2019年02月09日(土) 2日目
「おわっ!?」
枕元のスマホをふと見た時、状況が一瞬理解できなかった。時計が指し示しているのが、「11:04」となっていたからだ。
僕は寝坊なんてしない。小心者というか、旅先だとむしろ早起きをしてしまう。体を休ませるつもりが、むしろ疲れてしまうくらいだ。
だから、目の前の「11時」という表示は理解ができなかった。そんな馬鹿なことがあるものか。せいぜい、寝坊したとしても9時だろう。気絶でもしていないと、こんな時間まで寝続けるのは無理なはずだ。
スマホの故障?とかあれこれこの状況を理解する努力をする余裕はない。もしこの時刻が本当なら、大変なことだからだ。
この宿のチェックアウト時間は11時。既にオーバーしている。
慌ててベッドサイドのホテル備え付けの時計を確認してみる。ここでもやっぱり、スマホと同じ時刻だった。バッと窓のカーテンを開けてみる。正面に見える甲府警察署の景色は、朝日眩しい雰囲気ではなく、既に太陽がてっぺん近くにある気だるい雰囲気があった。
やべええええええ。
状況がわかれば、慌てて身支度だ。もう、目に留まるもの片っ端からかばんに詰めて、すぐにチェックアウトだ。延長料金がかかるぞ、このままだと。
「このままもう一泊したいな」とは思ったけど、今回の旅行を計画する時点でそれが無理だということを空室情報で知っていた。土曜日夜、甲府の夜はどこも軒並みホテルが満室だった。ドーミーインもしかり。
なので、開きなおって連泊、というのはとれない。だからこそ、大至急ホテル脱出だ。
11:16
顔すら洗わず、ひげもそらず、転がるようにホテルを脱出。おかげで写真に写っている顔がまだむくんでいる。
ザックの荷物はホテル前の歩道で改めて詰め直すという有様。もちろん裸足だ。靴は履いているけれど、ソックスを履く余裕はなかった。
あー。あれだけ楽しみにしていた朝食バイキング、食べそびれた。朝食時間をかすりもしない、大失態。「ギリギリ時間切れ」でもなんでもない、爽快なタイミングずれだ。
こんな失態は初めてだ。びっくりしたなあ。傾眠するとは思わなかった。布団やまくらの相性が僕とよかったのだろうか?
たぶん、カーテンの遮光っぷりが半端なく、外の明るさを殆どシャットアウトしていたので体が油断してしまったのだろう。俺のホメオスタシスを狂わせる宿。恐ろしい。
旅行における「宿の朝メシ」というのは楽しみ度合いが相当高いのに、朝食抜きは悔しい。そして、旅行だというのに、既に時刻は昼に差し掛かっている時間を無駄にした感たるや、すごい。
まあ、自宅以上に熟睡できたんだから結果オーライ、ということにしておこう。
11:33
まだ起きたばかりなのと、朝食食べ損ないということで呆然としている状態。
どこかで体制立て直しをしたいところだが、手頃な公園のベンチなんぞがホテル近くに見当たらないので、もうお昼ごはんを食べに行く。
目指したのは、「蓬莱軒 本店」という中華料理のお店。地元民に人気のお店だという。
行ってみると、たしかに繁盛している。11時30分開店だというのに、既に駐車場に車が並んでいるし、店頭には順番待ちの行列が出来ていた。大きな店なのに、びっくり。
ここは「元祖支那そばのお店」を謳っている。「支那」という言葉を使うことが差別ではないか?ということで消滅しかかっていたけど、この言葉を受け継いでやっている、ということらしい。
11:43
餃子500円。これも人気の品らしい。
餃子500円は高い気がするけれど、「餃子の王将」や「日高屋」といったチェーン店の値段と比較するのはそもそも無理がある。
味はおいしかった。
11:59
支那そば。ちぢれた細麺。メンマがしっかり載っていて、食べごたえがある。これもうまかった。
12:09
お店の道路を挟んだ向かいも、蓬莱軒の駐車場になっていた。車がびっしりで、空きがない。
12:12
蓬莱軒は、甲府の繁華街から少し離れたところにある。てくてく歩いて、繁華街に戻る。
途中みかけた駐車場。入り口なのに、進入禁止の標識が出ている。何だ何だ、なんのトンチだ?
どうやら、この駐車場を突っ切った先が別の道路になっているので、そこから駐車場に入ってくれ、ということらしい。
駐車場の奥に、甲府中心部としては規模の大きいマンションが見える。「WING」と書いてあるけど、見慣れない。
地方都市に行くと、その地方独特の不動産業界勢力分布があって、マンションを見るだけで結構楽しめるものだ。見慣れない地場デベロッパーがあるので、「へえ!」と感心する。たとえば岡山だと、あなぶき興産が多いとか。
12:15
繁華街の外れ。
消費者金融の無人契約機が並んでいる建物かな?と思ったら、どうも違う。
「営業中」「暴力団関係者出入りお断り」「本番禁止」などという張り紙が見える。風俗店舗のようだけど、これがどういう仕組みなのか、よくわからなかった。
パチンコの換金所みたいなカウンターが、青色とオレンジ色の2つある。そしてなにもない空間。利用する気もないのにジロジロ見ていたらよくないので、気になりつつも素通りした。
・・・で、あとになってこの施設の正体を調べてみて、「へえー」と感心した。ここで詳細を解説するのはやらないけれど。そういう世界があるのか!
(つづく)
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