2022年11月19日(土) 2日目

07:46
2日目朝。
前日は、夕食後仕事仲間と宿の一角にある談話スペースであれこれ話をしていた。
寝床しかない、独特な宿&客室だけど、仲間と訪れているならば談話室で話ができるので全然不自由はない。
仮にソロでここに宿泊するんだとしても、廊下に椅子と机がある。パソコンを広げるなり本を読むなりスマホを見るなり、時間の時間の過ごし方にこまることはないと思う。そういう部屋が、階下の1階ロビーにありますんで!などという宿は数多いけど、はっきりいって面倒くさい。そうでなく、ガラッと自室の扉を開けて廊下にでたら、そこがフリースペースになっているというのがこの宿の便利なところだ。
シャワーというのが物足りないなぁ、やっぱり温泉がいいなぁ、という人がいるならば、那須湯本温泉まで車を飛ばしてもいい。ちょっと時間がかかるけど、天下の名湯なので満足度は高いだろう。
さて、2日目の朝は快適。二段ベッドだけど、寝心地に特に不満はなかった。
寝起きに外に出て、お散歩をするととても心地がよい。11月の那須、ということで既に寒いのだが、それがむしろ寝起きの頭をシャキッとさせてくれる。
元学校、というのは偉大だな、と思った。とにかく空間が贅沢だ。いくら校庭をはじめとして増築されているとはいえ、まだまだ広々した空間が残っている。空間、というか余白、というか。
植樹されていて目に優しいし、あらゆるものの間取りが大きいので、散歩すると自分が思っているよりもちょびっとだけ多めに歩くことになる。

校庭側、今では高齢者向け住宅が並ぶエリアに向けて校舎の扉が開いている。今では売店「楽校deマルシェ」になっているスペースだが、どうやらここは昔、学校が維持されていた頃は下駄箱があった場所っぽい。学校の玄関だったんじゃなかろうか。

07:52
ぐるっと校舎を回ってから、朝ご飯。本当は隅々まで探検してみたかったのだけど、あんまり人が住んでいるところをジロジロと見て回るのは悪いので、遠慮しておいた。
カフェここでは朝ご飯の準備ができていた。ありがたく朝ご飯をいただく。
シンプルながら、おしゃれな朝食で、嬉しくなる。盛り付け方がおしゃれなだけでなく、ハムエッグが乗っているこのお皿がどうもカッコいいことに感心させられる。これ、昨日お昼に食べた豚の生姜焼きにも使われていたお皿なのだけど、お皿のエッジがぽやんと柔らかい丸みを帯びていて、それがとても愛嬌がある見た目になっている。和洋どんな料理を乗せても、キュートに仕上がりそうで、素敵。
我が家には、親の代から引き継いでかれこれ40年ものの「ヤマザキ春のパンまつり皿」が堂々鎮座している。なので、この手の白いお皿を買い替える需要がまったくない。でも、万が一パンまつり皿が割れるような異常事態が発生した暁には、こういうぽやんとしたお皿がほしい。

07:55
朝ご飯を食べていたら、昨日我々が大挙して押し寄せて「もっとケーキをよこせ」と直談判した、「くるみの森」の店主さんがカフェここにやってきた。
いっぱいのケーキをお盆に乗せて。うわああ、これはすごい。
僕らが朝9時にはここを発つことを聞いて、朝早くからケーキを仕込んでくれたのだという。ありがとうございます!
こんな朝早くに新作ケーキが何種類も仕上がっているって、一体何時に起きて作り始めたのだろう?嬉しいというより、恐縮してしまう。
翌年、このケーキ目当てでここを再訪する機会を得た。そのときは、11時過ぎにケーキが「カフェここ」に運び込まれているのを見かけたので、本来ならそれくらいの時間なのだろう。

カフェここが営業を開始して、POSレジがオープンして、ようやくケーキ類の数量や値段、種類をPOSに登録することができる。くるみの森は製造直売をやらず、カフェここに卸しているという立場なので、カフェここの営業時間次第、ということになる。

続々と運ばれてくるお菓子。いいねえ。

カフェここの方も気を利かせてくださり、そうそうに本日のケーキ類をレジに登録していただけた。そのおかげで、さっそくお土産に買うことができるし、この場で食べることもできるようになった。

僕が食べてみたんは、この謎のケーキ。ケーキ、なのか?
クリームの上にクリームが乗っていて、謎の作りをしている。どうしてぺしゃんこにならないのだろう?
食べてみて、納得。ああ、下はメレンゲになっているんだ。
なんという名前のケーキだったか、あとで店主にお伺いして覚えたつもりだったけど忘れてしまった。それでも、かなり美味しかった。かなり、というか、僕にとっては最高のケーキだった。
もちろん、「こんなところでこんな素敵なケーキに出会えるなんて!」という、バイアスが多分にかかった評価だ。とはいえ、そういうバイアスを差し引いても美味しいと思うし、バイアス上等、そういうナラティブこそが今の僕らには大事なんだよ!と開き直れば、これ以上美味しいケーキなんて他にない。

