ちょっと変わった那須の旅一泊二日【那須まちづくり広場ほか】

那須まちづくり広場の校舎外。

おそらくここが学校として機能していたときは校庭だったであろう場所に、住宅が建っている。

既にあるものでは足りない、ということで大規模な増築が行われているのだから、景気が良い話だ。

この建物に住めるのは、自立できる高齢者だそうだ。なので、老人ホームではない。

どんな人が住むのですか、と施設の方に聞いたら、東京の方からも移住してくる方がいる、という。なので、決して地元民のための施設ではなく、広く開かれた場所ということになる。

実際、僕もここだったら移住してもいいなあ、という気にさせられる。もちろん、都会ぐらししかしたことがないので、ここに住むといろいろな不自由が気になるだろう。それでも、ファーストインプレッションとして「あ、ここはいいな!」と思わせる場所だ。

それもこれも、雄大な那須の大地がなせる技だ。

廃校校舎を使って、いろいろな施設が入っている。企業のオフィスも何社か入っているようだった。

僕は今日この建物で一泊し、会議室で打ち合わせを予定している。

校舎の中に入ったところ。

すごくすごく感心したのが、「廃校です。昔の雰囲気を極力残しました。レトロです。木造です」という雰囲気をまったく残していないことだ。

一歩間違えるとそういうのは未練がましいというか、前に進もうという意欲に乏しい空間になるのだが、ここは違う。素敵なデザイナーさんと建築士さんが入っているようで、とても雰囲気が良い空間になっている。

古民家などのリノベって、無印良品的な空間になりがちだが、そうでもない。大胆な色のアクセントクロスを壁に貼り付け、明るさを演出している。

12:27
午前中、一階の会議室で打ち合わせ。

その後、宿のチェックインが既にできるという話だったので、二階に向かう。この建物の二階が宿泊棟になっていて、とても安く泊まることができる。たしか1泊3,300円だった。これに1階食堂の夕食・朝食を付けて、アメニティ200円をつけて、合計5,100円の支払い。

二階には誰もおらず、フロントと思しきカウンターもがらんとしていた。常時人がいる場所ではないので、チェックインの際には電話でスタッフの方を呼び出す運用だ。

へえーーー、と感心させられる。これが「那須まちづくり広場」2階、「あさひのお宿」。

廊下部分は広く、談話室として使えるように椅子や机が置いてある。

そして、各部屋の扉が引き戸で、ずらり。10部屋ある。

あんな狭い間隔で扉が並ぶというのはどういうことだ?と思って中に入ってみて、思わず「おう」と声が出た。

なるほど、こういう作りか!

まるで今はなき寝台特急のようだ。

二段ベッドが両側に並ぶ。で、しかもこの部屋は三人部屋。

え?二段ベッドが2つあるのだから四人部屋でしょ?と一瞬目を疑うが、上の写真だと二段ベッドの右下がベニヤ板で塞がれている。

この部屋は、テトリスのパーツのように各部屋が立体的に組み合わせっていて、一部屋三人という構成になっているのだった。なので、自分が下段のベッドで寝ていたら、そのすぐ上の段は隣の部屋、ということがあり得る。

こんな部屋、初めて見た。山小屋でもこんな部屋はないぞ。

知らない人、または今日仕事で一緒の人と相部屋になるのかな・・・と思っていたら、一人一部屋だった。ちょっとほっとした。

ベッドの枕元には卓上ライト、そしてコンセント。

避難経路図。

これを見て、この宿の構造がよくわかった。つくづく、面白い作りだ。

なお、この宿には風呂はない。もともと学校だっただけに、そこまでの作りにはなっていない。シャワーブースが男女1つずつあるので、空室であることを確認のうえ、タイミングを見計らって使うことになる。

この宿が変わった作りなのはもう一つある。

部屋の奥に、廊下側入口と同様の引き戸があって、その外がちょっとした廊下になっていることだ。廊下なのか、なんなのか、謎だ。全部の部屋が、この謎廊下につながっている。

なんでこんな空間を作ったのだろう?部屋を行き来してコミュニケーションを取れるように、という配慮は特にいらないはずだ。だって、廊下に出ることは至って簡単なんだから。わざわざもう一つここに廊下を作って、他の全部屋と行き来できるようにする必要がない。

サッシの外からは明るい日差しが差し込んでいる。しかし、廊下と自室との間の扉は鍵をかけて閉めておかないと、どうにも落ち着かない。他の宿泊客が、この謎廊下を経由して僕を殺害して逃亡する、などというミステリー事件が発生しかねない。

ということで、この廊下の存在を確認したのちは、廊下と自室との間の扉は閉めきった状態になった。おかげで、部屋は昼でも薄暗く、あまり長居をしたい場所ではなくなった。

部屋のスペースから考えても、ここは寝床専用であり、寝る前ならば外でくつろぐ、というのが正解だ。

つくづく、面白い宿だ。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 那須町立朝日小学校・・・。
    福島県堺に近くて、熊も出たことある。
    でも那須の山並みが近くからきれいに見える。
    この校舎の屋上から「あれが富士山だよ」って生徒みんなで見てました。
    いまはこんな施設に生まれかわってたんですね。

    こちらのサイトがgoogleに出てきて拝見しました。
    私の出身小学校です。
    小学校時代はこのエリアにある小川や自分の背丈より高い竹林の獣道を走って
    暗くなるまで遊びまくってたのを思い出します。

    今は埼玉県に住んでいますが、出身小学校がこんな風に生まれ変わって
    再利用されてるのはうれしい限りです。
    素敵な情報ありがとうございます!

    はやく(その3)が見たいです。
    楽しみにしています。

  • 鈴木さん>
    なんと、朝日小学校のご出身ですか。このサイトの文章を読んでいただき、ありがとうございます。
    国道4号線から森の中に入り、しばらく車を走らせると忽然と洗われる施設なので、「こんなところに賑わいがあるのか!」と驚きました。
    鈴木さんが「獣道を走って遊びまくっていた」という光景が想像できます。

    現在は東北自動車道那須高原SAにスマートインターチェンジが併設されたおかげで、アクセスが便利になりましたね。また近々、この地を訪れたいと思っています。

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