褒美の希望は島流し【のっとれ!松代城2014】

雪国仕様の標識

食後、「越後まつだい冬の陣」会場に向かう。会場の場所を事前に特定できていない上に、我々が今いる地点はまつだい駅の裏手にあたる場所なので、どうやって会場に行けばいいのか自信がない。しかも周囲は雪、また雪。

「こっちの道が正しいのではないか」「いや、こっちでは?」と小競り合いがおきる。

結局、裏道を使って最短ルートを狙うのは諦めた。雪で通行できないかもしれないからだ。いったん、大動脈である国道253号線まで出る。

国道にある青看板は、さすがの雪国仕様。屋根付き?の不思議な形をしていた。こんなのを見るのは初めてだ。看板くらいの薄い板だったら、雪が積もる心配もないような気がする。でもわざわざこういう形を取り入れているということは、普通の看板だと支障が出るのだろう。

「あれ?でも左下にある小さな青看板、あれは普通の板だ」

何から何まで雪国仕様、というわけではないらしい。

のっとれ!松代城ののぼりが見える
会場

会場とおぼしき方向に向かっていくと、国道脇に「のっとれ!松代城」ののぼりが掲げられているのに出会った。これが我々にとって、初めての「明日の決戦に向けた現地での歓迎」だった。

「おおう、やっぱりやるんだな、松代城!」

そう、雪を見て興奮しておしまい、じゃあないんだ。その雪の上を走るイベントをしにきたんだった。忘れちゃいけない。

松代高校のところを脇道にそれたら、そこに大きな屋根の建物が見えた。松代総合体育館らしい。あのあたり一帯が、「越後まつだい冬の陣」の会場になるという。「のっとれ!松代城」もここがスタート地点だ。

会場には駐車場がないので、周辺の駐車場からシャトルバスがピストン輸送されていた。そのためバスが会場入り口ではひっきりなしに転回をしている。バスを避けつつ、同時に水たまりを避けつつ、会場を目指す。

我々は登山靴を履いてきている。邪魔くさいので長靴は履いていない。なので、あまり水たまりや雪にバサバサと足を突っ込むわけにはいかない。いくらゴアテックス製だとはいえ、隙間から浸水してしまうからだ。今日はしゃいでしまって明日の試合本番で靴がびしょ濡れ、だったらもうお話にならない。

色とりどり屋台

会場入り口手前にできていた屋台。

こんな雪の中なので、防寒対策を徹底しないといけない。お客様に暖を与える以前に、自分が凍死してしまう。なので、ビニールシートで周囲を覆い、接客をする正面も隙間を狭めにして、寒風が吹き込みにくくしてあった。ちょっとしたホームレスの家みたいだ。たとえが悪くて申し訳ないけど。

で、感心させられたのが、売っているもののバリエーションだ。普通、縁日の屋台というのは1店舗1種目の取り扱いだ。せいぜいビールを併売するくらいで、よろず屋状態にはならないものだ。しかしこの屋台、看板に出ているだけでも5種類、実際には6種類もの食べ物を売っているのだからすごい。しかも扱っているものは多岐にわたり、沖縄名物の「さーたーあんだぎー」からはじまって、宇都宮餃子、宇都宮焼きそば、そして唐揚げ、ポテトフライ、チョコバナナという有様。揚げ物、焼き物、デザート、そして沖縄から栃木までという守備範囲の広さ。ここの店主、いずれノーベル平和賞か何かとるんじゃないか、というくらい視野が広い人だ。

雪原に広がる屋台

驚き呆れながら先に進むと、体育館の奥が広場になっていた。夏になるとグラウンドにでもなっているのだろうか?今は完全に雪に制圧されている場所となっている。そこにテントが二列に並び、屋台が軒を連ねていた。ここがメイン会場、というわけだ。

焼き鳥が売られていた
屋台

屋台テントは、長さが100メートルはあろうか。それが二列なのだから、結構盛大だ。縁日屋台が数店舗、賑やかしで出店している程度だと思っていたのだがとんでもない。これはかなり力が入っている。しかも、プロのテキ屋さんがやっているわけではないので、むしろバラエティに富んだ屋台になっていて、見ていて面白い。

面白い、ん、だが・・・。

「おなかいっぱいで、何も食べる気がおきない」

ついさっき、里山ビュッフェでがっつんがっつん食べたばかりだ。いくらこの極寒の中、体温維持のためにカロリーが消費されるとはいえ、小一時間でおなかが空くなんて都合の良いことはない。

「食べたいもん、いっぱいあるんすけどねー。イタリアンとか」

焼きそばの上にミートソースが載っているという、新潟独特のB級グルメ、「イタリアン」。噂にはよく聞いているのだが、東京で食べる事は滅多にできない。それが今回ここで遭遇できるのだという。楽しみ・・・だが、今はそんな料理を想像するだけで胃がもたれる。明日にしよう、明日に。

マスコットキャラ

ちょうど会場では新潟各地のゆるキャラが大行進?しているところだった。屋台の間をゆっくりゆっくり、歩いていて、記念撮影に応じたり、ちびっ子たちの暴力に耐えていた。何しろ足元が踏み固められた雪なので、足場が悪い。かわいさ重視で立ったときのバランスなんてこれっぽっちも考えちゃいねぇゆるキャラの中の人は、姿勢維持で必死だと思う。付き添いのお姉さんなんぞがにこやかに、でもしっかりと脇にいていざというときのお助け役になっていた。万が一転倒したら、着ぐるみのお陰で怪我こそしないものの起き上がるのは一苦労だろう。

遠くからでも、新潟を代表するゆるキャラである「レルヒさん」のいけすかねぇ顔はよく見えた。なんなのその澄ました顔は。気になるじゃねえか、という感じ。背が高い(というか顔が長い)キャラなので、人混みでも目立つ目立つ。

一方、なにやらミカンと鳥を足して二で割ったようなフォルムのゆるキャラもいて、そちらは愛らしい外観の割にレルヒさんより人気がなかった。僕自身、見たことがない。

「これは何のゆるキャラですか?」

と付き添いの人に聞いたら、松之山温泉のキャラで、「ゆとっと」と言うのだという。おお、松之山温泉か。道理で、おなかのところに温泉マークがついているわけだ。

「松之山ですか!今晩僕らそこで一泊ですよ!」

と伝えると、ゆとっと君(さん?)は手だか羽だかをバタバタさせて喜んでいる・・・らしい。

「それにしても普通ゆるキャラの着ぐるみって、暑くて汗ダラダラで中は臭いって聞きますけど。これだけ寒い屋外だと、むしろ快適にお仕事できるんじゃ?」

と子供の夢をぶちこわすようなことをそっと聞いてみたら。「うん!」とゆとっとは頷いていた。あ、やっぱりそうなのか。

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