コーズウェイ・ベイ手前でトラムを降り、そこから徒歩で現地に向かうことにした。ジーニアスお勧めのお店、ということで本日はフカヒレを頂きに参ろう、というわけだ。
「初日からこんなぜいたくしていいんかしらん、わしら」
「いいんじゃないんでスかね、おかでんサン今日は頑張ってらっしゃったし。成田でビール我慢したし、機内のおつまみだって全部食べずに我慢した」
「・・・いや、あのおつまみ、全部食べちゃった」
「なにぃ?全部食べたんスかおかでんサン。何やってんの、あれだけ言ったのに」
「いや、ついつい」
「ついついじゃないでしょ・・・まあいいけどね」
やっぱりジーニアスに説教された。しかし、香港全体を包み込む香ばしい空気のためか、早くも夕食に対して臨戦体制に入っているのは事実だ。
写真の正面にあるぼろい建物、これでも14階建てだったりする。あらためて、この街の混沌っぷりに驚かされる。ぼろい建物の奥に、新しいビル。このコントラスト。新と、旧。西洋と、東洋。
コーズウェイ・ベイは、香港島随一の繁華街だ。そごうや三越といった日系デパートもある。
「大体このあたりの通りにあるはず・・・」と、ジーニアスが勘で入り込んだ路地は、なにやら水回りの専門店が並ぶブロックだった。
「なんだここは?ホームセンターみたいな場所だな」
トイレ屋の横には蛇口屋、その横にはタイル屋。わざわざそんなに細分化してビジネスせんでもいいだろうに、と思うくらいにそれぞれの専門ショップが軒を連ねる。
「見ろ、このタイル屋。・・・ドラえもんだぞ」
指さす先には、ドラえもんとミッキーマウスがニコヤカにほほえむタイルが陳列されていた。
「もちろんこれは、著作権・・・守ってるわけないよな」
「だろうな。でもよ、それ以前にドラえもんをタイル柄にしようというその発想がわからん」
「もっと言うと、そのタイルを家のどこに貼り付けようというのか、ますますわからん」
香港の場合、ほぼ全ての家がマンションな訳であって、こんなタイルやら何やら、装飾加工するだけの余地ってあるのだろうか。でも、強引にやっちゃうんだろうなあ、「やっぱり風呂場はドラちゃんの画が無くちゃつまらない」とか言いながら。
さて、本日の夕食は「翅軒」というお店なのだが、到着してみると店はまだ開店していなかった。18時からのオープンだという。
香港は、日本よりも食事のピーク時が1時間ずれているようで、お昼御飯は13時~14時がピークとなる。同様に夕食の時間も遅いため、レストランも「18時開店」といったのんびりとした開店時間で問題ないようだ。
「生意気だな、せっかく俺ら日本から食いに来てやったのによ」
憤慨するジーニアス。
「いやまあ、営業時間がそうなら仕方がないじゃん」
「でもよ、奥の方で店員暇そうにしてたぜ?だったらさっさと開けろ、と。俺らにフカヒレ食わせろ、と」
「食わせてくださいお願いです、じゃないのか」
「何でそんなに卑屈にならにゃならんのよ、フカヒレごときで」
「いやでも、実物見たら感動するんじゃないかなあ、って」
期待は高まる。
時間を持て余してしまったので、隣にあったセブンイレブンに入ってみることにした。
セブンイレブンは感心するばかりに香港進出を遂げており、街のいたるところにその独特のロゴマークを発見することができた。
ただし、店のサイズはどれも香港的であり、即ち間口が狭く、奥行きも狭いコンパクトサイズだった。だから、厳選された生活必需品しか置いていない・・・
と思ったのだが、お菓子コーナーに行けば、半分くらいは日本語で書かれたお菓子だし、雑誌コーナーに行けばやっぱり日本の雑誌がずらりと並んでいる。お菓子はともかく、日本語の雑誌なんて読んでも訳がわからんだろう、と思うのだが、コンビニで売られていると言うことは人気があるということなのだろう。
