日本の中のブラジル【群馬ブラジリアンタウン】

群馬県邑楽郡大泉町。日系ブラジル人を中心とした外国人居留者が多く住む町として知られている。以前から訪れてみたいと思い続けていたが、微妙にその他観光地から離れており、「何かのついでに」と思いつつずっと行けないでいた。そうこうしているうちにマスコミやらネットでさんざん取り上げられてしまい、ネタとしては出がらし感さえ漂うくらいのメジャーな地になって今に至る。

大泉町に突発的にブラジル人が多いのは、この地に富士重工、三洋電機(現パナソニック)、味の素、マルハニチロ・・・と大きな工場がいくつもあるからだ。1990年に出入国管理法が改定され、日系人であれば出稼ぎのために来日がしやすくなったために、ブラジルやペルーに住む日系人が大勢この地を訪れたという。

そんなわけで、大泉町の人口のうち14パーセントくらいが日系外国人であるという。さすがに乗っ取られるというレベルではないが、かなりの割合だ。役所の人は、ポルトガル語やスペイン語が使えないといけないから大変だと思う。

ブラジル人が多い場所としては、浜松が知られている。こちらも工場への出稼ぎだ。他にも、インド人が多い東京の西葛西や、韓国人が多い東京新大久保など、地域性がある。他にも、最近は中国人が数多く住む公営団地があちこちにあり、振り向けば外国人コミュニティ、というのは決して珍しいことではない。そこには文化の違いによる軋轢があるだろうし、ヒリヒリすることがいっぱいあるはずだ。

今回、たまたま桶川のグリコ工場の見学が予約できたので、そのついでにどこかに立ち寄りたいねぇ、と思っていたら大泉のブラジリアンタウンを思い出した。そうだ、ブラジリアンタウンを見て回って、お昼はシュラスコかなにかを食べて、行田で名物ゼリーフライでも買っておみやげにして、その足でグリコ工場に行こう。完璧だ。

2015年01月22日(木)

西大泉駅

今回は平日、しかも木曜日というとても中途半端な時間だったが、お休みをやりくりしてのお出かけとなった。外はあいにくの雨。お天気はこっちの都合なんて考えてくれやしねぇ。

こっちの都合を考えてくれないといえば工場見学もまさにそう。昨今は「工場見学ブーム」で、いやー予約がとれねーこととれねーこと。グリコに限らず、首都圏の一般開放している工場のいずれもが予約でいっぱいだ。または、団体でないと予約を受け付けません、というところばっかり。キリン横浜工場のように、「ふらっと訪れて見学することも可能。しかもビール2杯のおまけ付き」なんていうのは何かの間違いか楽園か。

「桶川ってそんなに便利な場所じゃないのに、なんでこんなに人気なんだ?」
「グリコは子供に人気なんですよ」

なるほど、お菓子工場ともなれば子供も夢中になるよな。以前、労働組合の執行委員を僕がやっていたとき、「家族みんなでビール工場見学レク」ってのを企画したことがある。子供もいっぱい参加してくれたが、肝心のビール工場内では魚が死んだような目をしていた。恐ろしくつまらなかったらしい。しかも、麦汁の臭いがキモいらしく、「くさい!くさい!」と鼻をつまんでいたし。

「グリコ、最近食べていないなあ・・・何があったっけ?」
「ポッキーとか」
「うん、それはわかる。で?」
「プリッツとか?」
「ああなるほど、ポッキーからチョコを抜いたらプリッツか。で?」
「なにがありましたっけ?」
「あれっ?」

お互い案外覚えていないものだ。大阪道頓堀の、「ひとつぶ300メートル」マラソンランナー看板はよく知っているけど、キャラメルといえば黄色い森永のイメージだし、さてさて。

