
10:32
恵那山からの下り。1分とて惜しいくらい、尻に火が着いている状態だ。写真を撮るにしろ、休憩するにしろ、いちいち立ち止まっていられない。とにかく時間がない。
とはいえ、恵那山山頂小屋から歩き始めて数分は、慎重に周囲を見渡していた。まだ発見できていない、恵那山最高地点を見つけるためだ。
登山道からちょっとだけ離れたところにある、という事前情報があったので、スマホの地図とGPS情報を参考にしながら周囲を見渡していたら・・・あった。
山小屋からわずか4分のところに、ひっそりと看板が立っていた。木の枝に、「恵那山最高点2191m」と書かれた白い看板がぶら下がっていた。
なるほど、これは見逃しがちだ。そもそも、この「最高点」が地形的にあまりに地味で、周囲を見渡しても「ここよりももうちょっと高い場所があるんじゃないか?」と思えるような、地味さだ。
いずれにせよ、最高点2,191mの地点に立つことが出来たので、よかった。これで心残りはない。
残された時間が非常にタイトな中、無理をして山頂まで行ったんだ。これで最高点にたどり着けていなかったら、心残りにも程がある。

神社の祠から、進行方向を見る。
平地っちゃあ平地なんだが、30メートルくらいの標高差のアップダウンはある。前方の山のところから、右に直角に曲がって神坂峠を目指す。

岐阜県側の眺めは開放感があって美しい。厳しい環境のためか、木が息も絶え絶えながらなんとか生えている状況。
これよりももうちょっと過酷度が増すと、いよいよ木が枯れて笹が進出してくるのだろう。

10:49
できうる限りのスピードで、登山道分岐にやってきた。この時点で予定していた時刻の54分遅れ。
時間に余裕を持たせているので、その余裕を全部吐き出したとして、それでもあと30分は標準コースタイムを上回らないとバスに間に合わない。
下山を慌ててスリップして怪我をする、という事故が登山では後を絶たない。くれぐれも事故を起こさないよう注意しながら、それでも最速でダウンヒルステージをクリアしないといけない。
この分岐を左折してちょっと行ったところに、「一乃宮社」がある、と地図には書かれている。たぶん、これまで見てきた祠の一つだ。せっかくだから祠コンプリートをしたい、という気持ちもあったが、それはさすがにチキンレースが過ぎる。やめておいた。

10:51
こりゃあ急な道だ。しかも石がゴロゴロしていて、歩きにくい。
滑り台を滑るわけじゃないんだから、急斜面だったら早く移動できることはない。急斜面の下りなら、むしろペースが落ちる。
下りだというのに、全然ペースが上がらず、焦る。

11:02
しかも、直登ルートだったりするので、不安定な石に気をつけながら、ズルズルしつつ下っていく。
このエリア、登りの際は「おかしい、全然ペースが上がらない」と息が上がっていたエリア。下りも同じようにペースが上がらずに苦しめられた。しんどい。

11:28
笹。何を撮りたかったのか覚えていない。

11:30
下り一辺倒のつもりだったのに、登りが随所にでてくる。思わず舌打ちしてしまう。
しかも、ちょこっとしたアップダウンじゃなく、それなりに登りが待ち構えているのがつらい。
さっきから数分おきに時計をチラチラ見ている。立ち止まって休む時間が惜しい。

11:33
やっと恵那山の山頂を遥かに見上げるところまで下ってきた。

11:34
テングの頭。

なんでテングの頭、なんて名前がついているのかと思ったら、岐阜県側は崖になっていた。
登っているときは、ずっと長野県側を見ながら登っていたので、登と下りで見る風景が全然異なる。

11:37
登山道の一部が立ち入り禁止になっていた。崩落したっぽい。
こういうときの迂回路は、たいてい楽じゃない道になっているので、「しんどいなあ」といいながら指示に従う。

11:43
眺めは良いのだけど、それを楽しんでいる余裕が全然ない。
テングの頭から大判山の間は、後で調べたら標準コースタイムの80%程度のスピードしかでていなかった。相当へばっていたのかもしれない。
下りで標準コースタイム以下、というのは老いを強く感じる。昔は登りでも下りでも、コースタイムを短縮するのは当たり前で、特に下りでは時間を短縮できたものだ。でも今は、登りはともかく下りで時間を稼げなくなってしまった。

11:46
風光明媚なところがあっても、「あとで写真で見返そう」と言いながら写真を撮って、そのまま通過。

テングナギに来た。
こんな看板の写真を撮って何の意味があるんだ、と思いつつ、歩きながら写真を撮影しながら素通り。

11:59
「こだまエリア」も素通り。

12:25
大判山。
月曜日であること、そしてもう昼時であることもあって、下山中は殆ど人とすれ違わなかった。ゼロだったかもしれない。

ウバナギ。
相変わらず意味不明。

12:46
岐阜側の崖崩れを眺めながらの尾根歩き。
このあと、崖崩れを避けるように登山道は尾根の上から若干逸れ、長野県側に道が続いている。

13:06
前方に笹野原が見えてき始めた。
あのピークが、たぶん千両山だ。
下山中、ずっと時計と、スマホの地図をチラチラ見ていたので、間違いない。
千両山が近づいてきた、ということは神坂峠も近いし、バスが通っている舗装道路も近くなってきた。それ、もっとペースを上げろ上げろ。
息が上がりながらも、歩くことをやめるわけにはいかない。立ち止まって水分補給をしたい気持ちもあるが、それどころではない。その1分2分が命取りだ。
(つづく)
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