土産物屋めぐりを終えたら、タイ最後のお食事。
ちなみに旅行の荷物はまだホテルに置いてある。空港に向かう直前までホテルの部屋は利用可能なのだそうだ。ホテルには2泊3日の滞在だったが、実質は2泊3.5日。
案内されたお店は、周囲の雰囲気とは異なる、一軒家の建物。ビーチリゾートにある別荘風とでもいおうか。店名は「バーン・カニタ」という。
店内は木がふんだんに使われており、白熱灯のあかりと相まって非常に暖かい雰囲気。夏場だとむしろ暑く感じるかもしれん。でも、窓の外に広がる庭には木々が多い茂っており、それがまた一服の涼を誘う。
こういうところ、カップルで来るといいムードになるだろうなー。われわれのように家族で訪れると、どうも俗っぽくなってしまうからいかん。
バーンカニタの料理いろいろ。
葉っぱの上にナッツや干しエビなどを乗せ、たれをつけて食べる突出し(?)からスタート。
これを書いているのが2010年秋なので、さすがに6年近く前のことを自信満々にかけるほど記憶は持ち合わせていない。とにかくいろいろ食べたー。このお店の名物は、「プーニム パッポンカリー」という蟹と玉子のカレー。タイのカレーといえばグリーンカレー、レッドカレーといったルウ状のものかと思ったが、それはごく一部なのだな。そういや、昨日の夜もこの手のカレーを食べたっけ。
ガイドさんが
「このお店は日本人に人気があります」
と教えてくれる。なんでも、バンコク一のタイ料理店に認定されたことが何度もあるお店らしい。はー、そうなんだ。お上品な味だなーと思ったが、バンコクでウケる味というのはこういうものなのか。もっと辛さと酸っぱさ、甘さが尖った、ある意味日本人にとってケバい味こそが「本場」なのかと思ってたよ。
聞くとこのお店は高級店として名高いんだとか。
「タイの人はこんな店によくいくんですか?」
と聞いたら、
「いやー、高くて行きませんねェ」
と苦笑いされた。その言葉の裏には、「もっと安くてもうまい店はいくらでもある」という意味があるように聞こえた。この店、「雰囲気代」としてどれくらいコストが上積みされているのだろう?
そういえば、食中に出てきた「トムヤムクン ナーン」、たぶん写真に載っているのはMサイズだと思われるのだが、お値段は440バーツだそうだ。1,320円。うはー。日本でも、トムヤムクンって高いすなぁとは思っていたが、本場タイでも高いもんは高い。ちなみにLサイズなんて選ぼうものなら630バーツ、1,890円。日本と変わらない。お海老様が入ると、どうしても値段は高止まりするんだな。
食後、ホテルに戻ってチェックアウトして空港、という段取りだったのだが、昨日ムエタイ観戦したように今日もオプションを現地にて注文。せっかくだからタイ式マッサージを受けてみよう、というわけだ。これまた日本円の支払で大丈夫ですよ、とガイドさんに言われる。2時間で3,000円だと。安い。日本で、10分=1,000円が相場だとすると、120分だと本来12,000円するものだ。1/4の価格。もちろん、この3,000円にはマッサージ屋への送迎代金およびガイドさんの仲介手数料が入るので、直接お店に行ったとしたらさらに安いわけだ。こりゃ、マッサージ受けたけりゃ飛行機代出してもタイへ行け、だな。
マッサージを急きょ受けようという話になったのは、昨日エメラルド寺院(王宮)を訪れた際、すぐその北側に「ワット・ポー」という「タイ式マッサージの総本山」があったからだ。お寺がマッサージの総本山というのは妙な話だが、中国には拳法の総本山・少林寺ががあるくらいだから別におかしくないのだろう。このワット・ポーで学び修了した人には技術終了認定書がもらえ、ステータスになるのだそうだ(無資格でもマッサージ師にはなれる)。そういう話を聞いていると、「そうだ、マッサージ受けるのもいいね」という話になったのだった。というか、そもそもこの時点になるまで、「タイはマッサージが盛ん」ということすら知らなかったくらいだ。
バンコクの町のつくりは独特。大通り(タノン)はきらびやかだが、そこから路地(ソイ)に入ると急に古びてあまりきれいとはいえない建物が並ぶ。ソイ、といっても「渋滞時には通り抜けできる」といった感じのものではなく、あくまでもその路地沿いに住んでいる人用の生活道といった風情。そのため、夜で薄暗いということも相まってなにやら治安が悪い場所に連れてこられたかと思った。われわれが分け入ったソイにはご丁寧に遮断機つきのゲートがあり、一体どこに連れられていくのかと心配になったくらいだ。ゲートは、常駐している警備員さんが開けてくれた。
そんな路地の奥に、ネオンサインが明るいマッサージ屋があった。これ、地元民向けの店か?と思ったが、店名は「ヤシロマッサージ」。日本人相手の商売なんだろうか?たぶんそうなんだろう。現に、日本人おかでん御一行様がこうしてご案内されとるわけだし。