グリコが売れていないわけじゃない。単に僕らが童心を忘れてしまって、グリコのお菓子を覚えていないだけなんだ。なんと悲しいことよ。

そこで子供の頃食べたお菓子の話になったが、おかでんが印象に残っているお菓子メーカーといえばやっぱりブルボンだった。

「ほら、ブルボンといえば『ホワイトロリータ』が・・・」

単に名前のインパクトで覚えていただけのことだ。

さて、車は東北道館林ICから下道を走り、まずは大泉町の玄関口、「西小泉駅」にやってきた。大泉なんだか小泉なんだか、大変に紛らわしい。

駅の周りには何もなく、拍子抜けするような感じだ。町の人からもあまり相手にされていない雰囲気。やっぱり車社会の場所なので、便数が少ないローカル路線はあまり使われないのだろう。

駅舎は現在改修中らしく、ネットで覆われていた。

駅の改札

駅の中に入ってみる。

「東武小泉線」という支線の終着駅になっている。東武小泉線は、東小泉から分かれている2駅しかない盲腸路線だ。こんな中途半端な路線があるというのは、人員輸送もさることながら物資の輸送も盛んに行われていたのだろう。現在はどうなのかはよくわからないが、貨物ターミナル的な場所はないので多分今ではやっていないと思われる。

無人駅かと思ったら、ちゃんと有人改札があった。そして簡易PASMOリーダーが改札には備わっていた。さすがに果ては東京浅草などに繋がっている路線なので、硬券だったり電車内で車掌さんに精算してもらう、なんてわけにはいかないだろう。

「もっと人で賑わっているような印象があったんだけどな」

人気のない駅をうろうろしながら、ぼやく。これまで数多くのwebサイトがこの地をレポートしているが、それは「ほら!こんなにブラジル!すごいでしょ!」というものばかりだ。あくまでも陽気で、明るく、非日常な空間がそこにある印象だ。でも実際は、あんまりそんな感じはしない。今日が1月で寒い上に小雨が降っているからというのもあるのだろう。おおよそ、太陽の国ブラジル感はない。少なくとも、駅舎には。

どうだい、ブラジルだろ?

でも、やっぱり大泉町はブラジル推しなんだな。駅前にわざわざ観光案内所の屋台を設営しているのだが、それがカナリアカラーでブラジルブラジルしてらっしゃる。昔は、急増するブラジル人に「ええ・・・」と困惑していたのだろうが、ある時を境に「これもまた観光資源」と開き直ったんだと思う。

もうね、「ようこそ!日本のブラジル『おおいずみ』へ!!」なんて言っちゃってるもの。ぐんまちゃんがサンバカーニバルの格好をしているし。

いずれ、宇都宮と浜松が餃子消費量日本一を目指して毎年バトルしているように、「ブラジル人在住率日本一」を目指してその他の地域とバトルするようなことがあるかもしれん。「日本一のブラジルはここだ!」って。

このブースを見ると、レンタサイクルが1日500円でできるらしい。結論から言うと、このあたりをサイクリングしたって特に面白いものはない。でも、ブラジル的なお店は点在しているため、それらを巡ろうと思うと自転車ということになる。

「ブラジル式バーベキュー受付、って書いてあるけどなんだろう?シュラスコのことかな?」
「さあ?そうかもしれないですね」
「でも、どこでやるのよ。串とコンロを貸してやるから駅前でやれ、ということかな?」
「どこかお店を紹介してくれるのですかね?」

謎だ。あいにく、平日ということもあってこのブースは営業していなかったので正体不明。

我々はいろいろなサイトから断片的にこの地の情報を入手していたが、今だと大泉町観光協会のサイトで、まとめて情報が手に入る。PDFでパンフレットがダウンロードでき、そこには地図やらお店の紹介、さらにはモデルコースの紹介まで載っている。おすすめ。

時刻表

時刻表を見ると、昼間は1時間に1本という薄めのダイヤだった。なるほど、これだとあんまり気軽に乗ることはできない。

我々が駅でブラブラしている間、電車が一本やってきたが、乗降するお客さんはほとんどいなかった。廃線の危機にはならないのだろうか?