よく観察してみると、香港の雑誌でも日本の事が取り上げられているようだ。「代官山」だの「表参道」といった文字が雑誌の表紙に踊る。どうやら、「表参道で新規開店したお店を一挙紹介!」という特集記事らしい。どうやら、香港人は日本に相当の憧憬を抱いているらしい。表参道の新規店舗なんて知ってどうすんのよ、と思うが、「いつかは表参道に行ってみたい」という憧れを持って、香港人はこの記事を読むのだろう。
香港のコンビニ弁当事情を見よう、と思って食品コーナーを覗いてみたが、日本人が想定するような「幕の内弁当」的なものは存在しなかった。そういうものを食べる文化が無いのだろう。
その代わり目立ったのが、「御飯の上に料理が乗っかっている『丼物』スタイル」の料理だった。
そういえば、香港の屋台で商売をしている人たちって、店を開けられないものだから大抵お弁当を食べているのだが、そのお弁当は「御飯の上にチャーシュウが乗っているもの」が多かったな。丼もの、というのはごく一般的なお弁当スタイルなのだろう。
ちなみに、左の写真は、ずっしりとした重さがある丼もので10HKD。150円だ。右のやつだって、相当重いのだけど15.9HKD。非常に安い。
「どうすんの?買って帰ったらどうだ?」
凝視しまくっているおかでんの視線に気づいたジーニアスが、悪魔の誘惑をささやく。
「いや・・・これ、要冷蔵だからな、日本に持ってかえるまでに腐りそうでイヤだ」
「何とかなるんじゃないか?数日程度だったら。日本に無いタイプだから珍しいじゃん。安いし」
「うーん・・・。この場で、食べる、というのは・・・?」
「え?何?今なんて言った?」
「あ、いや、何でもない」
危ないところだった。また叱られるところだった。
街には、案外日本にゆかりのあるものがある。日本人観光客が多いからなのか、香港人が日本好きなのか、それとも日本のビジネスマンが頑張って営業しているのか。
「日式ラーメン」というくくりで、日本のラーメン屋があちこちにお店を開いていた。本場中華料理の国で、日本のラーメンが受け入れられている様は見ていて楽しい。客もそこそこ入っているようだった。まさか、日本人観光客がわざわざ香港でラーメン屋に入るはずが無く、おそらく現地の人なんだろう。
そんな中、度肝を抜かれたのがこの写真。「大熊本」と名乗っている。看板には、熊本城のりりしいお姿が。なんじゃあ、こりゃあ。
「当店で召し上がって頂く日本料理は、西洋料理に使われるソースを使用し、又調理方法も西洋料理法によるいわゆる「洋風料理」です。
と書いてある。中国人独特のひらがな間違い(「し」と「レ」を間違える等)が無い分偉いが、そうはいってもさっぱり意味がわからん日本語である。結局、何がしたいんだかさっぱりわからん。もっと言えば、何で「大熊本」なのかすらわからん。
まだお店がオープンする気配が無いので、もう少し周辺をぶらぶらすることにした。
「普通よ、準備でき次第開店するもんだろ。何やってるのこのお店は。開店時間きっちりまで店開けないつもりだぞあれは」
と、ジーニアスはご立腹だ。今日一日の食事は控えめにしてきたので、よっぽど腹が減って、苛立っているのだろう。
転じて、おかでんはといえば「まあ、しゃーないわな」というスタンス。至って平静なんである。この段階になって、機内でおかきを平らげてしまった失態に感謝。あれを食べていなかったら、今頃はジーニアス同様かりかりしていたかもしれない。
店からわずか先のところに、日本で非常になじみ深い看板がでていた。吉野家だ。おお、香港でもちゃんと営業しとったか。「日式飯餐」と書かれた垂れ幕がかかっている。店舗は階段を下りた先の地階にあるため、中を伺い知ることはできなかった。香港の場合、「店が地下にあって、一階部分は階段だけ」というお店は非常に多い。一階のフロアは非常に価格が高く、地下に降りる階段の間口しかコスト上確保できないのかもしれない。
「さすがだな、香港では何事も無かったかのように牛丼売ってるんだな」
「狂牛病で大騒ぎしてるの、日本だけだもんな。一歩海外にでりゃ、何事も無かったかのように牛丼売っても問題ないわけよ」
