
ゆで上がったカニの胴体。箸4本を使って巧みに鍋からすくいあげる宿の人。
宿の人は言う。
「タカアシガニの有名なところは、西伊豆では戸田(へた)という場所があります。でも、タカアシガニが名物なだけに、冷凍ものを使ってでもお客さんに提供しなくちゃいけない場合があるんですよ。その点、うち(雲見温泉)は(戸田と比べて)立地条件が悪いだけに、新鮮なカニを提供してお客さんにご満足いただいているんです。だから、タカアシガニの漁期である12月~2月の間だけ、タカアシガニを提供しているんですよ」
「おう、2月までだったのか。良かったなあ、今回旅行のタイミングと合っていて。ずるずるとあと一か月後くらいに旅行することになっていたら、もう食べられなかったぞ」

お湯だけが残った鍋だが、このお湯はカニの出汁がよく出ている貴重品だ。ご飯にかけて食べよう。

ああ、ご飯が何杯もお代わりされていくよ。食い地獄満喫中だな。

おなか側の皮をひんむいたカニ。うひゃー、カニみその量も世界最大級。

あと、間接部分にまだ食べられる身が残っているので、そこも食べなくちゃ。
身の部分は、胴体とはいえ脚同様身離れがものすごく良いのでびっくり。こういう場所こそ、カニスプーンの出番なはずなのに・・・。どこまでユーザーフレンドリーなカニなんだ。バリアフリー蟹、と名付けてもよいかもしれん。

カニみそをいただくしぶちょお。まるで大相撲で優勝した力士が祝杯をあげる時みたいだ。


カニみそをいただく様を見ているうちに、「このカニ、仮面みたいに顔にかぶれるんじゃないか?」という話になった。なるほどそれは面白そうだ。さっそくカニを洗面所でじゃぶじゃぶ洗い、きれいにしてからかぶってみたら・・・おお、あつらえたかのようにぴったりだ。ちょうど眼鏡のフレームが甲羅にひっかかり、手を添えなくても甲羅が顔から外れることがない。


ここから写真撮影会開始。本日の夕食で二度目。食事会場が個室で本当に良かった。こんなの、他の人がいるところではできないから。
しぶちょおがこの甲羅を欲しがったので、宿の人に相談してみたところ、快く応じてくれた。しかし、案外取り扱いはデリケートらしく、時々甲羅を湿らせないと、すぐにヒビが入ってしまうのだという。本当だったらプラスチックコーティングとかした方がよさそうだ。

結局、うどんの鍋はある程度残したものの、ほとんど食べてしまった。うどんを食べるのは戦略的に後回しておいて良かった。先にうどんを食べていたら、タカアシガニを食べきれなかったかもしれない。
部屋に戻りよもやま話をし、24時頃就寝。
2011年02月12日(土) 2日目

2日目の朝。
朝風呂に入って、朝8時から朝食。










昨日食べ残したアオリイカのげそ部分をあぶったものが出てきた。これはこれで美味いなあ。
あと、アジの干物を卓上で鉄板焼きにするのは、よい試み。固形燃料で下から熱を加えているので、熱々の干物を楽しむことができる。

ご飯の保温ジャーを開けてみてびっくり。おい、昨日の夕ご飯よりもご飯の量が多いぞ。なんの陰謀だ?
昨晩でも結構な量だったわけだが、それを食べきってしまったのがいけなかったらしい。宿側の闘志に火が付いて、「よーし、ならば朝ごはんでは完膚無きまでに食べ残しを作らせてやる」と思ったに違いない。目分量だが、多分四合は入っていたと思う。

その闘志、受けてたったァ!とばかりに山盛りのご飯をこしらえるしぶちょお。おお、朝から男らしいぞ。・・・と思ったら、そのお茶碗はおかでんの眼前に。
「え?これ僕の?」
「当たり前でしょう」
そうスか。わかりました、喜んでおいしくいただきます。

結局、おかずが旨かったので飯がはかどってかなわんかった。ご飯お代わりをしたりしていたら、何のことはなくするするとお皿の上のものを平らげてしまった。そして、懸案だった大量のご飯もすっからかんに。どうだどうだ。朝から僕たちゃ胃腸が丈夫だぜ。

