アワレみ隊は美術をもスタンプラリーの対象とする【八重洲界隈の美術画廊巡り 】

17:33
17時半にもなってくると、すでに閉店してしまったお店を素通りすることが増えてきたし、こちらも歩きっぱなしで足腰が疲れてきた。そろそろ終わりにしよう・・・という雰囲気になってきた。

ばばろあは、「今晩のメシ、どうする?」ということをしきりに気にしている。気分はもう、食事だ。

「せっかく東京におるんじゃけえ、東京でしか食えんものを喰いたいんよ。さっきブルガリア料理の店があったけど、あれええねえ。あと、クロアチア料理の店もあったな」

美術商巡りのためにこの界隈を隅々まで歩いていると、いろいろなお店を発見する。案外、珍しい国の料理店が見つかるものだ。

「ああいうところって、やっぱり予約入れとかんと駄目かのう。早く行けば入れるんじゃないか?じゃったら、早くいかんと」

なんだか、「もう早々に終わらせてしまおうぜ」的な雰囲気になってきた。

いちおうの目処は、18時に打ち止め、といったところか。

19時までやっているギャラリーを追いかけてまだまだ先に進むことはできる。しかし、どうせコンプリートはムリなんだし、だったら時間で区切って諦めたほうがいい、というわけだ。そしてとっととビールでも飲んで打ち上げちゃう。

17:40
そう思うと、残り時間は20分だ。とたんに、ちょっと焦ってきた。とはいっても、今更急いで次々と先を急いでも、「クロアチア料理のお店」からも「ブルガリア料理のお店」からもどんどん遠ざかってしまう。ほどほどのところで時間切れを迎えたほうがよさそうだ。

―新版画の美―川瀬巴水木版画展

17:47
「ほう!?」

書店でおなじみの丸善が、東京アートアンティークと連携した企画で「川瀬巴水木版画展」をやっているらしい。丸善のショーウィンドーにそう貼り出してある。

版画画家の川瀬巴水は、ばばろあも僕も好む作家さんだ。これはいい。よし、この版画展を見て今日の最後にしよう。

言い方が悪いが、これまでずっと「不思議なものを見ている」感じで、古美術などをたくさん見てきた。ようやくここでわかりやすい美術が出てきた、という感じ。

川瀬巴水の版画を二人でじっくり見る。

浮世絵のような絵柄と色使いの版画だけど、明治から昭和にかけて生きた作家なのでより技術が緻密で精巧にできている。

僕は、この絵を初めて見た時、高校時代を思い出した。初めて、ラップトップパソコン(今でいうノートPC)に256色カラー液晶が搭載され、それに映し出されたゲーム映像がフラッシュバックしたからだ。当時、白黒液晶が当たり前だったので、カラー液晶というのに度肝を抜かれたし、そのカラフルさに心ときめいたものだ。もちろん、解像度が低い液晶だし256色なので、川瀬巴水の絵と比べるのは酷い比喩だ。でも、そういう「テクノロジーの進歩を見てビビった思い出」を思い出すくらい、川瀬巴水の絵はインパクトがある。少なくとも僕にとっては。

とても細かい絵、美しい色彩の版画だけど、特に面白いのがその絵が「近代と過去がちゃんぽんになって描かれている」ということだ。浮世絵的な、時代劇のような光景が描かれていると思ったら、町並みに電柱と電線が描かれていたり、自動車が停まっていたり。ああ、時代はこうやって前に進んでいったんだな、というのがわかって、なんだかSFを見ているかのような気になる。

お値段は結構高い。正確な金額は覚えていないけど、80万円前後だったような気がする。ネットオークションで探すと、この作家の作品は数万円知恵度から見つかる。さすがにそんな値段の作品は信憑性が怪しいけど、れっきとした画廊で買ったら数十万円程度。ただし相当値段にばらつきがある。

版画ということで、何枚も刷られているということ、そして何番目に刷られたかによって、版木の痛み具合が違っていて、同じ絵柄でも出来栄えが違うということ、保存状態が違うこと。そもそも、何枚刷られたかがわからないと、その商品価値というのがわからない。値段の妥当性がよくわからないから、素人が手を出すのは難しいと思う。

作品は販売されているので、売っている人に値段について話を聞いてみた。すると、「ここで扱っているのはどれも程度が良いものなので、その分お値段は高めになる」という主旨のことを言われた。なるほど、たしかにどれも痛みが少ない。

