
13:01
分岐にやってきた。
「三浦アルプス」といっても、稜線歩きの風光明媚なルートには程遠い。まだまだ、藪の中を歩いている状況だ。
標高158メートルのピークに至る道には向かわず、南に向かうルートを選択する。

几帳面な方が作ったと思われる、案内板が設置されていた。
細かすぎて、地元民でもないとあんまりよくわからない行き先表示になっている。
僕の場合、これを見てもどっちに行けばよいのか、理解できない。
それでもGPS地図があるので、道迷いをしなくてすむのは本当にありがたい。これ、紙の地図だけしか持っていなかったら、迷いそうだ。少なくとも、方位磁石をお守りとして持ち歩かないと。
ここでルートを間違えると、二子山方面に向かってしまう。そうではなく、この地図でいうと右側、「中尾根」「乳頭山」方面へと進路を取る。

ここには大きな看板があった。
登山道の分岐を示す看板としては、僕がこれまでの人生で見てきた中で一番大きいかもしれない。
ロードサイドの飲食店の看板クラスの大きさだ。さらに、緑色という看板にしては不思議な色使いなので、特に目立つ。
看板には「FK3 分岐 要注意」とデカデカと書いてある。

三浦アルプスと呼ばれるエリアと二子山エリアとの間には、赤く色塗られた「道迷いエリア」があった。
山と山に挟まれた谷間で、地図を見る限り林道もなく人があまり立ち入らないエリアのようだ。このため、藪が深くて道に迷いやすい。
事前情報によると、このエリアを横断する登山道が地図上に書いてあっても、使わないほうが良いとのこと。
こういう怖い場所があるから、里山低山歩きは予想以上に危ない。今僕があるいている2月でさえ結構な木々の茂みなんだから、夏になるともっと視界が悪くなるだろう。道かと思ったらそうでなく、道ではないとおもったら道だった、というのがこういう場所の怖さだ。

13:05
道迷いエリアにいざなう分岐がときどきあるので要注意。
まあ、道迷いエリアに入ってしまったからといって、僕ならば本格的な遭難になることはないと思う。
とはいえ、今回は「三浦アルプスを歩く」ことが目的の山歩きだ。三浦アルプスの山麓の谷間を歩くのが目的ではない。謹んでそっち向きのルートは辞退する。

13:07
道迷いエリアの外周部を歩いているわけだが、だからといって危険と隣合わせというわけではない。
ほら、見てよこの登山道の整備っぷり。
さすが三浦アルプスと名付けられているだけあって、よく歩かれているようだ。
そういえば、時折トレランの人が疾走していくのに出会った。こういう、登り一辺倒ではない縦走っぽい低山トレイルルートはトレランの練習向きなのだろう。

「T字路」の表示とともに、「ぬまま35」と書かれた標識があった。
遭難時などに警察・消防に連絡する際、自分の現在地を通知するために現在地を示す名前が登山道のあちこちに付けられていることがある。
さきほどの「FK3」分岐がまさにそれだ。
しかし、FK3分岐にあった「二子山山系主要分岐図」には、「ぬまま35」という表記はない。あちらの看板は「二子山山系自然保護協議会」が作ったもので、こちらの「ぬまま」は逗子市消防本部によるものだ。管轄が違うので、表記が揃っていない。

で、T字路。
写真左の、ピンクテープのほうに曲がっていけばお楽しみの道迷いエリアへGO。
今回はそんなことをしないけれど。

ここもまた道迷いエリアへの分岐。
道迷い方面を見てみると、なるほど木々がゴチャゴチャしている。
東西南北がわけわかんなくなって、立ち往生するということはなさそうだが、茂みが深くて足元が危ない。

「遭難事故が多発しています。ご注意ください」という張り紙の下に、「山火事注意 ぬまま37」の看板。ややこしい。
ためしに二子山山系自然保護協議会がまとめた遭難状況を調べてみたら、「過去13年間(2012.1~2024.9)で救助活動が行なわれた事故は合計79件、そのうちの3分の2(54件)は道迷い事故」なんだそうだ。えっ、そんなに多いの?思っていたのより大変な状況だった。
年間6件平均でしょ?ってことは2ヶ月に1件ってことじゃん、なあに大した事ない、なんて思ってはいけない。なにせ、ここは人里からも近く、標高は200メートルにも満たない山だからだ。それだけ、道に迷いやすく、一旦迷うと脱出しづらい場所だということだ。
低山ならではで、ナメた装備と準備で入山する人が多いから、というのも理由の一つだと思う。確かに、このエリアはYAMAPなどの登山アプリを持っていれば楽勝だけど、手ぶらで入山すると道に迷ってもおかしくない。僕でも道に迷うかもしれない。
上記統計データは以下のページを参照している。

そこに、興味深い記述があった。
国土地理院の地図には、昔の生活道で今は廃道となって使われていない道は未だに一部線が残っていますが、登山道はほとんど示されていません。スマートフォンのGPS機能を使う場合、Geographicaの様な地理院地図を背景地図として使うアプリでは、地図上に登山道が示されていないので、事前にルートを書き込んでおかないといざという時に慌てることになります。
確かに、国土地理院1/25,000地図を見ても、僕が歩く予定のルートが点線で表示されていない場所がある。
山歩きをするうえで、1/25,000地図はとても大事なツールだけれど、登山道がすべて網羅されているわけではないので要注意だ。
(つづく)

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