一番安いメニューは、牛丼大とドリンク(もしくはみそ汁)で25HKD。約375円だから、日本よりも高い値段となる。こっちのB級グルメだと10HKDで雲呑麺が食べられたりする事を考えれば、ちょっとだけお高いお店といえる。
もう少しグレードアップさせようと思えば、下の33HKDの牛丼セットがあって、これは牛丼大、みそ汁、キムチ、デザート、ドリンク付きだ。これで約500円となるが、微妙にやっぱりお得感がない。日本だったら売れないと思う。
こちらの吉野家で特徴的なのは、牛丼とダブルエースの形でチキン丼が存在することだ。丼の半分にチキンの照り焼きらしきものが乗っていて、残り半分が・・・わ、なんじゃこりゃ、ミックスベジタブルだぞ。うーん、微妙にまずそうだが大丈夫か。
で、牛丼とチキン丼のコンボ丼もメニューとして用意されている。
日本で牛丼ピンチ!ってなった時、吉野家は新メニューを登場させたわけだがこのチキン丼はラインナップされていなかった。吉野家としては、海外で既に展開している既存メニューを日本に持ち込んだ方が楽だったはずだが、敢えてそれをやらなかったということは・・・まあ、日本人の口に合わないんだろうな、きっと。
そりゃアンタ、御飯の上にミックスベジタブルって・・・。
とまあ、そんな事を考えながらぽかんと口を開けて垂れ幕を見上げていたら、ジーニアスから
「おい、ちょっと牛丼食べていこうぜ、とか言い出すんじゃないだろうな」
と鋭すぎるツッコミが入った。
「えっ?い、いや、そんな事は決して」
なぜか動揺してどもる。
コーズウェイ・ベイの風景。
商用地であっても、お店があるのは低層階で、それより上には住居が入っているようだ。職住隣接ということか。
そして、古い建物の背後には、近代的な高層マンションが。うーむ。
18時を回って、ようやくお目当てのお店がオープンしたようだ。早速入店だ。翅軒魚翅専店、というお店。
開店直後ということもあって、店内はわれわれしかお客がいなかった。さっそくメニューを見ようとするが、ここには日本語で記された「当店のお勧め」があった。当店の料理がいかにスバラシいか、ということが何ページにも渡って書いてある。街の中で日本語を見かける機会が結構あったが、こういうお店の中でも日本語があるのは意外だった。それだけ香港は日本人観光客が浸透している、ということだ。
「ビールくれ」と英語で注文したら、店員が「ビールね。ちょと待ってて」なんて日本語で言う。もうこの際、英語を使わなくて日本語でオーダーしても事足りるんじゃないか、という状態だ。
ビールは何がいい?と聞いてきたので、青島ビールを注文。他にも中国産のビールはあるのかもしれないが、よくわからないので、知っている銘柄を。
ちなみにこのお店、ドリンクメニューは存在しなかった。この後、香港旅行中に入ったレストランはいずれも同じ。そして、周囲を見渡してもお酒を飲みながら食事をしている人は皆無だった。ひょっとすると、香港ではこの手のお店でお酒を飲む、という習慣が無いのかもしれない。日本人としては、中華料理といえば紹興酒、老酒!というイメージがあっただけに、ちょっと予想外。
まあ、しゃーない。香港という異国の地でへべれけになってしまうのはよろしくないので丁度良かった、と言うことにしておこう。
出てきた青島ビールは、350ml缶だった。ウェイターさん、うやうやしくグラスに注いでくれるんだけど、缶じゃあねえ・・・何だか、ありがたみが無い。というか、安っぽいぞ。せめて、タンブラーに注いでから持ってくるとか工夫できんものか。
そういえば、われわれの周囲を一匹のハエが飛び回っていて気になってしょうがなかったのだが、それを見つけた店員、ひっきりなしにわれわれの隣で「ぱしん!」「ぱちん!」と叩き潰そうと手を振り回していた。
どうやら、缶でのサーブにしろ、ウェイターさんの身のこなしにしろ、日本人が良しとするサービスというのと香港人が良しとするものとは微妙な乖離があるようだった。
