ほほえみの国で薄ら笑い【タイ】

巨大な金の大仏1
巨大な金の大仏2

建物に入ると中には巨大な金の大仏。

巨大な大仏、というのは「胃が痛い」というのと同じで変な表現だが、とにかく巨大な大仏なのだから仕方がない。

日本では頭でっかちな鎌倉大仏さんや奈良の大仏さんが観光名所になっているので、「DAIBUTSUは日本のお家芸」かと思ったがさにあらず。さすが仏教の本場タイだけあって、金ぴかでまぶしいぜ。写真に納まりきらないでかさ。

でも、日本人の美徳というか習慣って、「古びたものほどありがたさUP」というものなので、こういうピカピカしているのはありがたみが少なく感じてしまう。

昔の大仏殿の写真

おそらくこれは昔の大仏殿の写真。

空襲にでも遭ったかのように建物が壊れている。

でも中の大仏は壊れていないのは、仏の功徳のなせる業か?

ここから再建して今の金ぴかつやつや建物と大仏に新装リニューアルしたわけか。

広大な荒野1
広大な荒野2

さて、そろそろお昼時なのだが、われわれはいったいどこへ行くの。

また車に乗って移動。相変わらず今日もおかでん家貸切。おかでん一家3名にガイドと運転手が付くのだから、なんてぜいたくなツアーなんだ。「この後の予定をキャンセルして、プーケットにでも行こうぜ」と言ったらOKでちゃいそうな勢いだ。もちろん、今晩遅くの便で早くもタイを後にしなければならないわれわれ、そんな余裕は全くないのだけど。もちろんガイドさんも同様で、限られた時間の中で目いっぱい観光させつつどさくさに紛れて土産物屋にたくさん回らないといけない。

外の風景は広大な荒野。アユタヤという一時代を築いた都市の近くだというのに、このありさまはいったい何?畑らしくもないし、手つかずっぽく見える。思い出した、こんな風景、日本でも見たことがあるぞ。青森県の六ヶ所村。

でもこんな荒野でも、ところどころアユタヤ王朝時代の仏塔が遠くに見えるのだから、栄枯盛衰を感じさせる。諸行無常、という仏教の教えを忠実に守ってるな。

高床式住居の家

ところどころ建築中の家がある。

無駄に高床式住居にしているが、ネズミの害を防ごうとでもしているのだろうか。

・・・あ!わかった。ここ、川が氾濫して水害がある場所なんだな。だからあんなに荒涼とした大地が広がっていたんだ。川が氾濫しても良いように、わざわざ高床式にしているのだろう。

クルーズ乗り場

そんな暴れん坊な川(推測)だが、これからその川を下ってバンコクまで戻るという。チャオプラヤー川クルーズ。クルーズっすよ、クルーズ。うわー、クルーズって金持ちのハゲデブ親父がサングラスはめて、ニタニタとゲスい笑みを浮かべつつ隣にビキニの美女をはべらしているイメージがあったが、そんな体験がおかでんにも味わえるなんて。

まあ、乗合船に乗るわけですけどね。乗合船で移動します、というのをクルーズと呼ぶなら、屋形船はまさにジャパニーズクルーズだ。それくらいの経験はあるので、あんまり興奮するな。まずは落ち着け。

どうやらお食事はこの船の中でお楽しみください、ということらしい。へー。やっぱりアレですかい、チャオプラヤー川で釣れたてのなまずの天ぷらが供されるとか、コンパニオンがいるとか。

豪華なクルーズ船の中

乗船してみると、さっきまでの冗談めいた発言が吹っ飛ぶほどの豪華な船ですー。

これ、船上ウェディングにでも使えるくらいの船ですやん。いや、屋形船でも結婚式は挙げられますけどね、もうちょっと小しゃれた洋風ウェディングができるスペック、という意味で。

室内は2フロア、そして屋外にデッキ。総額9万円ちょっとのツアーにしてはやけにぜいたくじゃねえかこの野郎。やっぱりタイと日本の物価の違いが顕著に出るな、こういうところで。

レストランのような船内

客席はきっちりとテーブルセッティングされており、まるでレストランのようだ。というか、実際レストランなんだな。ここでお昼ご飯をどうぞ、というわけだし。

ランチビュッフェ

料理はバイキング形式でお好きなだけどうぞ、と。

この旅行、バイキング率高し。太り殺す気か。「お昼なんだし、麺料理一品くらいでよろしかろう」というわけにはいかないのがツアー旅行、ということなんだろう。「あのツアーは昼飯が麺だけだった。ヘボい」と後ろ指指されるくらいなら、食いきれない量の料理をこれでもくらえ、というわけね。

