雑に不要になった陶器をぺたぺたと貼ってみたら結果オーライ、というものかと思ったら奥さん、それが違うのですよ。なんかいっぱいの人がいるー。その人(神様?仏様?)が必死にお寺を支えているのだった。芸が細かすぎる。
この神様を一体ずつ来場者にプレゼント、とやっても相当な日数は在庫がもつんじゃないかと思えるほど、きりがない装飾を施している。
ここで確信した。アユタヤ王朝はオーパーツな技術を持っていて、機械化による大量生産ができたに違いない。そうでないと納得がいかん。
特にスペインの人は納得がいかないだろ、これ。サグラダファミリア、いつになったら完成するのよ。ワット・アルンを見習え。
立ち入り禁止の柵のところにも花輪が。誰が捧げたんだろう?
ひょっとして、この「NO ENTRANCE」というのも何か信仰の対象・・・なわきゃないよな。
「立ち小便するな」くらいの意味合いかな?
ざっとワット・アルンを見た後、次の場所に移動するという。
桟橋のところでガイドさんがお金を払い、向かった先には乗り合い船。あれれ、さっきのチャーター船はもういなくなったんだ。で、これからどこへ?
旅の行程を全く把握していないおかでん、もうなすがまま。
タイは「微笑みの国」と言われる。確かにタイの人はうっすら笑顔であいさつしてくれることが多く、納得がいく。一方、旅についてほとんど理解ができていないおかでんは「さあ次に行きますよ」「この寺はうんぬんかんぬん」と言われても「おお!これが噂の!」という感動がなく、薄ら笑いを浮かべるしかないのだった。
乗り合い船は対岸に向かう渡し船らしい。数分で対岸に着いた。その途中、軍人さんが同乗していたので、ガイドさんが話をつけてくれて一緒に記念撮影。
船着き場から雑踏の中を歩くと、見えてきたのは大きなお寺。王宮がここにある、という。
正確に言うと、王宮と、それに併設する形でワット・プラ・ケオというお寺があるということらしい。さあどんどんワットなんとか、という名前が長くなってきたぞ。そろそろ記憶力の限界だ。食べ物だったらすぐに覚えると思うんだが、寺院の名前はなかなか覚えるモチベーションに繋がらないっすよ。
遠くからでも金色の仏塔が目立つ。あの中に王家の金銀財宝が眠っているのだろうか?
いや、多分「お寺」である以上それは無いと思う。お前本当に煩悩だらけだな。滝に打たれるだけじゃ足りぬ、雷にでも打たれてろ。
王宮には当然入れないのだが、その王家の菩提寺に入る、ということなのでドレスコードがしっかり決められていた。
サンダル駄目、短パンや七分丈のズボン駄目、ノースリーブやヘソだしルックも駄目。
ピアスはOKなのだろうか?タトゥーは?ガム噛んでいるのは?
どこまでがOKでどこからがNGなのか、タイ人が考える「許容範囲」というのをぜひ知りたいが、そんなものをガイドさんに根掘り葉掘り聞くのはなんだか変なのでやめた。
ワット・プラ・ケオの建物を取り囲む壁にはずわーっと壁画が描かれている。これだけでも十分見応えあり。しかしこちらはツアー中の身、この壁画に見とれている余裕などどこにもないのだった。
仁王様みたいな神様が二体、門番として立っている。
中国や台湾のお祭りで、こういう巨神兵みたいなのががしゃーん、がしゃーんと歩いているのを見かけるが、それと関連性はあるのだろうか?