「何だか、高級店っぽいたたずまいとメニューの割には、対応がざっくりしすぎだよな。皿をカチャカチャ言わせたりするし。俺らの方が、食べるときに音が立たないように気を遣っているくらいだぞ。何だか本末転倒じゃないか」
注文を済ませ、ビールを飲みながら待つことしばし。最初の料理がやってきた。フカヒレスープの登場だ。280HKD(約4200円)だ。
素っ気ない器に盛られてきたので、おい本当に大丈夫か、と不安になる。小皿に、しっぽを取り除いたもやしが盛られて添えられている。これを、スープの上にかけて食せ、ということらしい。
しかし、肝心のフカヒレは・・・?上湯スープの中に隠れていて、よくわからない。
試しにレンゲで中をさらってみた。予想に反して、ずっしりとした手応え。引き上げてみると・・・
「おおおおおう」
二人とも、思わずハモりながら感嘆の声。出てきたぞ、フカヒレちゃん。鍋底いっぱいにフカヒレが陣取っていたのだった。
普段、「フカヒレスープ」と称している料理を頂くときは、繊維がバラバラになっている春雨まがいなものだ。こう、固まりで出てくると、ちょっと身構えてしまう。
「これ、食べにくいな」とか言いながら、フカヒレの固まりをレンゲで分割しているその行為に軽く興奮。
「あぁ、うまいなー」
「ううむ、うまいなー」
二人とも、なぜか苦々しそうな顔をして、呻く。人間、本当に美味いものに出会った時はうれしい顔をするものではない。顔をしかめるものだ。敢えてたとえるなら、「車で事故っちゃった・・・どうしよう」という顔だ。
最近のワカモノは、何かにつけて「マジヤバイ」と、「ヤバイ」という言葉を使う。これは「すごい」とか「イケてる」といったポジティブな意味として使われている訳だが、フカヒレスープを飲んでてワカモノ用語に何だか共感してしまった。本当に美味いものは、ヤバイ。顔つきも、ヤバい時の顔になる。
「どうするよ、香港初日からこんなもの食べちゃってよ。後が盛り上がらなくなるぞ」
と、早くもこの後の展開を心配する貧乏人おかでんだったが、ジーニアスは
「まだまだこんなもんじゃないって、香港は」
と自身満々だ。そうか、この自身があったからこそ、イマイチ乗り気でなかったおかでんを強引に香港に誘った訳だな。でも、そのおかげでこうして満喫しているわけです。
とか感慨にふけっているうちに、次のお皿がやってきた。
「ええと・・・何だっけ、これ」
日本語解説があるメニューとはいえ、いろいろな状況に頭がついてこれておらず、頼んだ品が何だったか忘れかかっていた。しばらくその形状をにらんで、ようやく思い出した。がちょうの水かきと、なまこの煮物。
チンゲンサイでも添えればいいのに、と思うくらい殺風景なお皿だが、一口食べてまた「うわぁ、うまいなあ」と二人とも苦悶の顔に。
がちょうの水かき、何のことはない普通の鶏肉といった感じなのだが、骨にしゃぶりついているととても幸せだ。これ、水かきが美味いというよりもたれの勝利だな。なまこはぷるんぷるんだけど、ナイフはすっと入る絶妙の堅さ。
大の大人二人が「ああ」とか「うう」と呻きながら水かきと格闘していたら、今度はえらくボリュームのある料理がでてきた。
「・・・で?何だっけ、これ」
やっぱり思い出せないんである。後になって思い出したが、あわびと魚の浮き袋の炒め物だった。
このお店のあわび、親指の先くらいのサイズで280HKD。やっぱり高いものは高い。そんなヤツを二人でちみちみと分け合うのもバカバカしいので、あわびそのものを頂くのは断念していた。その替わりといっては何だが、あわびを使った料理をセレクトしたわけだ。
浮き袋は日本では食べ付けないものだが、なんとなく麩と海藻を足して二で割ったような食感だ。味が染みておいしいのだが、濃い味付けがストレートに反映されてしまうので食べているうちに飽きてくる。
食べている最中は料理名を覚えていなかったため、ジーニアスが「この大量にあるやつ、麩だろ。残せ残せ、こんなの。おなかいっぱいになってしまうぞ」と推奨。結局、浮き袋は「何やら料理のかさ増しに使われたらしい麩」という扱いにされてしまい、大量に残されてしまった。料理名にも冠されている、重要な食材だったのに。
