ダウンヒルに焦がれて。【奥多摩トレックリング1】

新道のトンネル

ここから先は、トレックリングが「癒しの裏道コース」と定義する道に従って進んでいくことにする。むかしみち同様、極力青梅街道を通らずに裏道を走っていこうぜ、というルートだ。

たとえば、青梅街道はトンネルで岩山をまっすぐ突っ切っているのだけど、トンネルがなかった頃の旧道は右へと迂回している。我々は当然右側に向かっていくことになる。

うっかりすると見逃してトンネルに直進してしまうし、右折する際は信号がない道を横断しなければならない。車がビュンビュン走っているところなので、案外右折は難しい。

旧道のトンネル

旧道に入ると、ぐっと道幅が狭くなる。忘れ去られた道。単にトンネル部分を迂回しているだけの道なので、今さらここを通ろうとする車はいない。

一応この道にもトンネルはあった。岩をくりぬいただけの小さなもので、今となっては風情がある。しかし、車二台がすれ違うには狭く、青梅街道の交通量が増えるとともに使いづらくなったのだろう。

目的地見つけられず

こちらの旧道を通ったのは、ここに「数馬の切通し」という崖があるからだ。トンネル付近で、それらしい場所を探したけど、道路すぐ脇には見つけられなかった。10分近く歩いた先にあるらしい。ほとんど訪れる人もいないらしく、切通しに通じる道は不明瞭。赤ん坊がいることもあり、この先に進むのはやめにした。

また旧道にそれる

旧道は、むかしみちのように完全に新道から分離しているわけではない。大半が新旧一緒の道であり、トンネルが掘られているところだけは分離しているというかたちになっていた。

いったん車びゅんびゅんの新道に戻り、しばらく進んでからまた旧道に向かう。横断するのに車の往来に気を遣う。

白丸ダム

道を逸れて目指したのは、「白丸ダム」という場所。

ダムとは思えないような建物が、駐車場に建っていた。ここから中に入れるらしい。なんだこれ?

白丸ダム解説

もちろん、ダムそのものは川にある。この建物は、魚道を観察できるように作られた立て坑の入口だった。

魚道とは、ダムによって川の遡上を食い止められてしまったアユなどの魚が、迂回できるように作られている道のこと。ダムの絶壁ではなく、ゆるやかな斜面になっていて、ここなら魚は川上に向かって進んでいくことができるというわけだ。

で、なんでそんな面白くもへったくれもない魚道なんかを見たいのかというと・・・。

らせんの階段

これ。魚道がある地下まで降りるために、立て坑に螺旋階段が作られているのだった。

すげー。

アンモナイトみたいな。

秘密基地っぽくて、何か特別な手続きをとった人のみが見学可能な場所のようだ。でもこれ、予約も何も必要なく見学できる、ざっくばらんな場所なのだからお得度高い。

この光景を見ると、男女問わずテンション上がる。

客がびっしりいたら、観光地っぽくて楽しさ半減だけど、ご覧のとおり人気はあまりない。それがまた、シークレットゾーンという感じがして、ワクワク感が止まらない。これはええもん見させてもろたわー!と思わず変な方言を使う。わんわんと声が立て坑に響く。

魚が遡上できるようにしている道

螺旋階段を下りきったところに、魚道はあった。

大きなU字溝、という感じで、ここだって決してなだらかとは言えない。魚がここを遡上するのは結構疲れると思う。そのために、わざわざ凹型のブロックがずらりと埋め込まれており、「疲れたらここで一休みしてね」エリアが作られているのがユーザーフレンドリーだ。

魚のために大がかり

魚道は直角に曲がり、ここから先は水槽が棚田状に延々と並ぶ配列になっていた。この先が、ダム湖となる。

これが白丸ダム本体

秘密基地風の魚道を楽しんだあと、外に出る。さっき下った螺旋階段をまた登らないといけないのかー!と嘆息したが、出口はダム湖脇にあり、別のところだった。さほど苦労せずに元の駐車場に戻ってくることができた。

白丸ダム本体を上から見下ろす。大して大きくはないダムだが、魚からしたら死活問題だ。もっと上流にいかせろォォォ、というお魚は、ぜひ魚道をどうぞ。それにしても、そこまでして上へと目指す魚ってすごいな。なんでそこまで煙が出るくらいモチベーション高いんだ?

細い道を走る

どんどん先へと進む。鳩の巣駅のところから裏道にそれ、鳩の巣渓谷に向かう。「癒しの裏道」を標榜するからには、当然のごとく裏道をすすむわけだが、「ここから先裏道」なんてわかりやすい看板が出ているわけがない。わかりにくい分岐点を瞬時に見つけないといけないから大変だ。

親子の様子が気になる僕は、できるだけ同伴者の後ろにポジショニングしていたのだが、分岐が近くなると前に出るようにしていた。なので、道迷いは全部自分のせい。

「えっ、本当にこんな道に入るの?」と疑心暗鬼になりながら、裏道に入っていくと「雲仙橋」というところにでた。

橋の上からの光景1
橋の上からの光景2

鳩の巣渓谷。雲仙橋からの眺め。

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