近場の無縁だからこそ【甲府滞在記】

14:39
甲府城址の丘を下ると、そこにはお寺のような建物があった。

入母屋造の建物の門を見ると、「武徳殿」という看板がかかっている。開放的な窓ガラスから中を除くと、建物の半分が板の間、半分が畳の間になっていた。つまり、剣道と柔道ができる施設、というわけだ。

こういう建物で研鑽を積むと、ふつうの体育館よりも気合いが入ってメキメキ成長するんじゃないかという気がするが、実際どうなんだろう。

14:45
陸橋を使って中央本線の線路を乗り越える。

乗り越えた先には、何か明治大正期を思わせるような、映画スタジオのセットみたいな一角があった。時計台だか鐘楼だかわからないが、茶色い塔が舞鶴城公園からもよく見えた。

甲府駅の北口からもほど近く、観光名所なのだろう。今日は観光シーズンではない2月のため、人は閑散としているけれど。

石づくりの渋い建物。

看板には「BAR U-ME」と書いてあった。へー、バーがあるのか。

琥珀色に染まる静謐な時のなかでグラスに夢と愛と人生を語りかけ・・・

というポエムが書いてある。へえ、なにやらすごいな。

「オーセンティックバー」という記述もある。つまり、バイトのお兄さんがシェイカーを振っているのではなく、修行を積んだ本格的なバーテンダーがいて、重厚なバーカウンターがあるよ、と宣言しているわけだ。

ここでうっかり「とりあえずビール」なんて言ってはいけない。

でも、この建物の重厚さと、お店がある2階に通じる階段を見ると、そもそも「とりあえずビール」の方がここを登っていくことはないだろう。

なお、ビールだってもちろんメニューにあって、900円。テーブルチャージ500円別途なので、「とりあえずビール」が1,400円であることを了承しておく必要がある。

この界隈は「甲州夢小路」という名前がつけられていた。

地図の右下見切れたあたりが甲府駅北口になる。

長屋のように何軒もお店が軒を連ね、商売をやっている。アクセサリーショップ、創作菓子カフェ、小物店、甲州ワインのお店・・・。

線路沿いに、こんな感じでお店が並ぶ。きれいでいいかんじだ。

真珠を中心としたアクセサリーショップ。

建物は由緒正しいというわけではなく、後から懐古趣味として作ったものだろう。でも、こういう建物の中にお店が入っていると、威厳が生まれてくる。

甲斐の地酒を提供するお店。軒先に飾られた看板がかわいい。

和紙を扱っているお店の看板はこんな感じ。

観光客向けのエリアであり、地元民が足繁く通う商業施設とはちょっと違う。人工的に作られた場所だけど、意欲的な取り組みだと思った。

「古い町並み」を売りにする観光地って、こういう建物とお店が広範囲に渡って自然発生的に存在している。観光地としてのスタートラインがそもそも違うので、この甲州夢小路のように「さて、これから」というのは最初すごく馬力がいると思う。軌道に乗れればよいのだけれど。

(つづく)

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