そんなわけで、僕が食べたケーキの喜びを我が家のパートナー、いしにも伝えたいということで同じケーキをもう一つ購入。家に持って帰ることにした。箱に詰めてもらったので、じゃあせっかくだから隙間を埋めなくちゃ、とあともう一種類だか二種類だか、も追加で購入。さらには、アールグレイのクッキーも買った。
要冷蔵?自宅までお時間は何時間ですか?いや、そんなの知ったこっちゃない。僕に限らず、仕事仲間全員がドスドスとケーキを買い求めていた。
で、家に持って帰ったケーキを食べたいしも、この味に大喜びだった。良かった、その場に居合わせなかった人も美味しいと思えるんだ。

11:25
9時に「那須まちづくり広場」を出発し、その後何箇所かで業務を済ませたのち、送迎車は黒磯駅まで僕らを送り届けてくれた。解散は黒磯駅だ。
送迎車を出してくださった方が、「駅前に意欲的な施設がありますよ」と案内してくれたのが、ガラス張りの施設だった。
こんなの、昔はあったっけ?
聞くと、「那須塩原市図書館 みるる」という施設なのだという。ガラス張りで天井がジグザグ、という目立つデザイン。
冬は暖房、夏はクーラーでものすごくコストがかかるのではないか?と人ごとながら心配になってしまう。でも、端から見るととても素敵。こんな図書館が駅前にあるっていいな。

中はすごい。
高い天井、その天井まで届く本棚、そして図書館とは思えない広々とした空間。
これまで見てきたどの図書館よりも、本屋さんよりも、空間の使い方が贅沢だ。なんなんだこれは。

館内図を見ても、お目当ての本のジャンルがどこにあるのかがよくわからないという謎仕様。図書館でもあるけれど、もっと多目的利用を想定して作られているっぽい。
施設内のカフェでは、「森林ノ牧場」という牧場産の牛乳を使ったソフトクリームや、牛乳が売られていた。変わった名前の牧場だけど、その名の通り森林に放牧しているのだそうだ。ええ、そんなの初めて聞いた。森の下草を牛が餌として食べてくれるので、森を維持管理する手間が省略されて便利、ということらしい。
ただし、牧草たっぷりの牧場で乳牛を飼育するのよりも手間がかかるし、搾乳量も当然減る。しかもホルスタインよりも乳の出が少ないジャージー牛だ。なので、値段はどうしても相当割高になる。味は美味しかったので、面白い取り組みをやっている!という心意気を買うつもりでお土産にするのは良いと思った。
ちなみに500mlで,当時の値段で600円くらいだったと思う。
大量生産している牛乳メーカーのように、一年を通して味の均一化を図るということをやっていない。なので、旬夏秋冬それぞれ味が違うし牛乳の色も違う、というのがむしろ面白い。定期的にここの商品を飲み続けて、「おっ、今年の春の牛乳は良い出来ですね」なんて会話が仲間内で楽しめたら、素敵な趣味だ。

図書館を横切って通り抜けようとしたら、本棚の一角がやたらとピンク色に染まっている場所があった。何事か、と思って視線をあわせると、そこに並んでいるのは「ゼクシィ」だった。おう、なんだなんだ。
その横の看板には、「とちぎ結婚支援センター那須塩原」と書いてあった。
なるほど、そういうことか。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
那須町立朝日小学校・・・。
福島県堺に近くて、熊も出たことある。
でも那須の山並みが近くからきれいに見える。
この校舎の屋上から「あれが富士山だよ」って生徒みんなで見てました。
いまはこんな施設に生まれかわってたんですね。
こちらのサイトがgoogleに出てきて拝見しました。
私の出身小学校です。
小学校時代はこのエリアにある小川や自分の背丈より高い竹林の獣道を走って
暗くなるまで遊びまくってたのを思い出します。
今は埼玉県に住んでいますが、出身小学校がこんな風に生まれ変わって
再利用されてるのはうれしい限りです。
素敵な情報ありがとうございます!
はやく(その3)が見たいです。
楽しみにしています。
鈴木さん>
なんと、朝日小学校のご出身ですか。このサイトの文章を読んでいただき、ありがとうございます。
国道4号線から森の中に入り、しばらく車を走らせると忽然と洗われる施設なので、「こんなところに賑わいがあるのか!」と驚きました。
鈴木さんが「獣道を走って遊びまくっていた」という光景が想像できます。
現在は東北自動車道那須高原SAにスマートインターチェンジが併設されたおかげで、アクセスが便利になりましたね。また近々、この地を訪れたいと思っています。