料理はボウルのような形をした容器に盛られている。これは宿の朝食でも同じ傾向があり、「タイ的標準スタイル」なのかもしれない。ちなみに日本だと、四角いトレイに料理が盛られることが多い。

ご飯が丸い器に入っているのは結構斬新な見てくれ。日本の場合、一升用の保温ジャーに入っていることが多いからかな。

ランチビュッフェ戦利品1
ランチビュッフェ戦利品2

おかでんのチョイス。カレーは後でおかわりしたもの。さすがに旅行中(しかも家族と)ということもあり、本格的にビールを飲むわけにはいかぬ。そのあたりの迷いが一皿目に表れている。ご飯をメインに据えるか、それともおかず系をメインに据えてビールの肴にするか。

結果的に米中心の選択となった。ほんと、おかでんはこういうところで真剣に悩む性格。

シンハービールを飲む

で、悩んでおきながらもシンハービールをごきゅー。

にゅはあ。今日はお寺を歩いたり、象に乗ったりといろいろあったのでビールがうまい。しかも、現在クルーズ中。これでビールがまずいなんて言ったら罰が当たるってもんだ。

ああ、許されるならここでしこたまビール飲んで、おかず食べまくって、べろんべろんになりながら川下りしてぇ。

なにせこのクルーズ船、ビール頼んだら従業員がうやうやしくグラスに注いでくれるんですぜ。しかも、量が減ったらその都度注ぎ足し。王様になった気分?いやいや、むしろ堅苦しくて飲みにくいわ。ビールは小瓶だし。すまん、大ジョッキまたはピッチャーで頼む。

デッキに出て川を眺める
おかでん

食事を早々に済ませて、一人デッキに出る。

ほかの人たちは船内でまったりと外の景色を眺めていたり、デザートのフルーツを食べていた。ここの食事に限らず、宿でもどこでもフルーツはたくさん出てきた。さすが南国。日本のように「フルーツの王様:こたつの上のみかん」な国とは違う。

船内だと外の雰囲気がよくわからないので、おかでん一人川の風を受けつつ、「何一つ見落としがないように」と景色をにらみつける。

チャオプラヤー川の眺め1
チャオプラヤー川の眺め2
チャオプラヤー川の眺め3
チャオプラヤー川の眺め5
チャオプラヤー川の眺め6
チャオプラヤー川の眺め10
チャオプラヤー川の眺め11

浅草から屋形船に乗ると、「あちらに見えるビルは●●社の本社ビルで・・・」「こっちは・・・」と解説されるべき、見るべきものがたくさんあって忙しい。しかし、チャオプラヤー川沿岸は特にそういうものもなく、のんびりと下流へと進んでいく。タイって国はバンコクやごく少数の都市部以外は大いなる田舎らしい。

治水工事という概念がほとんどないらしく、むしろそれが単調っぽい川でも見ていて楽しい。おんぼろな水上ハウスがあるかと思ったら、豪華な別荘のような家がある。この人たちにとって川ってどんな存在なんだろう?

「リバーサイド」といえば聞こえは良いが、正直あまりきれいな川ではない。しかも、数日前に大雨でも降ったのか、生木がいたるところでぷかぷか浮いている。この水を産湯に使ったら、確実に赤ちゃんは病気になると思う。このリバーサイド住民の水道ってどうなっているんだろう?

チャオプラヤー川の眺め8
チャオプラヤー川の眺め4

お寺も当然のように川沿いにありやんす。

川沿いにお寺があるのって、ステータスなのだろうか?川に仏は宿る、とかなんとか、そういう教えがタイにはあるのだろうか。

チャオプラヤー川の眺め7
チャオプラヤー川の眺め12
チャオプラヤー川の眺め9

チャオプラヤー川はタイ内陸部に通じる重要な輸送路のようだ。日本では川を使った水運というのはほとんど滅びてしまったが、ここではばりばりの現役。昨日水上マーケットに行く際に使ったような細長い舟から巨大なばら積み船、それから木を組んだだけのいかだ(!)まで、あらゆる船が行きかっていた。

