大変に微妙な日本人町の跡を後にする。ガイドさんに「あそこ、日本人以外で訪問する人っているんですか?」と聞いてみたら、「多分いないと思う」だって。そりゃそうだ。
次は、ワットなんとか。ええと、名前がややこしい。待て、今パンフレットを見るぞ。えへんえへん、「ワット・ヤイチャイモンコン」だ。長いなー。タイの人って早口なんだろうか。こんな長い名前、覚えるのも大変だししゃべるのも大変だ。
と思ったら、タイ人はこのお寺を略して「ワット・ヤイ」と呼ぶそうだ。なーんだ、やっぱり短い言葉の方が便利だよな。そればっかりは万国共通。
鈴のような形をした塔が目立つ。アユタヤ一の高さがある「チェディー」で、高さは100m近くあるんだそうだ。よくあんな尖ったものを作れたものだ。上の方、どうやってこしらえたんだ?足組組んで作ったのだろうが、だとしてもすごい。
ここはなんで有名なのかというと・・・
あれ。なんか黄色い布をかぶせられた白い物体があるぞ。
「ちーっす」
あらら。仏様がお昼寝中でござんした。
「すまんね、このままの姿勢で失礼するよ」
と言っているかのようだ。
日本って何で涅槃仏は作られていないんだろう?わずかにはあるのかもしれないが、あれだけたくさんある仏像の中でもあってもごくわずかだろう。多分、「寝ている=楽している」と考え、なんだかそんなに気楽にされちゃこっちは信心深まらないしぃ、ということなんだろう。タイの人は寝ている仏を見てどう思うんだろう?これぞ涅槃の境地、悟りであると思うのだろうか。でも多分、寝っ転がって腕組みして修行している僧侶はどこの国にもいないはずだ。
黄色い巨大な布は寄進されたものだという。とても大きい。仏様がおなかを冷やして風邪をひかないように全身を覆っている。こうなると、おもわずぺろりんとめくりあげて、パンツはいているかどうかを確認したくなるのが日本男児の性だが、それはやってはいかん。フィギュアとは違う。
目立った汚れがないところを見ると、風雨で汚れる都度頻繁に交換されているのだろう。これだけでかい布、結構大変だぞ。
チェディーを見ると、イスラム建築のような、なんとも不思議な印象をうける。どうしても仏教といえば日本のお寺、すなわち木造建築で枯山水の庭などを想像してしまうので、一体これは何の宗教を崇拝する場所なんだ、と思ってしまうくらいだ。
このチェディーの中に入ることは可能で、メキシコのピラミッドみたいな階段を登って入口に向かう。
修学旅行だか遠足だかの学生さんがいっぱい。
チェディーの中には金の仏様が二体、鎮座していた。
仏様がアフロヘアなのは日本でもタイでも一緒なんだな、と全然違うところに感心。
チェディーの上から隣のチェディーを見下ろしたところ。
さすがに年月を経て、チェディーが途中で壊れている。それを考えたら、奈良や京都にある国宝級の寺院っていうのはものすごい耐久力だ。
この当時はレンガ造りで建物が構築されており、風化すると崩壊してしまうらしい。三匹の子豚にこの光景をぜひ見せてあげたい。
手前にはずらりと並ぶ仏様。ここだけでなく、伽藍を取り囲むようにずらっとたくさんの仏様がいて、皆さんおそろいの黄色い布をかけてもらっている。カナリア軍団、と命名したい。
この仏様は傷みもなく新しい印象がある。ガイドさんに聞くと、どんどん仏様が寄進されてこうなったのだそうだ。
なんだか分かったような分からないような、でも目の前の景色は凄いですね、という状況が深まるにつれ、ますますおかでんの薄ら笑いは強くなる。事前に勉強しておけばよかったなあ。スコータイ様式、クメール様式、スリランカ様式なんて言葉が出てきたが、何がなんだか分からずに混乱してしまった。
そんな状況のまま次のお寺へ。ワット・プラマハタート。
ありゃ、ここでは大切な仏様の首がなくなっているぞ。バーミヤンを破壊したイスラム過激派みたいなのがここにもいたのだろうか。
聞くと、こういう仏様の中には宝石などの宝物が入れられており、それを泥棒が盗む際には首を切り落としたのだという。なんと罰当たりな。絶対地獄に落ちるだろうし、地獄でもがいていても蜘蛛の糸は下りてこないぞ。
泥棒は当然切断した仏様の首をその場に捨てていく。家に持って帰って愛犬の遊び道具にしよう、とかこれでラグビーをやろうなんては思わない。
その首の一つが写真のもの。転がった首を取り囲むように木が生え、すっかり根の中で仏頂面をしてらっしゃる。このお寺が有名なのはこの首のおかげとも言える。
「みなさん記念写真撮りましょう」
とガイドさんに言われ、家族一同この首の周りに陣取ったが、にっこり笑顔で写るわけにもいかず、非常に微妙な記念写真になった。おかでんは合掌。
それにしても儀式をするためだけにこれだけ巨大な建物とスペースを確保するとは、アユタヤ王朝恐るべし。これが建てられたのは1400年代だというから、今から600年ほど前の建築物。詳しい話はwikipediaなどで調べてください。
破壊されているのは、1700年代にビルマから侵攻があり、その際に破壊された上に金品を取られてしまったからだそうだ。ひでぇ。
注意書き発見。タイ語の他に、英語と日本語で書かれている。日本人観光客が悪さしたんかとちょっと恐縮してしまう。
「仏塔に登らないでください」「仏像の台の上に登らないでください」などとまあありきたりなことが書いてあるのだが、ひときわ大きな掲示にはこう書いてあった。
「首のない仏像の上に、自分の顔を置いて写真を撮るような事はしないでください。」
うへー。納得。そりゃあ失礼極まりない行為だ。ごもっともだが、言われないとうっかりやってしまいそうで怖い。ご忠告感謝。
ここで象に乗りましょう、と言われた。そういえば、先ほどからお寺の周りをのっしのっしと象が歩いている。その上にはお客さんが乗ってなんともうれしそうだ。思わず笑みがこぼれる、というのはこういう顔なのかという状態。
オラ、馬には乗った事有るけど象に乗ったことはない!これはよい体験なり。このタイツアー、いろいろ酒肴を凝らして・・・・じゃなかった、趣向を凝らしているじゃないかこの野郎。
「旅の思い出は格好の酒肴」だと思っているので、「酒肴を凝らす」という表現でも間違ってはいないと思う、個人的には。
馬のように、象にまたがる事ができるほど象は小さくない。そのため、あぐらをかいて座る席が象の背中にくくりつけられているのだった。でも相当バランスが悪そう。
そんなYOUに朗報。象にのるために二階建ての足場が組まれているのだが、その手前にちゃんと「ゾウに乗るときの注意点」と書いてあるぞ。しかも日本語で!
