閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】(その1~12)

15:17
釜トンネル、上高地トンネルと連続したトンネルを抜けたら、いきなりバーンと上高地の景色が広がる。これだよこれ!

この景色を見た瞬間、「ここは極楽か!?」と思う。誇張表現でもなく、心底そう思う。

景色だけでいえば、ここよりももっと絶景で極楽チックな場所は日本国内でもあるだろう。でも、ここが「北アルプスの中核登山基地、上高地である」という事実もエッセンスに加えると、もうこの光景が極楽としか言いようがないのだった。

たぶん僕が死んだら、閻魔様に「お前は地獄行きだな」と言われて極楽には行けない気がする。だから生きているうちに極楽の景色を眺めておこうと思う。ありがたやありがたや。

目の前に広がるのは大正池。

焼岳の噴火によって梓川がせき止められた結果できた池だ。昔の話ではなく、大正時代の出来事だ。だから、大正池。

焼岳は現在進行系でまだ煙を吹いていたり、火山性の微弱な地震が発生する。今度はこの地をどんな風貌にしてしまうのだろうか。

15:29
上高地バスターミナル到着。

着いた・・・。

ここがいよいよ、閉鎖病棟・上高地。僕を敢えて軟禁させるための、とっておきの極楽。そしてそう簡単には下界に戻らないよ、という決意の場所でもある。

ここにいれば、できることは自ずと限られる。山が目の前にあっても、装備がないから山には登れない。かといってしっぽを巻いて上高地を後にするわけにもいかない。ひたすら、キャンプだ。読書だ。そして、せいぜい平地を散歩するだけだ。

あれもこれもできる不幸せ、というのがここには少ない。

もうすでに1日目が終わりを迎えようとしている。感傷に浸っている場合じゃない、まずは早くキャンプ場を目指さなくては。

バスターミナルに並ぶバス。

沢渡エリアに向かうシャトルバスの乗り場は、長蛇の列が出来ていた。

今日に限った話じゃなく、いつでも沢渡行きのバスは大勢の人が待っている。僕自身は公共交通機関以外で上高地を訪れたことがないので、沢渡行きバスの混雑っぷりをただただ、傍観するだけだ。

行列の奥の建物には、松本市営の上高地食堂がある。建物の二階だ。

一階には売店が並ぶ。河童焼きなる食べ物を売るお店もあり、密かに狙っている。今日は無理だから、明日か明後日食べようと思う。

「河童焼きという食べ物をいつ食べるのか?」ということで、ここで選択肢が出来てしまっている。でもこの程度の選択肢は全然平気だ。なにせ、狭いテリトリーの中での出来事だからだ。コップの中の嵐、といっていい。

自宅がある東京にいると、「遠くに旅立つ?それとも都心でうろちょろする?いや、自宅に留まる?」などと、本当にダイナミックに選択肢の幅がある。でも、ここは上高地。せいぜいキャンプ場から徒歩3時間までが最大の行動範囲で、「買い食いする」といってもできることは知れている。

なので、この上高地で「何を食べる?」とか「いつ何をする?」という選択肢があっても、さほど僕のストレスには影響がない。

15:31
上高地の象徴ともいえるカラマツ林の脇を歩き、河童橋を目指す。

15:34
梓川、河童橋、そしてその奥に穂高連峰と岳沢。きたー!

この空間にこれから数日、飽きるまで滞在すると思うとなかなかに感慨深い。精神的に参ってここにたどり着いたという立場なので、テンションが上がってワクワクするということはないけれど、つくづく来られてよかったと思う。

「選択肢がない空間で時間を過ごしたい」というのが僕の願いといっても、何も監獄のような場所に閉じ込められたいわけじゃない。やっぱり、最高の空間だからこそ、長逗留する気になるというものだ。その点ここは最高の立地だ。

奥穂高岳山頂あたりを撮影。

山の天気は移ろいやすいので、今のうちに撮影しておく。運が悪いと、今後ずっと曇っているとか、雨が降っているということもあり得るので。

奥穂高岳から西穂高岳に通じる稜線。アップダウンが連続するルートで、しかも険しい岩山だ。登山にある程度の自身がある人でないと、このルートには立ち入ることができない。

山肌はまだ雪を纏っていて、この季節ならではの楽しさがある。

15:34
河童橋手前。人が大勢歩いている。

観光客と、登山客。

でもこの時間から山を目指す人というのはさすがに多くないので、軽装の観光客が多い。

観光客は大抵日帰りだ。

確かに、「観光地」として上高地を捉えれば、日帰りで十分な場所に見える。でもこの地を心底楽しむには、日帰り客が帰って静まった夕暮れ時、そして翌朝早くがいい。大自然と、自分。大きなものと小さなものが向かい合う、心落ち着くときだ。

僕は以前、やはりGW期間中に上高地で一泊したことがある。この時は上高地温泉ホテルでの一泊だったけど、夜と朝の素晴らしさは一生の思い出だ。でもその思い出を今回上書きするときがきた。

15:37
昔からそうなのか、それとも最近になってこうなったのか。野生のサルが人目をはばからずにのっしのっしと道端を歩いていた。

日光など、観光地でサルがお土産物屋の商品を盗んだり問題になっている話をよく聞く。ここもいずれはサル対人間の対立が激化するのだろうか?

(つづく)

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