食後の珈琲

船内に戻ると、食後のコーヒーが待っていた。

乗客はコーヒー飲んでまったり。乗客はムエタイのリングサイド席の様相とほぼ一緒で、白人などが中心。タイ人らしき人はほとんど見当たらなかった(と思う)。やはり物価水準が違いすぎるので、地元民が楽しめる娯楽ではないのだな、川下りクルーズって。

バンコクに戻ってきた1
バンコクに戻ってきた2
バンコクに戻ってきた3
バンコクに戻ってきた4

およそ4時間のクルーズを経て、バンコクに戻ってきた。

艦内でくつろいでいた人も、さすがにこのころになると多くの人がデッキに上がってきていた。

人間、クルーズに慣れていないと時間の過ごし方が難しい。おかでんのように「せっかくのクルーズなんだから、景色を一秒たりとも見逃してなるものか」と息巻く貧乏性がいたり、うっかり艦内でくつろいでおしゃべりしていたら終点に着いちゃいました、というクルーズの意味をなしていない人がいたり。金持ちのクルーズっていったいどういうことやっているんだろう。まさか朝から晩まで舞踏会やっているわけではあるまい。

橋が近づいてくるとみな一様に写真を撮っている。橋の下をくぐるときは「おおー」と歓声。人間、どこの国でも橋というのはなんだかうれしい存在なのだった。ただ、この橋が何の橋なのかの解説はないので、とにかく「オー」と声をあげとけばよろしい。

国王夫妻の肖像画
船着き場

船着き場に到着。いくつものクルーズ船が発着する場所らしい。正直、チャオプラヤー川自体は汚い川だが、川沿いにお寺があったり、水上家屋があったり、のどかな景色が広がったりと沿岸に見どころが多いのでクルーズビジネスが成立するのだろう。あと、いくらコストがかかるクルーズとはいえ、外国の物価と比べると格安。外国人観光客がにわかリッチ気分に浸れる、最高のシチュエーションを提供してくれている。

日本で同じことやってみろ。ひたすらコンクリートの護岸と住宅を見ておしまいだ。せいぜい、嵐山とか最上川とか鬼怒川とか、そういう観光地で数十分の川下りをするのが関の山だ。もしくは屋形船に乗るか。

パンダバス
トゥクトゥク

船着き場の建物前にはバスやらワンボックスカーやらが大挙して路駐。クルーズ船に乗る人っていうのはたいてい何らかのツアーに参加しているわけで、その送迎で道路大混雑。

パンダバス、と日本語で書かれたバスが停まっているのが目立つ。これ、香港でも見かけたぞ。手広くやっているな。

ちなみにこの翌年(2006年)に行ったシンガポールでも見かけたので、ほんと手広くやってると感心させられる。日本語定期観光、を謳っている。

その傍らをすり抜ける三輪タクシー「トゥクトゥク」。思わず写真を撮ってしまった。タイに来る以前は、町中をこのトゥクトゥクが蹂躙しまくっているのかと思ったが、思ったほど多くはなかった。さすがにこの暑い国のことだ、冷房付のタクシーのほうが人気があるのかもしれない。

「トゥクトゥク」という名前の由来は、そのエンジン音が「トゥクトゥク」と聞こえるからだという俗説があるらしいが、なるほど安っぽい音を立てている。客2名と運転手、合計3名が乗っているのだからエンジンが悲鳴をあげそうだ。それでもオーバーヒートで壊れないのだから立派なものだ。

お土産店

16時過ぎに船着き場についたのだが、そのあとは夕ご飯の予定。夕食にはまだ早いんではないか?と思ったら案の定、さあこれからがお土産タイムでございますよ。まずはタイシルクを中心に扱っているお店に連行。

免税店

さらに勢い込んで次の店!となったわけだが、夕方ということもあって渋滞がひどい。なかなか先に進めないので、ガイドさんが「2軒お土産物店に立ち寄る予定でしたけど、時間がなくなりいけません。行けなかった、ということを証明するためにこの紙にサインしてください」と言った。そんなもんでOKなんか。でもまあ、いいや。

これでお土産物店巡りは終了かと思ったら、ラスボスとして免税店に一軒。これだけはどうやら「サインの効力」の対象外だったらしい。

この手のデューティーフリーショップは、「いったん中に入ったら一方通行。外に出るには全部の売り場を見て回らないといけない」という特殊構造。火事になったらどうするんだ。

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