
13:37
ごはんカフェまめの木での昼食。
まずはお茶を。
11月中旬の那須は、既に寒さが忍び寄ってきている。しかし、昼時のテラスは日差しがあって温かい。
客は僕だけで、のんびり過ごす。

「今日の野菜ランチ」。確かお値段は1,400円程度だったと記憶している。
品数豊富、色とりどりで、見た目も気分も、そして実際にも健康に良さそうな料理だ。
手間がとてもかかると思うので、店主には頭が下がる。
サラダバーの野菜みたいに見えると思ったら違う。野菜をフライにしたものなど、食べごたえがあるものもあるし、野菜ごとに味付けが違う。だから飽きがこない。サラダバーならば、ドレッシングを一種類どばーっとかけるので味は均一になるが、これは違う。万華鏡のようだ。
テラスで庭を眺めながらの食事ということもあって、ここ最近じゃ最高級の満足感だった。

食後はシフォンケーキと、コーヒーでフィニッシュ。
いやあ、美味しかった。このお店を一人でほくそ笑みながら堪能するのは勿体ない。今度は家族を連れてこよう、と決めた。
ただし、「バス停から歩いていこう」と言うときっと嫌がられるので、家族でここに来るなら車だ。

次の目指す場所は、あらゆるパン屋の中で僕がもっとも好きなお店、「ペニーレイン」だ。ここも、もちろん歩いて行く。
ペニーレインがもっとも美味しいパンを提供しているか?と言われると、それは違うのかもしれない。たとえばバゲットなら、僕は他にも美味しいお店が思い当たる。惣菜パンでも、あのパンならこの店、というのがある。しかし、これだけは確実に言える。ペニー・レインほど、お店に入って血湧き肉躍る、興奮させられるパン屋は他にはない!と。
「買いすぎちゃってどうしよう」となるパン屋さんは、僕ら夫婦にとってこのお店だけだ。調子に乗る僕だけならともかく、常識人のいしでさえ「買いすぎに歯止めがきかない」くらいだから、それだけ魅惑のお店というわけだ。
「まめの木」からペニーレインは直線距離だと比較的近い。しかし、かなり大回りしないとたどり着けない道路事情になっている。
一旦、1キロ弱ほど山を下り、そこからまた登り返す。まめの木とペニーレインの間に川が流れていて、そこに橋がかかっていないからだ。
地図を見ると、ショートカットできそうな道路があるように見える。那須高原保育園すぐ近くの道だ。
しかし、実際にそこまで行ってみると、「私有地につき立入禁止」という看板とともに、道路が封鎖されていた。
「まめの木」の店主さんに「ペニーレインに行きたいので、あの道は通れないのか?」と聞いてみたら、やっぱり通ることができないそうだ。地権者が偏屈なのだろうか?店主さんは「詳しい事情はわからないけれど」と前置きしたうえで、道路の近くに蜂の巣がある、ということを聞いたことがある、と教えてくれた。
ちなみに、まめの木には、ペニーレインの店員さんがときどきご飯を食べにやってくるそうだ。ええ?歩くと片道30分は余裕でかかる場所なのに?店主さんいわく、「夏の期間バイトさんとかが、お休みの日にやってきます」だって。
へえー、ペニーレインって、繁忙期は住み込みバイトがいるのか。確かに、休みの日だと暇なので、てくてく歩いてご飯を食べに出かけてもおかしくない。
道中、なにやら凸凹した、開けた場所があった。開墾中なのだろうが、何ができるのだろう?キャンプ場?

