驚くべきは福岡行きの便の多さだ。なんじゃこりゃあ。電光掲示板全てが「福岡」の文字。
これから1時間先までの間に、7本も福岡行きが出ている(含む福岡空港行)ではないか。10分に1本以上だぞ。おかでん自宅最寄り駅の電車よりも多く出ている。ちょっと悔しいぞ。というよりすごいぞ。
JRとの競争のたまものなんだろうな、きっと。「そっちがそうくるならこっちはこうだ」という合いの手合戦をやっているうちに、気がついたら10分に1本もの超濃密ダイヤになっちまいましたー、ということだろう。
でも、他県行きの高速バスでこれはちょっとやり過ぎではないか。いや、違うな、いくら競争があっても、需要と供給のバランスが成り立たないと商売にならない。これだけ福岡に行く人の需要があるってことだ。
調べてみたら、1日あたり124便が運行されているんだと。信じられない数だ。
ひのくに号、って名前が勢いがあって良いね。熊本は「火の国」と言われてきたが、その名前を使っている。思い出すは地獄温泉での地獄鍋。火でじゅーっと焼いてぐつぐつと煮たなあ。寒の地獄温泉での激寒のため危なく思い出を忘却してしまうところだったが。まさに熊本はひのくにだった、とこの旅をしめくくろう。
このひのくに号、「各停」「ノンストップ」「スーパーノンストップ」と3種類の便がある。料金に差はない。おかでんは「当然スーパーノンストップだぜ」となぜか偉そうに胸を張りながら乗車。
ただ、「スーパーノンストップ」という割には高速にのるまでにちょこまかと停車する(数えたら6カ所に停まった)。名前の威風堂々っぷりからすると「出発、そのまま終着」という途中停車無しを想像していたので、やや肩すかし。
2時間弱の移動ということでお手洗い付き。
天神のバスターミナルに降着後、知人と合流。
福岡といえば水炊き、あら鍋、ふぐなどと共に焼き鳥が有名だ。さすがに鍋系は季節柄じゃないので、焼き鳥を食べることにしていた。
「予約を既にとってあります」
ということなので、案内されながら・・・実際は道に迷ったためおかでんが案内する立場になったが・・・お店を目指した。
聞くと、福岡の焼き鳥屋は戦国大名の名前を冠したお店が結構あるらしい。秀吉、信長、家康など有名どころの名前はどこかのお店が使っている。不思議な土地柄だ。
で、われわれが目指した先は・・・
「ここですか?」
「あ、ここです。」
「八兵衛・・・。うっかり八兵衛の八兵衛、ですね」
どこの武将が出てくるかと思ったら、うっかり八兵衛だった。
このお店が独特なのか、それとも福岡スタイルがそうなのかはわからないが、ちょっと変わった感じのお店だった。
まず、焼鳥屋といえば親父どもが多いのが相場ってぇもんだけど、このお店は若いカップルや女性組が多数いた。店内もくすんだイメージはなく、明るく開放的だ。
相当な繁盛店らしく、予約していないとダメなようだ。たかが焼き鳥、されど焼き鳥なのだな。
店内はオープンキッチンスタイルになっていて、コの字型にカウンターが配置されている。そのカウンター席から常に厨房が覗かれている状態。調理人、気合いが入りますなこれだと。気が抜けない。
あと面白かったのが、寿司屋や魚屋のネタケースのようなところに焼き鳥が並べられていたことだ。実際は種類が多いので、「んーと、どれにしようかな、じゃあこれとこれ」というわけにはいかない。視界に入らないところまでいろいろと並べられているからだ。
でも、「うちのネタはナマで見てもらっても自信があるぜ、さあ見てみやがれ」という感じで印象が良い。
「この肉はなんだろう」と知人と会話しながら、ビールを飲む。
あっ、そうだお疲れさまでした俺。すっかり忘れてた。車を運転していたから久住山ではビールを飲んでないし、バスでも「この後飲むんだからもう少し我慢」って飲まなかったんだった。「久しぶり、ビール」と、全然久しぶりでもないのにビールに語りかける。
変わっているのがキャベツサラダが出てきたことだ。
ざく切りにしたキャベツにドレッシングが振りかけてある。
これは「大阪の串カツにおける、キャベツ食べ放題」と同義なのだと解釈した。実際、お代わりはできたしそういう位置づけなのだろう。お口直しと、串ができるまでの間の場つなぎの両方の意味がある。
・・・と思ってたら、店員さんがカウンター越しに焼き上がった焼き鳥をキャベツの上に置くのであった。おい、キャベツ下敷きになっているんですけど。
たまたまなのかと思ったら、次に来た焼き鳥もキャベツの上に「意図的に」置いた。どうやらそういう食べ方らしい。
知人に「福岡ってこういうもんなんですか?」と聞いたら、「こういうもんです。」と言われた。そうなのか。一つ賢くなった。しかし、なぜわざわざドレッシングで濡れたキャベツの上にかりっと焼けた焼き鳥を置くんだろう。不思議でならない。
でも、焼き鳥とキャベツは良く合う。おかわり自由というのも素晴らしい。ぜひ関東の焼鳥屋でも取り入れて欲しい文化だ、と思った。
そんなわけで話は盛り上がり、あっという間に時間が過ぎていた。店員さんに「次のお客様がいらっしゃいますのでそろそろ・・・」と促され、ようやく店を出ることにした。ようやく、といっても2時間半くらいの滞在時間だけど。
って、あれえ?21時15分福岡空港発の飛行機に間に合うんか、これ。
急に焦り始めた。福岡空港は天神、博多駅といった博多中心地から電車で一本、10分強で着く。とはいっても搭乗手続きに時間がかかるし、広い空港内を移動しなくてはならん。
いけねぇ、走れ!走れ!
知人まで一緒に走らせてしまい、福岡空港へ。手荷物検査場まで全力疾走。酔いが余計に回る?いやその逆で、酔いが覚めたわ。かろうじて、ゲートクローズする直前に到着することができて一安心。空港まで見送りに来てくれた知人とはろくにお別れのあいさつもできないまま、あっという間に飛行機は離陸となった。
1時間前まで博多の繁華街ど真ん中の焼鳥屋で余裕ぶっこいて焼酎飲んでて、それで飛行機に間に合っちゃうんだもんなあ。全力疾走したとはいえ、博多ってつくづく交通の便に恵まれているところだと実感した次第だった。
こんな中途半端な終わりですけど、いいっすかね?2泊3日、常に全力疾走で九州を駆け抜けた感がある。でも十分楽しめましたよ。
次は祖母山に登るため、別府を拠点にして九州旅行したいもんじゃのぅ。
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