カニの甲羅をお土産に、宿をチェックアウトする。
3人の宿泊におけるお会計は、ビール2本込みで31,475円だった。一人1万円ちょっと。安いったらありゃしないな。あれだけのアオリイカとタカアシガニを食べてこの値段、というのはちょっと信じられない。いやはや、良い宿にであったものだよ。

カニの甲羅、車のエンブレムにしたらさぞやカッコよかろう、と思ってフロントグリルに装着してみる。うん、大層勇ましい。固定できるものならこのまま甲羅をセットしたままで走行してみたかったが、固定するツールを持ち合わせていなかったので断念。


今日はあいにくの荒天。昨日、降雪でびっくりさせられた戸田峠はチェーン規制がかかったらしい。伊豆半島で雪が降ったら大変だ。なにしろ、車に乗っている人は油断しまくってノーマルタイヤで動き回っている。ちょっとでも道が凍結したら、すぐにツルーン、といってしまう。
そんな中、アワレみカーは雪から逃れるように伊豆半島の最南端まで行く。でも、石廊崎(いろうざき)には立ち寄らずにそのまま素通り。今日、特に何か予定があるわけではないのだが、この雨空の下で岬の先っちょまで行くのはどうにも冴えない話だったからやめたのだった。
ばばろあは、
「あそこには○○や××(いずれも軍事遺跡)があるんじゃけど、そこを素通りするとは!うけけけ」
となんだか変なテンションで笑っていた。伊豆の最南端までやってきて、何も観光しないで素通りする・・・このひねくれた行為に、なぜか車中全員が盛り上がった。
車はどこかへ立ち寄ることもなく、ぐるっと伊豆半島南部を周回。下田に到着。

せっかくだからここでは何か見て行こう、ということになり、「下田開国博物館」に入ってみることにした。
入場料は若干高かったが、案外みるべきものがあってなかなか楽しかった。

お土産物売り場の片隅に、千社札製造マシーンが据え付けられていた。こういう機械の存在を初めて知ったのだが、見てしまった以上、お札を作らざるを得ないだろう。それがアワレみジャスティス。

そんなわけで、なけなしの300円を払って、テンプレートをいくつか組み合わせて「大入 アワレみ隊 人気絶頂」という千社札を作ってみた。でき上がったのを見て、これが失敗作であるということをすぐに悟った。なんだこれは。自嘲気味に自画自賛するにしても迫力がないし、本気で自画自賛するにしても安っぽすぎる。うーん、失敗作だな、これは。
下田を後にしたわれわれは、北上を続ける。今日の目的地点は湯ヶ島なので、天城峠を超えて伊豆中部に向かうことになる。

道中、河津町を経由する。毎年河津町では、2月10日から3月10日頃、「河津桜まつり」が開かれている。ちょうどこのお祭りの時期と重なっているので、河津桜の並木が3kmも続くという河原に行ってみた。

・・・全然咲いていなかった。雲見温泉では咲いていたのに、こちらでは全然。まだつぼみも膨らんでいない状態だ。やられたー。

それもそのはず、伊豆半島は異常気象の真っただ中。われわれがいるところも雪が降り始めたばかりでなく、伊豆の北部・中部の方面において次々とチェーン規制、そして道路通行止めの箇所がどんどん現れてきた。
いけねぇ、われわれが湯ヶ島に行こうとすればどうすりゃいいんだ。
天城峠を越える「最短ルート」はまだ通行可能だったので良かったが、この道路が封鎖されるのは時間の問題。
ロードマップとカーナビとで吟味してみたところ、いったん石廊崎まで南下し、半島を時計回りに回って雲見温泉、土肥、戸田、沼津・・・と伊豆半島の根元まで戻り、そして三島から修善寺経由で湯ヶ島着というルートを取らざるをえない。そうなると、6時間以上かかることが判明。うわあ、急に切迫してきたぞ。まだ現在は12時だけど、宿の夕食の心配をしなければならなくなってきた。


本当は「河津七滝」を楽しみながら温泉に入ることができる、河津温泉大滝荘に立ち寄り湯で入ることにしていた。しかし、温泉なんて入っている場合じゃねえ、ということになり、急きょお風呂はカット。いちおう河津温泉までは行ったが、ここで食事をしてから早々に宿に向かうことになった。
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