
「ああ、折角強火になったのに・・・」
と、さっきまで酸欠状態になりながら炭火に息を吹きかけていたたっぴぃさんが嘆息する中、無事火事は鎮火。キャベツ大爆発以前に、チキンが大爆発しちゃった。で、肝心のチキンはどうかというと、これがこれがいい焼き色になってらっしゃる。オーブンで焼いたかのようにまんべんなく焼き色が付いているのは立派としかいいようがない。

ちょうど食べ頃、ということでチキンを引き上げた。おケツにはめられているビール缶をそっと抜き取り、お皿に盛るとちょうど今が見頃食べ頃さばき頃のチキンでござい。
これもはさみでさばく。以前僕は近所の居酒屋で、丸ごと一匹の鶏の唐揚げを頻繁に頼んでいたものだ。そのときの店員さんの手さばきを覚えていたので、簡単にさばくことができた。まず真ん中で二等分。腹のところでさらに二等分。合計4等分だ。胸肉2つにもも肉2つという分割。
これが予想以上に美味しかったのでびっくりだ。バサバサした肉を想定していたし、ビール風味が付くだろうからホップの苦みがついてえぐい味なんじゃないか、と思い込んでいた。しかししかし、肉はしっとりとしていてあくまでも柔らかい。もも肉は当然として、胸肉までもするすると食べられる。ノンアルコールビールで尻の穴から蒸かしたからだ。蒸し鶏ほど水っぽくなく、かといってオーブンで炙られたものよりも柔らかい。いいとこ取りだ。一同やんやの大絶賛。

周囲は大規模なバーベキューが多い。家族連れ、というよりも、若者がグループで利用しているパターンが多いようだ。大きな音を出すことは禁止となっているのだが、ハーモニカを吹いているおじいさんがうろうろしていた。
「ああ、どこかのグループのひとなんだろうな。お酒が入っていい気分になって、フラフラしてるんだろうな」
と眺めていたが、そういえばこのひと、1年前のバーベキューオフの時にもいたような気がする。おそらく、暇人なんだろう。で、週末になると、人混み恋しくてここにやってきて、頼まれてもいないハーモニカを吹いていると思われる。声でもかけてあげれば喜びそうだけど、面倒なのでスルーした。

「どうするんだよオイ」
まだ卓上にある、未着手の食材を前に苦笑いする一同。正直、もうおなかいっぱいだ。
「折角だからこれまで食べたことがないものを食べたい」
とおやびんが言う。つまり、目の前にある焼けた食材はもういい、次のを焼こうぜ、ということだ。
「焼いちゃうか。どうせこのままお持ち帰りしてもかさばるし」
というわけで、満腹になっている今、今更ながらに網の上に載せられる「キャベツ大爆発」。
「ついでに」
と、塊ベーコンまで一緒に網の上へ。

1時間弱ほど火を通したところで、「誰もできあがりがわからないんだよなあ」と苦笑しながらえいやっとキャベツ大爆発をテーブルに移動させる。二重三重にアルミホイルでくるんでいるので、中を伺うことがこれまでできていなかった。
「まあ、生でも食べられるでしょ最悪。中の挽肉には火が通ってるんだし。外のキャベツが生でも平気」
とか言いつつアルミホイルをオープンしてみたら、見事ちゃんと火が通ったキャベツひと玉の登場ですよ。蒸し焼き状態になっているので、しっとりとしている。
「ふたをちゃんとしておいたのがいいな。外見は単なるキャベツだ」
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