
14:54
目的地、ペニーレインにやってきた。
この日は、店頭に行列ゼロ。ちょっとびっくりした。駐車場が空くのを待つため、近隣の狭い道路が渋滞を起こすくらいの繁盛店なのに。
「ええと、今日は平日だったっけ?」と思わず考えてしまう、そんな雰囲気。
混まずにお店に入れる、というのはありがたい。さっそくお店の中に入る。

このお店のパンは、全体的に大ぶりだと思う。個人が好きなパンを買ってそれをモグモグ食べるというよりも、別荘族やキャンプ泊の人たちが、まな板と包丁を使って切り分けて食卓に並べることをイメージして作られているのだろう。
そのせいか、とにかくパンに迫力があって美味しそうだ。店内の重厚なインテリアの印象や、「せっかく那須に来たんだから」という観光客としてのたかぶりが、ここのパンを一層魅力的に見せているのは間違いないだろう。でも、そういうバイアスを差し引いても、やっぱりどれもこれも買いたい。
だって、家にたくさん買って帰って、我に返っている状態に食べても、まだこのお店のパンは美味しいから。
「高くて美味しいパン」というのは都内でもあちこちにある。でも、このお店のすごいのは、「そこそこお高い」程度の値段設定だということ。それでいて、うまい。
たとえば写真の「クロワッサンブリック」。520円だ。「えっ、パン屋で売ってるパンが520円?高いだろ!」と思うかもしれないが、クロワッサン4個分の生地が使われた食パン型のパンで、それなりのサイズであることを考えてみてほしい。決して高くはないはずだ。

もちろん、いくら割安といっても、自分のおサイフからでていくお金は現実的に発生する。こういうお店で「うおおお」とあれこれ買うのは、確実に我が家の家計に支障が出る。
それでも、買う。もうどうなってもいいや、という気持ちになるからだ。
ホワイトデニッシュブレッド、ハーフで380円。ううむ、これはまだ食べたことがない。気になる。

まだ食べたことがないパンを撮影し、自宅にいるいしに写真を送る。「どれか買っておいて欲しいもの、ある?」と伝えて。
お土産にする、という名目でたくさん買っちゃおうという魂胆が見え見えだ。
そりゃそうだ、もうお昼ごはんを食べた後だし、今からパンを食べるつもりはない。これは今晩の夕食、または明日以降の食事になる。当然、家族も食べる。
「本日中にお召し上がりください」と書かれたパンもある。まあ、そのご意見ご要望は承りました、ということにして、実際に本日中にお召し上がるかどうかは、夫婦で相談して決めよう。

このペニーレインは併設されたレストランがある。いっつも超絶混雑しているお店で、もはやここで食べてみようとまったく思わないくらいの繁盛店だ。
今日はパン屋のほうが空いているし、こっちのレストランも空いているのでは?・・・と思って、ウェイティングボードを見てみたら、「お席へのご案内まで20分+お料理のご提供時間30分」と書いてあった。

食べ物の値段はけっこう高い。2,000円台、3,000円台はザラ。
1,000円札を握りしめてこのお店に来た場合、ガーリックトーストとかフライドポテトなどしか食べられない。

ペニーレインでしこたまパンを買ったのち、まだまだ歩く。
これから向かうのは、最終目的地となる、那須湯本温泉の共同浴場・鹿の湯だ。
ペニーレインからは徒歩でだいたい1時間かかる。ここから先は標高がぐいぐい上がっていくので、歩くのも楽じゃない。
地図によると、ざっと標高200メートルを登っていくことになる。
道中、あちこちで紅葉を楽しむことができて、本当に素敵なひとときだった。

那須湯本温泉。
以前、ここでミニ湯治を2回ほどやったことがあり、このあたりはよく歩いたものだ。
その時みかけた、廃墟温泉ホテルはまだ建物が残っていた。
那須湯本のような素晴らしいお湯を誇る温泉地であっても、商売として旅館・ホテルが維持できるかどうかは別。
それにしてもボロボロだ。いったい何年間の風雨にさらされ続けているのだろう?
以前、ある温泉旅館の女将さんが「温泉旅館は建物の劣化が早いので、10年ごとに建物を補修しないといけなくて大変」と仰っていた。普通の分譲マンションでもだいたい15年で大規模修繕なので、まあ温泉旅館が10年で修繕というのは納得だ。しかし、マンションが大勢の区分所有者によってシェアされ、費用も分散するのに対し、旅館の場合はオーナーなり会社なりが全額修繕費を払わないといけない。大変だ。

この旅館?ホテル?は、入口の部分だけ木造瓦葺きの和風建築風にしてあって、その奥はコンクリートのビルになっていた。
そのコンクリートだが、最上階を見るとブロック塀が使われている様子がうかがえる。地震が来たら崩れ落ちるんじゃないか、と心配になる。
入口は・・・たぶん、目隠しのためにカーテンを閉めていたのだろうが、ボロボロ。中を覗き込む気にはなれなかった。あれこれ興味本位で詮索する気になれない。

客室が見える。まだ、障子や窓際に置き去りになった椅子がちらっと見える。
サッシの窓じゃないんだな、冬は寒いだろうな、と思う。それにしても、ちょっと変わった窓枠だ。窓の開閉ができないはめ殺しのガラス窓のようにも見えるが、まさか客室でそれはないだろう。
と、よく見ると、この窓は木枠で出来ていることに気がついた。
木か!これは寒いぞ。
それに、ここは冬は相当寒い場所だ。それでこんなに大きく窓を設けていたら、外からの冷気がどんどん部屋に入ってきてしまう。この宿、暖房費がかさんだだろうな。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
那須町立朝日小学校・・・。
福島県堺に近くて、熊も出たことある。
でも那須の山並みが近くからきれいに見える。
この校舎の屋上から「あれが富士山だよ」って生徒みんなで見てました。
いまはこんな施設に生まれかわってたんですね。
こちらのサイトがgoogleに出てきて拝見しました。
私の出身小学校です。
小学校時代はこのエリアにある小川や自分の背丈より高い竹林の獣道を走って
暗くなるまで遊びまくってたのを思い出します。
今は埼玉県に住んでいますが、出身小学校がこんな風に生まれ変わって
再利用されてるのはうれしい限りです。
素敵な情報ありがとうございます!
はやく(その3)が見たいです。
楽しみにしています。
鈴木さん>
なんと、朝日小学校のご出身ですか。このサイトの文章を読んでいただき、ありがとうございます。
国道4号線から森の中に入り、しばらく車を走らせると忽然と洗われる施設なので、「こんなところに賑わいがあるのか!」と驚きました。
鈴木さんが「獣道を走って遊びまくっていた」という光景が想像できます。
現在は東北自動車道那須高原SAにスマートインターチェンジが併設されたおかげで、アクセスが便利になりましたね。また近々、この地を訪れたいと思っています。