2020年9月/コロナ時代の静岡にひっそり帰省する

15:54
富士山静岡空港から高速道路に乗って、びゅーんと静岡市街に戻ってくる。

静岡インターのすぐ近くに、静岡を代表するハンバーグレストラン「さわやか」があったので、そこで一足早い夕食を食べることにした。昼食も大して食べていないので、昼食兼夕食だ。

この「さわやか」は肉汁たっぷりのハンバーグで知られているが、静岡県内にしかチェーン展開していない。

ここのハンバーグが美味しい、という噂は静岡県外にも知れ渡っていて、他県から「さわやか」目当てでわざわざ訪れる人は後を絶たない。東京方面から見てもっとも近いさわやかは御殿場で、現在は御殿場に2店舗ある。

2店舗あるというのに、需要には答えきれていないという繁盛っぷりで、ここの混雑はいつもネットで話題になるくらいだ。1時間待ち?2時間待ち?いやいや、そんなのは待っているうちに入らない。なんと9時間待ちなんて日もある。

整理券制度なので、店頭で長ーい行列を作る必要はない。とはいえ、朝に予約をとって、食べるのは夕食って何の冗談なんだ。

さわやかでご飯を食べたいと思っているなら、県外から密航してきた勢が集中するであろう、静岡県の東西のキワにあるお店は避けたほうが良さそうだ。

なお、「平日なら御殿場でも空いているのでは?」と思うのは甘い。Twitterでお店の混雑状況を随時チェックできるので見てみるといいが、平日でも数時間待ちはザラだ。

幸い僕らは、静岡インター店という場所と、16時前という中途半端な時間だったこともあって待ち無しで入ることができた。僕にとって初「さわやか」なので楽しみ。

卓上には消毒用、として次亜塩素酸水のスプレーが置いてあった。こういうところがコロナ時代。

さわやか名物の「げんこつハンバーグ」。

170グラムだと「手づくりハンバーグ」、200グラムだと「おにぎりハンバーグ」となり、250グラムだと「げんこつハンバーグ」という名前になる。

見ての通り、まるまるとした形が特徴。

ハンバーグといえば、「焼く前に真ん中を押してすこしくぼませること。そうしないと、中まで火が通らない」なんて言われるものだ。それに真っ向から対抗する、「真ん中が盛り上がった」スタイル。

その結果、このハンバーグの中身はレアだ。

じゃあどうするの、というと、店員さんが目の前でハンバーグを真っ二つに割って、その断面を熱せられた鉄板に押さえつける。これで火の通りをよくする。

もっとうやうやしくこの儀式が行われるのかと思ったら、あまりにもあっけなくハンバーグをスパーンと切ってジューと押さえつけたのでびっくりした。そりゃそうか、店員さんからしたら一日何十、何百とこの作業をやっているのだから。

店員さんが去った後のげんこつハンバーグ。

半分に割られ、押さえつけられ、ようやくハンバーグっぽいシルエットになってきた。それでもなお、肉厚だ。

自宅でハンバーグを作って食べる際、こんな肉厚なものは食べる機会がない。作ろうと思っても、中まで火が通らないだろうことを心配してしまう。

オニオンソースとデミグラスソースが選べるので、オニオンソースを。

出来上がり。

この段階でもまだげんこつハンバーグの中央は生っぽい。それでも食べられる品質の肉を提供できる、というのがこのお店の強みだ。素人は真似ができない。

なお、この静岡インター店だが、僕らが訪れた2ヶ月後に火事で全焼してしまった。グリルに油をこぼしてしまい、そこから引火したことが原因だそうだ。7ヶ月後には営業が再開できたのはなによりだ。

いしと僕の2人は、なんかこういうのが多い気がする。コロナ流行直前に結婚式を挙げることができて「本当に運が良かった」と思ったし、後の話となるが、親が本格的に認知症になる前に孫に会わせることができたのもギリギリセーフだった。

そこで僕らが語り合っているのは、「やりたいと思ったことを後回しにしては駄目だ」ということだ。「まあ、いずれ」と思っていたら、その機会を逸してしまう。特にコロナ以降、「行きたいと思っていたお店が廃業」「会いたいと思っていた友人が遠くへ」などと変化が激しい。思い立ったら、遠慮せずに実行しないといけない。時間は取り返しがつかない。

(つづく)

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