これだけデカけりゃ、敵は戦意喪失・・・と言いたいところだが、人間のようなありんこ的なサイズを相手にするとこの体格では戦いにくいと思うが、どうか。
三つの仏塔が並ぶが、どれもデザインが違う。建立された時期が違うかららしいのだが、こういう世界にも「流行」があるのが面白い。
手前の金ぴか仏塔がプラ・スィー・ラタナ・チェディで、次がプラ・モントップで・・・ああもういい、面倒だ、やめたやめた。ガイド本から書き写すだけでも疲れるわ。
お寺のあちこちには、鳥と人間を足して二で割った生き物がいた。あ、生き物と言ったら怒られるか。神様、なのかな。ある時は門番のように身構えているし、ある時は建物を両手で必死に支えているし。
日本にはこの「半鳥半人」の文化は伝わらなかったな。
ドリンキングウォーターコーナーがあったので、水を飲む。わざわざ水飲み場が用意されているのはありがたい。神聖なる王宮界隈で熱中症にかかる輩がいたら縁起が悪いからかもしれん。
ワット・プラ・ケオの本堂にあたる、プラサート・プラ・テッピドン。ここはこれでもかとばかりにきらびやかに作ってある。名前の面倒くささもそれに比例してる。きっとタイ人は相当早口にしゃべるに違いない。そうでないと、こんな長い名前はつけないだろ普通。
本堂の仏様はエメラルド色の翡翠で作られていることから、このプラなんとかという本堂は別名「エメラルド寺院」というらしい。うん、これなら日本人でもセーフ。
で、その肝心の翡翠仏さんだけど、本堂内は写真撮影禁止。そこで、ガイドさんが「ちゃっちゃちゃちゃーん」と四次元ポケットから写真をとりだしてきた。どこにあったんだ、そんなの。
そこには三体の仏様がいる。
「季節によって着る服が違うんです。だからこれは全部同じ仏像」
なんと。「春夏コレクション」みたいに季節ごとに服が替わりますか。四季などほどんどないタイでそんなことをやっているのには驚き。確かに写真を見ると、なにやら「網に絡め取られてしまいました」的な格好から装飾いろいろバージョンからノーマルバージョン、といろいろ。四季折々が美しい日本の仏様がやらないのはなぜだ、と思ってしまう。
せいぜい日本の仏様って、春先に甘茶をかけてもらうくらいだよな。
いや待て、思い出した。
日本の仏様といえばお地蔵様。季節感はないけど、赤いよだれかけはつけてもらえるぞ。あれでこの翡翠仏と対抗だ。別に対抗しなくてもいいけど。
ちなみにエメラルドさんの衣替えは、「冬から夏(3月)」「夏から雨期(7月)」「雨期から冬(11月)」のタイミングらしい。「冬から夏」にぶっ飛んでみたり、夏の後に雨期があるあたり、日本とは全然違ってる。これが同じ北半球、しかもアジアの国というのだから地球ってのは面白い。
お寺ゾーンに併設されている王宮…違った、王宮がメインでお寺がサブだ…に行く。
チャクリーマハプラサート宮殿。相変わらず名前が長い。
胴体は西洋風の建造物なのに、屋根部分は伝統的なタイの作りになっているのが面白い。
きっとここには地下室があって、タタミの部屋とかネアンデルタール人が住んでいたような洞窟風部屋とかがあるに違いない。建築チャンプルー。
何か謁見式のときに陣取るかのような台がある。しかし、軍隊が行進するにはちと広場が狭い。せいぜい、朝6時半からラジオ体操するのに丁度よい程度の広場に面して、台がある。
「これはなんだと思いますか?」
とガイドさんに聞かれたので、「ラジオ体操のお手本を見せる台」または「PTA会長が長ったらしい演説をぶちかまし、日射病で何人か倒れるまで続ける拷問の場」と答えようと思った。しかし、それが理解されるとも思えないので、「さあ、なんでしょう?」と話を濁す。
答えは、王様が象に乗るための場所。
えー。そんな専用のものがあったのか。背が高い象に王様が乗りやすいように、わざわざこういうものを作ったのだそうだ。さすがタイ。日本の公家が牛車に乗っていたのに対して、タイの王様は象かぁー。
王宮の建物はいくつかあるのだが、さすがにここに王様は住んでいない。日本でいったら、「こちらが吹上御所でございます」と観光客ご一行様が二重橋を突破して皇居内に入り込むようなものだ。治安の面でも、王族の安静のためにもよろしくない。
とはいえ、国賓の接待に使ったり公式行事には使うので、勝手に入り込むわけにはいかない。入り口には白い洋服を着た衛兵さんが立っていた。ぴくりとも動かないので、まるで人形のようだ。ためしに触ってみたら、「勝手に触るな!」と怒られた。
