風呂上がり、宿へと戻りがてら土産物屋を見て回る。土産物屋の店頭に、「しんこ餅」という看板が出ていて気になった。なんだそれ。
「●んこ・・・餅?」
思わず伏せ字にしたくなる。だけどそれを口にしてはダメだ。地元の人に怒られるし、なによりも隣に女性(よこさん)がいる。伏せ字の中にどっちの字を当てはめても、多分どっちでも怒られるだろう。
いや!大丈夫だ、「う」なら・・・いや、それはそれでダメだろ。おとなしく「しんこ餅」と言え。
どうやら「しんこ餅」は松之山名物になっているらしいのだが、正体がよくわからない。聞いてみると、「上新粉(うるち米を粉にしたもの)」を練って餅にしたものを「しんこ餅」というらしい。ああ、「上新粉」だから「しんこ」なんだな。松之山に限った話ではなく、新潟県全般でよく売られている模様。さすが米どころ。
「笹だんご」というのは全国的な知名度のお菓子だけど、「しんこ餅」というのは知らなかった。ちょうど、バラ売りをやってくれるというので買ってみることにした。ヨモギ入りで緑色のものと、シンプルな白いもの、それぞれ1個ずつ。1個75円とお安い。
あと、「あんぼ」なる饅頭もこのあたりの名物だと付け焼き刃的に知ったのだが、こちらはこの場で食べられる状態では売っていなかった。持ち帰って、蒸かして食べるものとしては売られていたので、買うのはやめにした。「あんぼ」・・・これも聞いたことがないものだ。お店では、「こしひかりあんぼ」という名前で売られていた。
近くの「十一屋商店」にも足を運んでみる。松之山温泉のパンフレットによると、ここには「しそ饅頭」というものが売られているというからだ。しかし残念なことに、しそ饅頭は売られていなかった。季節が悪かったのか、時間帯が悪かったのか。
そのかわり、この土産物屋はお酒の取り扱いが豊富で面白かった。独自のPOPを沢山付け、観光客にさまざまな情報を提供しているのが好印象。へえ、そうなんだ、と感心させられる。
「よこさん、今晩は決戦前夜祭だし、飲んじゃえば?」
「いやだから、風邪引いてるっつーてるでしょうが」
「うお」
酒販コーナーを見て回っていたら、思わず声が出てしまった。渋い越後地酒が並ぶ中、急に明るい雰囲気のポスターが貼ってあったからだ。そこには、これぞ萌えキャラ、という女の子の絵が描かれていた。「さわやか梅酒 うめ物語」という商品のポスターだ。
「へええええ。萌え米とか萌えキムチとか一時沢山出たけど、萌え梅酒ってのもあるのか。まあ、そりゃそうだよなあ、目をつけない訳がないもんな」
「やややや」
うめ物語が売られているコーナーに行ってみると、まるでアニメショップに訪れたかのような華やかさがあった。「うめ物語」だけじゃなくて、「うめワイン」まであるぞオイ。しかも、わざわざ箱入りだ。萌えラベルの瓶、さらには萌え化粧箱。これ、二次元好きな人ならコレクチオンしたくなるだろう。
実際、お店が付けたPOPには
子どものおみやげに梅酒???
人気マンガ家「蒼樹うめ」さんの箱付き梅酒、この前「箱だけ下さい」と言われました。子どもは外身で、大人は中身で楽しむ!1箱で2度おいしい!
と書かれてあった。「サプライズプレゼントに使えるね!」とも。ただし、このお酒、プレゼントにするなら相手を選ぶとは思うが・・・。
ところでこの絵を描いている作家さんって、「蒼樹うめ」さんっていうんだな。うめ、という名前がちょうどきっかけになって依頼されたんだろうが、それにしても随分キュンキュンくる絵を描きおるな。なんなのこの人、と思って調べてみたら、「魔法少女まどか☆マギカ」のキャラクター原案の人なんだな。あー、言われてみれば納得だ。
「それにしても、新潟って梅の名産地だったのか。知らなかった」
二人とも感心し、これでまた知識が増えたね、と話していたのだが、後日この酒造メーカーは茨城県水戸市にあることを知った。あ、新潟の酒じゃなかったのね。やっぱり新潟は清酒かー。
で、清酒。
こっちはすごいぞ、ONE PIECEとタイアップだ。大海賊・エドワード・ニューゲートが酒をがぶがぶ飲みながら「美しく輝く黄金の水田・・・だが本当のお宝はそこから生まれるうまい酒だ」と語っている。やっぱり、「うまい銀シャリだ」とか「うまいおにぎりだ」とはキャラクターの性格上言わないか。
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