那珂湊買い出し~三崎港買い出し、出産直前におけるおかでん家の旅

2021年春。我が家の出産時期が近づいていた。

いしは2月末をもって仕事を退職し、出産に向けた体制に入った。

もともと彼女は2020年の3月末まで正社員として働いていたのだが、アフリカに旅立つ!ということで退路を断って前に向かって進んでいた。しかし折しもコロナの大流行と緊急事態宣言発令のため、アフリカ行きは頓挫。糊口をしのぐため、パート社員として働いていた。

そのため、産前産後休暇が勤務先から支給されるでもなく、完全に無給のお休みに突入だ。彼女は大きなお腹を抱えて大変だけど、僕は僕で彼女を扶養に入れる手続きをあれこれやったりして、事務的にいそがしくなった。

この頃の僕らは、4月に控えた新居への引っ越しに向け、家の荷物を段ボールに詰めはじめていた。荷物を片付ける一方で、子どものためのオモチャや衣類が親戚友人から送られてきて、むしろ荷物が増えるという状況だった。

そういう作業をやりつつも、週末にはお出かけをすることにした。というのも、彼女がやたらとはりきってお散歩をしたがったからだ。

「子どもが生まれたら、もうDINKS時代のように好きに遊べなくなるね」ということで海外旅行に行ったり遊びまくる夫婦は結構いる。しかし、お腹に赤ちゃんがいるという状態は、いつ容態が変化するかもわからず、安易な旅行は危険な行為だと言われている。

いっぽうで、いしは積極的に歩こうとする。彼女に聞くと、「早く出産したいから」だという。予定日は3月の下旬近くなのだけど、そうなると新居への引っ越しスケジュールに支障が出てくる。特に彼女の場合、出産後しばらくは里帰りをしたいと願っていて、出産が遅れれば遅れた分だけ、引っ越しと里帰りの日程が重複してしまい、結果的に里帰り日数が減ってしまうのだった。

僕は、「3月生まれになるのだったら、もう少し粘って4月生まれになってくれたほうが何かと良いんだけどなあ」と思っているのだけど、彼女は「それは駄目!38週を超えてくると、何かと問題が出てくるから」と言う。陣痛促進剤だのなんだの、面倒なことになるのは嫌だ、と。

そんなわけで、2月末に現職を辞してから出産までの間、暇になったこともあって毎日家の周辺を2時間くらいテクテクと散歩しまくっていた。つい2-3ヶ月まで、「逆子になっているから」と言ってベッドで四つん這いになって逆子体操をしていた人間だとは思えない変化だ。

そういう、「生まれるか・生まれないかの最中」に出かけたのが、那珂湊だった。あんこう鍋を作るためのあんこうを仕入れよう、という計画のためだ。

今更記事に書くような特別なイベントではないのだけれど、3月9日に子どもが生まれるわずか一週間ちょっと前に動き回っていた僕らの行動を記録として残しておく。

強調しておきたいのは、一連の行動は医学の国家資格がある人の監修に基づくものだ。猪突猛進に大人のわがままで遊び回っているわけではない。妊婦すべてにこういうウロチョロが推奨されるものではないので、その点は留意してもらいたい。

2021年02月28日(日)

この日の目標は、那珂湊であんこうを買うことと、コストコで買い物をすることだ。

第一子誕生間際ではあるものの、子どもの服を買ってみたり、オモチャを買ってみたりという微笑ましい光景は我が家にはなかった。ほら、よくあるでしょ、「この服、似合うかなあ」「あら、まだ生まれてないのにこんな大きな服を買っちゃったの?」みたいなドラマ。

我が家が淡々と出産に向かっていたのは、親戚からお古の服や子育て用品をたくさん送ってもらっていたからだ。持つべきものは親戚。しかも、せいぜい3歳くらいまでの年の差の子どもだ。そういう家から、お古をたくさんもらえる。

親戚としても、これを機会に在庫処分ができるのでお互いwin-winだ。

ちなみに僕の兄貴の家には子どもが二人いるが、下の子は既に8歳だ。ここまで年齢差があると、お古のおこぼれは少なくなる。そのかわり、絵本はたくさん貰えた。

また、我々は引っ越しをあと1ヶ月半後に控えていたため、安易に物を買うわけにはいかない、という事情もある。なので、コストコに行くといっても、あれも!これも!と買う予定はない。単に冷やかしにいく程度だ。

