名前を冠したお店だ。お店はツタに覆われていて、うっそうと茂っている・・・のだが、まだ春先なのでツタの葉っぱはそこまで覆い茂ってはいなかった。

倉敷では「倉敷珈琲館」と並んで有名な喫茶店。でも、われわれは先ほどお抹茶を頂いたので、入店することはなかった。外から眺めるだけ。それに、風情のある、「いかにも倉敷」という喫茶店はほかにもあるので、一息つくなら別の場所にしたい。

倉敷川の柳

倉敷川の川岸には柳が植えられている。これから夏に向けて、柳の新芽が出て奇麗になる。

狭い路地

倉敷川の川沿いを歩いていたら、Fishが脇道を見つけた。

「この先行ったら何がある?」

と聞いてくるので、

「何もないよ、普通の道に出るだけだよ」

と答えたが、どうも行きたくてうずうずしているようだ。せっかくなので脇道にそれてみる。

倉敷の楽しいことは、観光客の往来が激しいメインストリート(倉敷川沿い)からいかに脇に逸れるかで決まると思う。そのことにFishも気づき始めたらしい。

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