1.ハイヒールは脱いでください。
2.バランスをとって乗ってください。
3.ひじかけを持って深く座ってください。
4.リラックスしてお掛けください。
5.ご自身での写真撮影は危険です。スタッフにお知らせください。
6.途中で降りたり買い物したりできません。
なるほど、要するに先ほどみた寝釈迦像のようにくつろいでいればOKと。でもくつろぎすぎたら転落するので、ほどほどの緊張感も併せ持ちつつ。結構難しいな。
象に乗った。
いやこれ、思ったより乗り心地が悪い。われわれのイメージとして、象というのはいつもかったるそうに歩いている印象がある。だから、上下の揺れというのは少ないものだと思った。そもそも四つ足だし、バランスが良い乗り心地だろうと。
しかし実際は揺れる揺れる。まず、おケツを象の背骨の中心に乗っけておかないと、左右どちらかにずり落ちる。象の背中って案外とがっているのだな。そして、かったるく歩いているはずの象だが、なにせ巨体だ。実際は結構な上下運動があるのだった。確かにこれ、手すりにつかまっていないと危ないわ。
昔の王様などはこの象に乗って移動していたというのだから、大変だっただろうな。お尻の皮がむけてこそ一人前、という時代があったに違いない。
二人乗りはさらに難易度高そう。なにせ、重さが違う人が乗るからだ。男女カップルだったら、下手すりゃ体重が倍違うなんてこともあるわけで、そうなると象の上では相当傾いてしまうはずだ。まあ、それはそれでウフ~ン、とラブラブなシチュエーション作りになるのかもしれんが。
象のお尻に縄が引っかけてあるのがなんだかキュート。
昔、「空想科学読本」という本で、ガンダムだったかなんだったかに乗っているパイロットは、一歩ロボが歩くたびにものすごく体が揺すられる・・・という話を読んだことがある。それ、納得だわ。体得。路上にあるプミポン国王の肖像画を撮影しようとしたが、揺れるためにまともに被写体を捉えられない。
写真は、水平すら保てていない。そこから苦心すること2枚、ようやく肖像画を捉えたが、見切れている。そうこうしているうちに象は肖像画の横を通り抜けてしまい、チャンスタイム終了。
ゆっくり歩いているわけだし、そのリズムに乗れれば撮影くらい余裕・・・と思っていたのに、これは新鮮な驚きであったよ。なにせ、晴れの日なのに写真がブレるブレる。
象に乗っているところを記念撮影、というのがあった。
ここでも日本語解説ばっちり。多くの日本人観光客がここでお金を落としていくんだろうなあ。
おかでん家は吟味の結果、確か買わなかったと思う。象に乗っている最中、恐怖に顔が引きつっていたからかもしれん。そのあたりはよく覚えていない。
アユタヤ最大規模の寺院、「ワット・プラシーサンペット」。
お寺という名前になっているが、アユタヤ王室の儀式用建物だという。ややこしいな。
ビルマ軍やりたい放題の巻。仏像が壊されまくっている。これでは不憫、と新しいものに置き換えるわけにもいかんし、このまま朽ちていくのに任せるしかないようだ。
なるほど、仏像を壊すわけだ。
中にお宝が入っているという話は先ほどガイドさんから聞いたが、どうなっているのかとおもったら、うまい棒みたいに中が空洞なのだった。ははーん、ここに宝物を入れたんだな。結構大きめな穴が空いている。これはいろいろ詰めたい放題だ。
うっかり「タイムカプセル」がわりにして、「ぼくのしょうらいは そうりだいじんに なるのがゆめです」なんて書いたのを入れていたら、恥ずかしくてたまらんかっただろうな。
お宝の残滓がないかと中を覗いてみたが、きれいさっぱり盗まれていた。けしからんな。もちろん、「将来の夢」が書かれた日記帳なんてものは入っていなかった。
大仏がレンガで作られているのがすごい。レゴで大仏作れ、と言われてキミなら作ることができるか?
顔はどうやって仕上げてあったのか、気になるが・・・これもまた強盗致傷罪でギルティー。首から上が残っていなかった。惜しい。
新しく建築されているお堂。これ、どこだったっけ。名前忘れた。
ある程度最近の建築様式になると、こういう建物になるんだな。ところどころピンピンと跳ねているシャチホコのようなものがある。昨日からいろいろなお寺を見てまわり、いろいろな時代の建築様式を見ることができて楽しい。でも、どれがどの時代なのか、結局まったく身につかなかったけど。
このお堂、外から中をのぞくと、やたら巨大な金ぴかの仏様発見!
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