うーんなるほど。

ただ、痛みが少なく、きれいな作品であればあるだけ、「画集で見ればいいじゃん」という気になってくる。とても美しいからだ。いや、画集じゃいちいち本を開かないと見られないので、額装した状態でコピーされた絵を売って欲しい。数万円で。

あんまりよくできすぎていると、「コピーでいいや」という気になってしまう。芸術というのは難しい。

18:21
川瀬巴水の絵を楽しんでこの美術商巡りを終わりにする、という予想外な展開となったが、まあいいや。夕ご飯を食べて、お開きにしよう。

まず、クロアチア料理のお店を見に行く。

うーん、と考えた結果、もう一軒にも行ってみることにする。

18:28
「ブルガリアンダイニング」を謳う、ブルガリア料理のお店「トロヤン」。

「せっかくだからもう一軒の方も見て、比較して決めよう」ということを言って二軒目に行った場合、大抵その二軒目に入ることになる。一軒目に戻るのが面倒だからだ。だから、「比較しよう」と口にした時点で結論は出ているようなものだ。

「ヘルシーなヨーグルト料理を楽しめる、日本唯一の本格ブルガリア料理専門店」

なんだそうだ。へー。それは貴重だな、確かに言われてみればブルガリア料理って食べたことがない。そもそもの知識として、ヨーグルトをたくさん食べる国の人だ、ということしか知らない。

メニューに「ムサカ」というのがあった。ギリシャ料理で食べたことがある。グラタンみたいな食べ物だ。あれってブルガリア料理だったのか、と思って地図を確認してみたら、ああ、ギリシャとブルガリアは隣り合っている国だった。

バカみたいな話だけど、案外あの界隈の国の名前というのは覚えられていないものだ。何しろ、今改めて僕は世界地図を見て、「モルドバ」とか「モンテネグロ」とかの場所を知ったくらいで。子供の頃習った世界地図と今の世界地図じゃ、全然景色が変わってしまった。

すばらしい。

見慣れない料理だらけで、一体どれを選んでよいのか、大の大人二人が固まってしまった。確かに料理のいたるところにヨーグルトを使っているけれど、「ヨーグルト=朝の食卓で食べるもの」くらいのイメージしかない僕にとっては、料理にあれこれ混ざっていることに対してどうもピンとこない。理解ができない。もっとはっきり言うと、「すげえ!うまそう!」とは思えない。

だからこそ、新しい体験ができそうだということでワクワクはする。するんだけど、「これ、食べてみたいね」っていうのがあんまり出てこないのは悩ましい。

18:45
ばばろあはビール4種類の飲み比べセット、僕はノンアルコールビール。

ビール4種類といっても、ブルガリアのビールではない。キリンビールが作っている、クラフトビール的なビールだ。

5つグラスが並んだけど、ノンアルコールビールのグラスが一番偉そうなサイズになっているのが面白い。

そして、乾杯。

見よ、ばばろあのこの表情!

朝からてくてく歩き、何百点にも及ぶ作品を鑑賞してきた。コンプリートはできなかったものの、そりゃあビールがまずかろうわけがない。喉にしみる、身にしみる。

18:46
僕もノンアルコールビールで一息。

当たり前だけど、飲んでも飲んでも酔わない。何のために安くはないお金を払ってノンアルコールビールを飲んでいるのか、自分でもわからなくなるときがある。特に、おかわりをしたとき。

料理名とかは覚えていないので、写真だけ紹介。

これはサラダ。

変わったスープ。

ピラフみたいな米料理。

パイ包みみたいな料理。

昼、肉を食べてストレスを発散させたけど、やっぱりこういうときって肉とか揚げ物とか、身体が欲してるものだ。さっぱりしたものよりも、ガツンと食べたい。まさにこれはうってつけだ。

そんなあなたにこの料理も。

こうして、アワレみ隊2名による「東京アート・アンティーク2019」巡りは終わった。こういう機会でもないと美術商巡りなんてする機会がないし、一人じゃとてもムリだった。

「良いものがあったら、ひょっとしたらコイツ衝動買いするかも!?」という可能性を持つ男・ばばろあと一緒に歩けたのも良かった。これが、僕も相手も「いやあ、絶対買わないよ」という腹積もりだったら、もっとだらけたオリエンテーリングになっていたと思う。

(この項おわり)

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