いや、さすがにそれはうそです。そんなことやって、手に持っている銃剣で串刺しにされても文句言えないもの。
この身じろぎもしない姿勢は高度な練兵の成果だとは思う。しかし、いざ暴漢が王宮にちん入しようとした際に足がシビレてしまい即応できないとなると本末転倒のような気が。
なんだか彼を見ていて、シンハービールのいっぱいでもごちそうしてあげたくなった。「もうちょっと肩の力抜こうや」と。もちろん酔わせて、その隙に王宮に入るのが目的だが。
面白い木があったので思わず撮影。
「きのこの山」みたいな形できれいに葉が伸びていた。植木屋さんの技術ではなく、もともとこういう木なのだろう。
その「きのこの山」の下、わずかな日陰に人が集まる。1月とはいえ、日差しが強いのがタイの気候。
王宮見学が終わったところで、朝、船に乗る際に分かれたワンボックスカーと合流。なにせただでさえ車の量が多いバンコク、しかも観光地の前。合流するのにやや手間取ったのは仕方がない。
次はお昼ご飯ですよ、と言われて「ああもうそんな時間か」と気が付いた。朝、無駄にしっかりと食べたのであまりおなかが空いていない。
お昼は何が食べられるんですか、とパンフレットのツアー概要を読み直すと、「聘珍樓で飲茶食べ放題」だそうだ。えー、また食べ放題ですか。「生活習慣病講座」を旅行を通じて実施してます、といった感じ。胃袋拡張させてどうしたいんだ、タイ。でも、「なんだか物足りない・・・食べた気がしない・・・」というよりは「食べ過ぎた」方が旅行においてはハッピーなので、許す!大いに許す。店にあるもの全部もってこい。
とはいえ、聘珍樓とは驚いたな。聘珍樓といえば横浜中華街の老舗。大きな店なので、あちこちに支店があってもおかしくないがバンコクにもありましたか。んで、タイ料理の真っ最中に広東料理の飲茶?どうした、タイ料理は既にネタ切れか?まさか。まだ僕らタイスキしか食べてません。
多分、タイ料理が口に合わないご年配の方でもここで栄養補給してね、という意味合いがあるのだろう。おかでんなんぞは「毎日毎食タイ料理でも構わないぜ」というスタンスだが、誰しもそういうわけではあるまい。かといって、和食レストランというのは旅情がなさ過ぎていまいち。結果的に「中華料理、しかも飲茶だったらなんとなくオッケーでしょ」という形で落ち着いたんだろう。旅行代理店も大変だね、旅情ばかりを全面に押し出してもダメだし、かといって無難路線に行きすぎるとつまらないプランに成り果てるし。
聘珍樓は「アマリ・ウォーターゲートホテル」という高級ホテルの中にある。
客席も立派。
飲茶食べ放題ついでに飲み放題もつけてほしいところだが、さすがにそんなことやったらそれ以降のツアー予定をすべてキャンセルしなければならなくなってしまう。絶対無理だな。ツアーとしては「いかに客を土産物屋に誘導するか」が重要だから。
それ以前に、そもそも日本以外で「飲み放題」という制度はどれくらい存在しているのだろう?上海では日本人駐在員相手の店では存在するが、それ以外にあるのかどうかしらない。でも、バンコクも日本人がそこそこいるし、飲み放題をやっているところはありそうだ。
そんなこたぁどうでもいいんだよ。ツアー料金とは別会計になるシンハービールで乾杯。朝から動きっぱなしなので、昼間のビールが美味いこと美味いこと。
聘珍樓の飲茶いろいろ。
後で調べてみたら、飲茶食べ放題はツアーに限らず一般的にもやっているプランらしい。488バーツだというから、だいたい1,500円くらい。安いなぁ。高級ホテルのレストランで食べてもこの値段なんだから。ちなみに個別に1皿頼むと70バーツくらいだというから、210円ほど。これまた安い。たぶんおかでん、万が一タイ駐在員になったら毎日こういう(日本物価と比べて)安い料理を肴にビール飲みまくって、体を壊すと思う。良くも悪くも日本に住んでいてよかった。
ホテルの有名中華料理店で食べて1皿210円程度、ということは屋台のメシなんて一体何バーツで食べられるというのか。たぶん数十円の世界なのだろう。おそろしや。
食後、迎えのバスがやってくるまでの間ホテルのロビーでくつろぐ。
ダスキンのモップみたいな活け花が飾られていて圧巻だった。
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