話は脱線するが、引っ越しが4月中旬という変な日程になったのは、コロナによるドタバタに依るところも大きい。僕らが家の購入を検討していた2020年は、マンションギャラリーや不動産相談窓口が軒並み閉まっていたり、完全予約制で少人数しか受け入れていなかったりとひどい状況だった。あるデベロッパーの場合、モデルルームさえ見せてもらえず、zoomで3Dバーチャル画面を見せられた程度だった。それで1億円近い買い物を決断しろ、というのはずいぶん乱暴な話だと思って、そことは契約しなかった。

入居が4月、というのは僕にとっては非常に困る要素があった。2020年度に適用されていた優遇税制が2021年度物件引き渡しだと変わってしまうからだ。

僕は、不動産売買の契約をする際に「コロナ由来で入居時期が遅れても文句は言いません」という念書にサインをしてデベロッパーに提出していた。だから入居が4月になることには文句は言えないのだが、税制優遇はなんとかゲットしたい。資料を揃えて税務署に相談に行ったり、いろいろお金の工面でも苦労していた時期だ。

古い家を売却して新しい家を買う、ということを同時にやろうとしていたので、マジで3月4月は資金ショートを起こして家計が行き詰まるんじゃないかと心配だった。今回の小旅行は、そういうヒリヒリがようやく一段落したので、気晴らしの要素もある。

あさイチで訪れたのは、那珂湊からちょっと離れた「カピアンコーヒー」というお店。モーニングをやっているということで、行ってみた。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 出産前の小旅行って行きたくなりますよね
    うちも安定期に入ってからこちらのサイトを参考にして広島に日帰り旅行に行きました
    (たしか、当時あったこちらの掲示板でいろいろ教えていただいたと思います)

    おかげで宮島、ますゐ、お好み焼きと堪能できたのをこの記事見て思い出しました
    あれ以来広島行ってないのでまた行きたいな~

  • GUYさん>
    子どもが生まれることで、自分の人生が大きく変わる!という節目の覚悟があるので、「さようならこれまでの自分」という気持ちで出産前に旅行に行きたくなるんですよね。

    ただもちろん、旅行中に母体が急変する可能性はゼロではなく、人様におすすめできる話じゃないんですけど。
    このサイトは殆ど誰も見ていないので、放火する人がいないですが、人気サイトだったら「子どもや母親に万が一があったらどうするんだ」などと焚き付けてくる人がぜったい出てくるはず。

    GUYさんは無事に旅行を満喫できて、なによりでした。
    出産前の旅行って、写真を後で見返して「ああ、僕ら家族もこういう時期があったなあ」としみじみ感慨に浸るものですよね。
    特に、子どもがいないときならではの夫婦の笑顔、っていうのが今となっては貴重。子どもができちゃうと、父親の顔・母親の顔になっちゃうから。

  • マタニティ旅行、っていう言葉、たまたま先日知りました。
    詳しくは調べてませんが、なんでも妊娠中なので、という理由で刺身盛3皿が売りの旅館に生もの変更してくれと頼んだら全部刺身こんにゃくだった、というツイート(いまはポストっていうんでしたっけ?)が話題になってたとかなんとか。
    ネットの反応としてはやや「否」寄りの賛否両論な感じだったので「炎上」というほどではない印象でしたが、旅館の名前を出しちゃうのはどうよ、とか旅館から一言くらい相談があってもよかったのでは、という意見とともに、妊娠中の旅行に対する賛否もたしかにありましたねえ。
    そういう意味ではたしかにリスキーさも内包した話題なのかもしれませんね。

  • 一平ちゃん>
    刺身こんにゃく話は僕も読みました。あれを笑い話としてネタに昇華できていればよかったのにね、と思う。
    僕はSNSの危なっかしさについていくのをやめ、もう殆どSNSの投稿はやらなくなった。Xは皆無だし、Instagramは毒にも薬にもならない食べ物の投稿を月に1度程度するかどうか。それで何も不自由はない。

    外界とのつながりが減ると楽に生きていけるけど、独居感が増す。本当にこれでいいのか、と思うこともあります。

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