那須を歩いて散策するなんて、これまでで初めての体験だ。
車を運転していたらまったく気づかない、気にならないものも目に留まるのでとても楽しい。
おっ、雑木林の一角に看板がでているぞ。「守子坂分譲地」だって。
自然環境の保全に努め、快適な「リゾートライフ」の実現を目指した総合管理を行っております。
と書いてある。そして、
当分譲地はオーナーの皆様がご負担する「共益費」により維持管理されております。
とも。別荘についてはまったく疎いのだが、マンションにおける「管理費修繕費」的な概念のものがあって、別荘地全体の維持管理が行われているのか。

おっ。
空き地だと思ったところに、地権者と思しきお名前が書かれた看板が立っている。どうやら、これから別荘をここに建てるらしい。やるなぁ。
せっかくなので、帰宅後にこういった場所の土地の値段を調べてみた。
もちろんピンキリなのだけど、安いところだと1坪1万円くらいで売られていることがあるようだ。で、50坪50万円とか。
いいじゃないか!夢がある。
別荘なんて、金持ちの道楽だろう・・・と思っていた。しかし、土地の値段がかなり安いこともあって、超絶金持ちしか所有できない世界線のもの、というわけではなさそうだ。
ただ、しばらく仲介サイトを見ていて「うーん、これはマニアックだぞ」と思った。というのも、地目が「山林」とか「原野」になっている。場所柄当たり前なのだが、都市部の不動産しか見たことがない僕にとっては、見慣れない地目だ。なにかいろいろ制約がありそうで、素人が安易に手を出してよいのかどうか。
そもそも、木を伐採するところから始めないかもしれないとか、上下水道や電線の敷設をどうするんだ、とか、都会ぐらししか経験のない僕にとっては難易度が高そうだ。安い土地だと飛びついたら、その後にいろいろな諸経費が発生してびっくりする気配がある。

原野を切り開いて自分オリジナルの別荘を作る、というのはロマンがあるが、本拠地としない家にどこまで労力を割くのか?という塩梅が難しい。
だったら、建築の際の苦労のあれこれを全部済ませている、中古別荘を買うというのも考えられる。
ただ、歩きながらこの界隈の別荘を見ていると、どの建物も独特だ。注文住宅なのか、定型フォーマットがある建物なのかは不明だけど、いかにも別荘!という作りになっている。
うーん、これはこれで、前に住んでいた人の好みが色濃く反映しすぎていて、中古で住みたいとは思わない。本拠地ではない家だからこそ、中古の家を買ってまで欲しいとは思えないのだった。難しいね、別荘という概念は。

せっかく広大な那須高原なのだから、別荘のおうちは広々と・点々とあればいいのに・・・と思うのだが、実際は結構隣の家と近い。
勿体ないな、と思うが、ぽつんと一軒家状態にすると電気や水道といった生活インフラを引っ張ってくるのが大変だ。どうしても、別荘地は密集してしまうんだな。

別荘エリアを通り抜けると、なにもない広々としたところに出た。
那須高原は、こうやって「別荘があるところ」「なにもないところ」「木が生えているところ」などとモザイク状にいろいろな景色が展開される。だから歩いていて楽しい。ひたすら森の中、ということでもないし、ひたすら家や商業地、というわけでもない。
正面に那須連峰の茶臼岳が見えて美しい。
なお、こんなにのどかな光景ではあるが、先程からずっと上り坂を歩いている。それなりにいい運動だ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
那須町立朝日小学校・・・。
福島県堺に近くて、熊も出たことある。
でも那須の山並みが近くからきれいに見える。
この校舎の屋上から「あれが富士山だよ」って生徒みんなで見てました。
いまはこんな施設に生まれかわってたんですね。
こちらのサイトがgoogleに出てきて拝見しました。
私の出身小学校です。
小学校時代はこのエリアにある小川や自分の背丈より高い竹林の獣道を走って
暗くなるまで遊びまくってたのを思い出します。
今は埼玉県に住んでいますが、出身小学校がこんな風に生まれ変わって
再利用されてるのはうれしい限りです。
素敵な情報ありがとうございます!
はやく(その3)が見たいです。
楽しみにしています。
鈴木さん>
なんと、朝日小学校のご出身ですか。このサイトの文章を読んでいただき、ありがとうございます。
国道4号線から森の中に入り、しばらく車を走らせると忽然と洗われる施設なので、「こんなところに賑わいがあるのか!」と驚きました。
鈴木さんが「獣道を走って遊びまくっていた」という光景が想像できます。
現在は東北自動車道那須高原SAにスマートインターチェンジが併設されたおかげで、アクセスが便利になりましたね。また近々、この地を訪れたいと思っています。