真っ暗なディスプレイに変わって用意されていたのが、各テーブル上に置かれていたメニューだった。
何の変哲もない、メニュー。
これは普通過ぎる。ばんやらしくなくて、一同戸惑う。
注文の仕方は、昔から変わらず。卓上の伝票に自分で注文を書き込み、店員さんに渡すスタイル。
カラオケボックスのように、タッチパネル端末で注文!という仕組みには、さすがになっていない。
それにしても、ばんやに通い始めてもう長いけど、紙のメニューをめくるという機会は初めてだ。
液晶ディスプレイでメニューを表示する前の時代は、壁にメニューの札がずらりとぶら下がっていた。売り切れると札が裏返しにされる、という仕組みだった。
その頃から知っているので、まあなんとも、紙メニューの違和感たるや。
「ディスプレイの調子が悪いので、一時的にメニューを作りました」
という気配ではない。これは本気で、紙のメニューを作ったっぽい。どうするんだディスプレイ。
紙のメニューだと、その日の水揚げにあわせて臨機応変にメニューを変えることは可能だろうか?
ある程度、メニューが固定化するのではないか?とちょっと心配。
心配はともかく、どうもメニューが頭に入ってこない。
これまでは、巨大ディスプレイにバーンとメニューの大半が載っているので、それを俯瞰することができた。
しかし今回は、ペラペラめくったり戻したりしながら、メニューの全貌を理解していかないといけない。
3人だけど、なかなか注文がまとまらず、しばらく時間が過ぎる。
ほう、最近のばんやはTwitterもやってるのか。時代だなぁ。
まず第一回選択希望選手を書き連ねてみる。
今回参加しているのは、おーまさん、もぐさんと僕の3名。「のっとれ!松代城」でチームアワレみを組んでいる仲間だ。もぐさんとは初めてのばんやだけど、おーまさんはばんや経験が豊富だ。
で、彼は「エンザラ煮」を頼むというのが、謎の定番になっている。初めての際に、「黒カマス科エンザラ煮」と書かれたメニューに衝撃を受けたのがインパクト大だったからだ。
今回も「エンザラ味噌煮」のメニューがあったので、おーまさんに「頼むなよ?エンザラ煮を頼むなよ?」と敢えて突っ込みを入れておいたが、案の定伝票には「エンザラ味噌煮」と書き込まれていた。お約束は今年も繰り返す。
(つづく)
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