タイ式マッサージ、というのは具体的にどんなものかはよくわかっていないのだが、店内に足裏の絵が貼ってあったのには感心した。足裏マッサージの概念、タイにも存在するのか。それとも、日本人客が多いので中国式の足裏マッサージを取り入れたのか。どっちかは不明。
施術をするのは全員女性。誰にお願いするかを品定めができるようだが、お任せ。おかでんとしてはガチムチな男性に力任せにバキバキ言わせて貰いたいのだが、そういう概念はタイ式マッサージには存在しない(?)らしい。
まずは裸足になって、足を丹念に洗うところからスタート。そのあと、二階に上がって、カーテンで個人単位に仕切られたマットレスの上で施術。
マッサージだが、足のつま先から丹念にスタート。足の先から徐々に体の中心に向けてマッサージが行われていくのだが、あまりに遅々として先に進まないので、おい大丈夫かと思ったくらいだ。さすが2時間コース。
足が終わったと思ったら、次は手。指先から再スタート。日本人としては、肩とか背中とか腰をぐいぐいと揉んでほしいものだが、その「メインの敵」はあまりタイでは重視していないようだ。
もっとプロレス技のようなもの、具体的には逆片海老固めとかサソリ固め、V1アームロックのようなエキサイティングなものを仕掛けられると思っていたのだが、そういうのはなし。ストレッチといえばストレッチなのだが、地味なものをあれやこれやと。
「ガチムチにバキバキにされる」ことを期待して勝負服に着替えて体をあずけていたおかでん、さすがにこれでは物足りなかった。タイ式というのはこういうものなのか、それとも施術師のレベルが未熟なのかは不明。
ただ、けしからんのは足を持ち上げる際、「重い・・・」と何度も日本語で言ったことと、1時間40分で家族3人そろって切り上げられてしまったこと。おい!2時間じゃなかったんかい!罰としてチップは少な目にした。さすがに20分省略はあんまりだろ。しかも、途中で何度も休憩してたし。
ホテルの部屋に戻り、荷物を持ってチェックアウト。ドンムアン空港へ。
23時だというのに、出発ロビーには出国待ちの人がいっぱい!さすがとしかいいようがない。日本の成田空港だったらこの時間、「営業終了です。明日までおやすみなさい」状態ですぜ。
24時間空港はなにもチェックインカウンターや保安検査場だけじゃない。店舗も24時間、大絶賛営業中なのだった。すげー。
いろいろなお土産ものを夜中でも買える。
おっと、寿司も売っているぞ。握り寿司が1カン単位でビニールラッピングされて売られているのは日本でもあまり見かけない風景。思わず写真をとってしまった。ほかにも太巻きが売られていたりして、日本仕様。カリフォルニアロールみたいな換骨奪胎寿司は売られていない硬派な店であったよ。
帰りのタイ航空。
深夜ということもあって、ケーキとジュースのサービス。さすがに深夜1時のフライトでフルスケールの機内食など出てくるわけがない。
機内食・朝食。
洋風スタイルと和風スタイルが選べる。和風スタイルはごま塩がご飯の上に振り掛けられている、日本人テイストなつくり。タイ航空なのに、日本人を非常に強く意識した機内食になっている。たぶん、物価水準の差などから、乗客はタイ人よりも日本人のほうが多いのだろう。その結果、日本人のし好を考慮した機内食が出てくる。
ちなみに添えられてきたヨーグルトは明治(タイ版)だった。
朝、福岡空港着。
降機の際、乗客全員に花をひと房プレゼントされた。
タイの思い出を、そのまま自宅までお届け。
福岡空港で母親と別れ、兄弟は羽田空港へ。そして解散。
お疲れさまでした。
今回のタイ旅行、あまりに事前情報がなさ過ぎて、おかでんは「ただただ、目の前のでき事を受け止めるしかない」サンドバッグ状態になってしまった。そのせいで、「へーそうなんだ(棒読み)」ということばかりで、非常に悔やまれる。やはり旅行に行く前には、入念に事前情報を練りこんでおかないとダメだな。「空いた時間には○○に行きたいな。あ、でもここはちょっと遠いし時間がかかるから△△かなぁ」と悶々と苦悩しているくらいが、知識も増えるし事前のテンションも高まるしよかった。以降、気を付けなければ。せっかく旅行に行くからには、それなりの準備期間はとれ、と。
「微笑みの国」、と呼ばれるタイだが、実際みなさん本当に微笑んでいて素敵な国だった。ものの価値観も日本人と比較的相性がよさそうだ。そんな国だったが、一人「微笑み」ではなく「薄ら笑い」を浮かべていたおかでん。次は満面の笑みでこの国を訪れたい。
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