ちなみに、浮き袋であることを思い出したのは、翌日の昼だった。
本日のお米。アワビチャーハン、280HKD。
このお店は、どうも「280HKD」というお値段設定が好きらしい。多くの料理がニッパチで設定されていた。
チャーハンの分際でどえらく高いじゃないか、と思っていたのだが・・・
「わっ、何だこのボリュームは」
「おいおかでん、お前が物欲しそうな顔をしてるから量が大盛りになったんじゃないのか」
「んな事があるか。それにしても、どうやって盛りつけたんだろうこの半円形。鍋をそのままお皿の上でひっくり返しました、ってくらいでかいぞ。かまくらみたいだ」
あわび、という事はさておき、どう見ても4人前はありそうなボリュームなのだった。
量の多さもさることながら、この色の濃さにも少々たじろいだ。えらく味が濃そうだ。しかも、ねっとりしてそうだ。食べきれるだろうか、こんな料理を。
・・・と思って一口食べてみたら。
「ううむ」「おおう」
またもや苦悩の表情。ジーニアスが「うまいなー」と速報値を公表。見た目に惑わされてはいけない、これはあっさりとしていて非常に美味い。ねっとりもしておらず、長粒米独特のぱらぱら感が、おいしさを後押しする。
あわびは、単に具として入っているだけではなく、どうやらスープをとって御飯になじませているようだった。まんべんなく、あわびのうま味が広がっていてああ幸せ。幸せだけど、二人で食べるには量が多すぎ。
おいしいチャーハンを前に、「麩(実際は浮き袋)を残そうキャンペーン」を実施中のジーニアス。平皿に、見事なまでに残された浮き袋が並んでいる。
入店時、われわれしか居なかったお客だったが、家族連れがやってきてわいわい料理を食べ始めた。
「俺さっきからあの家族に運ばれている料理、見てたんだけどよ」
とジーニアスが話しかけてくる。
「どうも、メニューにない料理を次々と頼んでいるようなんだよな。やっぱ俺ら日本人だから扱い違うんかね」
「いやー、気のせいじゃないか?日本で、ガイジン向けメニューと日本人向けメニューなんて存在しないじゃん」
とか言ってると、家族連れの席からじゅわーっ、と派手な音が立ち上った。びっくりして振り向くと、おこげ料理がそのテーブルに提供されたところだった。
「ほら。おこげなんてメニューにあったっけ?」
・・・あったかもしれないし、なかったかもしれない。どうしてもわれわれ、「フカヒレ」とか「あわび」という文字に気をとられてしまい、一般的なメニューには目が行き届いて居なかった可能性がある。ま、おこげがメニューにあって、われわれがその存在に気付いていたとしてもおそらく頼むことはなかっただろう。
なんとか全ての料理を食べ終わって(除く浮き袋)、「いやぁ、おなかいっぱいになっちゃったなあ」とおなかをさすっていたら、最後にデザートが出てきた。これはどうやらサービスらしい。
お汁粉みたいなものだった。中に白玉団子でも入っていたので、まさに日本のお汁粉だな、と思って食べてみたら、何かの木の実だった。
結局、この日お店に支払ったのは、チップ代込みで1,200HKD。おお、なんと一人頭9,000円相当の食事をしてしまったことになる。
「うわ、案外かかったな・・・。高い食材なので高そうにみせかけておいて実は安い、とみせかけてやっぱり高かった」
「まあ、非常に美味かったからよかったんではないかと。でも、これで全財産の1/3近くを消費してしまったというのは如何なものかと」
今回、現金は合計6万円をHKDに変換してある。この食事で18,000円相当を使ってしまったわけで、手持ちキャッシュの1/3を使ったことになるのだった。まあ、足りなければクレジットカードで支払うとか追加でHKDに両替すればいいので問題はないのだが。
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