
緊張感を強いられる場所はもう終わり。さあ、これからは「新しい成田空港」を見に行こうと思う。
2015年4月、成田空港に新しい「第3ターミナル」が完成した。これは、格安航空会社(LCC)専用のターミナルとして作られており、簡素な施設を使わせるかわりにLCCは着陸料などが減免される仕組みになっている。「少しでも安く」がテーマのLCCにとっては、専用ターミナルは願ったりだ。高級路線を行く、フラッグキャリアたちと肩を並べて同じ施設を使うのでは、コスト削減ができないからだ。
今回はその新造・第3ターミナルを見るだけでなく、これまでも存在した第1・第2ターミナルもじっくり見て回ろうと思う。成田空港はもちろんこれまで何度も利用したことがあり、昨年も4回ほど利用している。しかし、出発する際は「チェックインに間に合わせないと!」と慌てているし、到着した際は「次の電車は何時何分発だろう?」と気になっている。だから、折角の空港施設をほとんどお散歩したことがなかった。今回、旅行とは関係ないタイミングだからこそ、落ち着いて施設を観察できるというわけだ。
空港ターミナルに向かうところには、検問のためのゲートがものものしく用意されている。そこにはびっしりと警備員が待機しているのだが、停止させられることも、用件を問われたり車内チェックをされるということはなかった。これもご時世だ。平和な時代になりつつあるんだな、ということを実感させられる。
以前、10年ほど前だったか、車で成田空港を訪れたことがある。そのときはうっかりトランクにサバゲー用のアサルトライフルやら迷彩服を積んでいたため、ゲート手前でものすごく焦ったものだ。車内のチェックがあった場合、いくら言い訳しても連行されるシロモノだからだ。「趣味のサバゲー用のものです」と言い張ったって、「合法なエアガンである」と説明したって、こんな物騒なものを空港に持ち込むのはテロ行為に等しい。
結局このときは、ゲートのところで「すいません、間違ってこっちに入っちゃいました」と警備員に説明し、Uターンさせてもらった。あぶないところだった。Uターンさせてもらう際に、「ついでに車の中身を見せてください」といわれたら、空港に入れないやら、任意同行を求められるやら大変面倒なことになっていたはずだ。
さて、我々はまず第1ターミナルにやってきた。スターアライアンスが拠点としているターミナルなので、ANAマイレージの奴隷になっている僕などはこのターミナルが一番お世話になっている。開港当時からは随分と増改築が加えられたが、やっぱり相変わらず構造が古い。
ターミナル目の前の駐車場が立体ではない、というのも時代を感じさせる。昔はそんなに飛行機はバンバン飛ばなかったし、車で訪れる人も多くなかったのだろう。

成田国際空港第1ターミナル。1階部分は到着ロビーになっていて、出発ロビーは3階になる。
この到着ロビーは、テレビ東京系列の人気テレビ番組「YOUは何しにニッポンへ?」で頻繁に登場しているのでおなじみだ。この日はさほど人が多くなかった。

出発ロビーに行ってみる。巨大な空間。支柱が少ないため、とても開放感がある。
これから旅行に行くわけでもないのに、テンションが上がってワクワクしてくる。恐らく、これが「パブロフの犬」というやつなんだろう。これまでの、空港におけるワクワク体験が蓄積して、今や「空港にいるだけで意味もなくワクワクしちゃう」体になっちゃった。
相方はそういう体験が多くないからか、僕のテンションの高さとは対照的に冷静だった。いやでも、ここから世界各国にいろんな人が旅立っていくんだよ?興奮してくるでしょ?いや、しない?ああ、まあそうか。僕らは日本にいるままだもんね。

ナリタ買い、しましょ
という看板をあちこちで見かけた。今や、空港もショッピングモールと同じ位置づけだ。大規模な駅には立派なエキナカが存在し、改札を出なくてもいろいろお買い物ができちゃう、というのと一緒だ。
ナリタ買いといえば、成田市街にはイオンモールがあるのだが、ここが海外から日本にやってくるツアー観光客の立ち寄り地として定番化している。僕は昔、海外のネット旅行代理店サイトを見るのが好きでよくやっていたのだが、成田のイオンが大人気という事実を目の当たりにさせられた。日本のものが買えるし、テーマパーク的だし、空港に近い、ということで何かと都合が良いのだろう。

飲食店エリアなどを見て回る。
このお店は外国人が結構入っているね、とかここは日本人ばっかりかな?とか、客層を見るだけでも楽しい。あと、どういうテナントが入っているのかも興味深いし、メニューや価格を観察するだけでも新しい発見がある。
やっぱり空港物価なので、大抵の料理は高い。しかし、こちらが期待していた「なんだよこのぼったくり価格!誰が食べるんだよ!」というものは少なく、常識的な範囲での空港物価だったので嬉しい誤算だった。やっぱり今や、空港という殿様商売的立地条件であっても厳しいんだろう。街のコンビニとか、ライバルはたくさんあるのだから。
マクドナルドがあったので、「どうせ100円のメニューとかないんでしょ?空港だけは特別です、って、コーラとかコーヒーとか高いぞきっと」とメニューを確認したら、街中の値段と一緒だったのでびっくり。
写真のお店は、昔のデパート大食堂よろしく、いろいろな料理を扱っていた。最近、目にする機会が減った食品サンプルがずらりと並び、「ほほぅ」と思わず声が出てしまった。そうか、外国人も多く利用する場所なのだから、見た目ですぐに料理をイメージできる食品サンプルは大事なんだな。

こちらはうどんのお店。
安く食事をするにはうってつけだが、うどんというのは箸が使えないと食べにくい料理だ。フォークで食べるのは難しい太さと長さだから。外国人にどれだけウケがいいかは不明。
このお店の面白いところはハラルフードを標榜しているところだ。見ると、豚肉を使った料理がない。肉を使った料理は存在するが、おそらくイスラムのルールに則って正しく処理されたものなのだろう。空港ならではのうどん屋だ。

外に出てみる。
第1ターミナルはA滑走路に面しているので、A滑走路の様子がよく見える。

この時間は出発ラッシュなのか、数珠繋ぎで飛行機がどんどん誘導路に向かっていった。いろいろな航空会社の飛行機が登場するので、見ていて飽きない。
「おっ、あれは○○だ」「これはなんだろう?」
とクイズみたいに楽しめる。
羽田空港も離着陸数はとても多いが、ANAとJALばっかりで、時々ADOとかSKYとか・・・だから変化が少ない。
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