歴史が動いた・紙メニューのばんや【ばんや冬の陣2018】

10:30、乾杯。

「昼酒」じゃない。もはやこの時間ともなると、朝酒だ。

いいね、この背徳感。

「これから魚をしこたま食べるぞォ!」

という高揚感と相まって、よっしゃよっしゃと気合いが入る。どうせハンドルはお酒を一切飲まない僕が握っているのだから、僕以外の参加者は心ゆくまでお酒を飲んでいただきたいものだ。むしろ、お酒のおかわりをしていただければ、主催者冥利に尽きるというものだ。

こうやって写真を見ると、案外生ビールのジョッキが大きいことに気がついた。太っ腹だな、ばんや。一応、「中ジョッキ」という扱いで、550円という値付けだ。

ちなみに、ジョッキのサイズは信用できないぞ、瓶ビールが一番いい!という人は、大瓶が650円でございますのでそちらをご利用ください。でも、このジョッキサイズなら、大瓶よりもコスパが良いかもしれない。

なお、僕はというとノンアルコールビールの「オールフリー」だ。小瓶で340円。

ノンアルコールビールも、樽生のジョッキとか、大瓶とかを提供してくれないものかなあ。毎回、こういうお店でノンアルコールビールを頼む都度、ちょっと残念な気持ちになるんだよな。

最初にやってきたのは、「ふぐ皮ポン酢」。400円。

お酒のおつまみ向け料理。でもこれは、ビールというより清酒の方が向いていたな。

ひとまず、みんなでちびちびとこの料理をつつく。

もみじおろしが添えられているので、キリッとして食欲をかき立てられる。

毎度お馴染み、アジなめろうがやってきましたよ。900円。

頼まなかった事って、ここ最近はないかもしれない。「房総半島名物」だから、つい。

また、実際これがうまいんだよな。アジのたたきも相当うまい料理だとは思うけれど、「なめろう」と並んでメニューにあったら、ついこっちを頼んじゃう。いろいろな薬味が練り込まれているので、味わいが複雑で楽しい。

房総半島名物といえば、この「なめろう」を焼いた魚肉ハンバーグ風の「さんが」というものがある。しかし、さんがは食べるとまさに「魚肉ハンバーグ」であり、物足りない感じが相当に強い。コレジャナイ感というか、「これだったら近所のスーパーでも売っているっぽい」というか。

だから、やっぱり頼むならば「なめろう」、これに尽きる。

それにしても嬉しいやら悔しいやら、だ。我々の胃袋は有限だ。そして、この「ばんや」にはそう頻繁に訪れる機会がない。だから、できるだけ「見慣れない魚の、見慣れない調理法」にトライしたい。できるだけ、「これって毎回頼んでるよね」というメニューは除外したい。

でも、しかしッ・・・!なめろうがうまいものだから、つい。頼んじゃうんだよな。これはもう、不可抗力だ。

なにか汁気もあった方が、ということで「つみれ汁」。つみれがゴロンゴロンと転がっているスープ。300円。

この日は、「あら汁」「のり汁」とこの「つみれ汁」が用意されていた。あと、単品メニューを「定食」としてオーダーすると、定食セットにはお味噌汁が付いてくる。なので、汁を飲みたければこの4種類。

結論としては、あまり箸が進まないメニューではあった。

お酒を飲んでいる人にとっては、汁物はあまりいらないし、そもそも魚料理を食べる、というのは結構な量の塩分をなんやかやで摂取していることになる。口の中がしょっぱい。そんな中、改めて塩気があるスープを飲む、というのは塩分の追い打ちだ。

とはいえ、僕らはそれを承知で頼んでいる。

だって、「焼き物」「揚げ物」「煮物」「刺身」・・・とジャンル分けされているメニューがずらり、というのが「ばんや」だぜ?折角なんだから、それぞれのジャンルから最低1品は頼みたいじゃないか。そうなると、「汁物」のコーナーからも必然的に1つ、チョイスされるのですよ。これはもう、必然ですよ。はい。

刺身6点盛りが来たぞー!!1,450円。

やっぱりね、なんやかんや言って一番テンションが上がるのが刺身の盛り合わせなんだよな。

不思議だよな、単に魚をさばいただけのものなのに。

外国の人ってどうなんだろう?「日本食大好きです」っていう外国の方にインタビューしてみたい。「刺身盛り合わせと、魚を加熱蝶理したもの、どっちが好きですか?」って。

ああ、でも刺身の方がウケがいいかな、外国人であっても。「醤油と砂糖とみりんで甘辛く煮付けた魚」っていうのを外国の人がどれほど好きかどうか、ちょっと怪しい気がする。

それはともかく、この日の刺身六点盛りは、

アジ、マグロ、ワラサ、サワラ、ヒラメ、汐子

という構成だった。サワラの刺身が食べられる、というのはかなりレアだと思う。

正直ちょっと悔しい。

というのは、サワラ(漢字で書くと「鰆」)は岡山県の「県魚」とされていて、刺身で食べる文化というのは岡山県外では殆どない、と思っていたからだ。というのも、サワラは非常に身が柔らかく、傷みやすい魚で長距離搬送に向かないからだ。だから、「サワラの西京焼き」というのは和食店の定食メニューとして定番だけど、「刺身」とか「塩焼き」というのはあまり見かけない筈だ。

で、盆暮れには岡山に帰省している僕としては、「岡山じゃあサワラを刺身で食べるんだけど、そりゃあもう絶品で」と東京の人に自慢していたのだけど・・・まさか、ばんやで食べられるとは。

ちなみに「魚へんに春」と書くサワラだけど、旬は冬だ。脂がのったサワラは、ブリなんかよりはるかに美味いと思う。

僕の実家では、行商の魚屋さんに事前に電話をしておけば、車で家の前にやってきて、玄関先で魚を捌いてくれる。なので、鮮度が段違いに素晴らしい。倉敷市の下津井漁港で水揚げされたものだが、家族全員愛してやまない。

たこの唐揚げがやってきて、困惑する一同。

「頼んだっけ?」
「頼んでない気がしますね」

なにせみんながあれこれ注文しているので、何を注文しているのか訳がわからなくなってくる。しかも、料理が怒濤の勢いでドカドカと届けられるので、頭がぼんやりしてくる。

結局、伝票を確認して、僕らが頼んだものではないことが判明。返品となった。そのまま引き取っても良かったけど、ちょっと惜しいことをしたかな。

たこって、案外唐揚げとしては食べないよな。まあ、味の想像はつくけれど、気になる。

(つづく)