
11:35
黒磯駅で同僚と別れ、僕は単独行動に出る。
みんなは、12時過ぎの新幹線に乗るために、黒磯駅からJR東北本線に乗って那須塩原駅へと向かっていった。
僕は、その人たちを見送り、「さて」ときびすを返した。まだ今日は昼前だ。せっかく那須まで来て、このまま帰るのは惜しい。温泉にも浸かりたいし、いろいろお店を巡ってみたい。
那須をうろちょろするには車があったほうが便利だ。しかし、黒磯駅前にあるレンタカー屋さんは僕が割引価格で利用できる会社ではなく、割高になる。なので、車の利用ではなく、公共交通機関を利用することにした。
最近の僕は、公共交通機関利用がお好みだ。時間的にも、行動範囲も、制約が生じる分、むしろ気が楽だ。あれもこれも、選択肢としてあり得るという状況は精神的に疲れる。
那須湯本行きのバス時刻表を予め確認しておく。だいたい1時間に1本。これに乗り遅れないようにしなくては。
まだしばらく時間があるぞ、と思って余裕をぶっこいていたら、バスがやってきてバス停に停車したのでとんでもなく慌てた。えっ、想定している時間と違うじゃないか、と。
慌ててバスに乗り込もうとして、ようやくこれが那須塩原駅行きのバス、つまり進行方向と逆に向かうバスであることに気がついた。危ない、「那須の午後を満喫」どころか、帰宅まっしぐらになるところだった。
黒磯駅のバス停のロゴデザインはかっこいい。先ほど見た図書館と、デザインの統一を図っているっぽい。バラバラぐちゃぐちゃなデザインが混在している町が多い中、こうやってスッキリと統一感があるので素敵な町だ。

駅前に、「Pizzeria Pico」というピザ屋さんがあった。気になる。
今回はお昼ごはんに行きたいお店が既に決まっているのでパスだが、次回以降の課題にしておく。

Pizzeria Picoの隣も、黒塗りの建物。

こちらはベーカリーカフェのカネルブレッド。
以前ここで買ったことがあるが、とても美味しいパン屋さんだ。駅前にこんなパン屋がしれっとあるのはスゲーな、とつくづく感心する。
那須って、中にはハズレもあるんだろうが、食べ物を売る店のレベルは軒並み高い。おしゃれで美味しくないとやっていけない土地柄なのかもしれない。
僕ら旅人は「美味しいお店が多くて素敵ー!」と無邪気に喜ぶけれど、お店側からすると「美味しくないと生き残れない、過酷な大地」なのかも。

このお店は立地条件が良いこともあり、お客さんが軒先に行列を作っていた。土曜日のお昼どきだし。
そのため、仕事の同僚たちでこのお店のパンを買って帰ろうとしていた人の中には、帰りの電車に間に合いそうにないので買うのを諦めた人もいたくらいだ。
僕は時間に余裕があるので、パンを買うことができた。あれっ、このあとお昼ごはんを食べるし、さらには僕ら夫婦が愛してやまないパン屋「ペニー・レイン」に行く計画もあるのに。ここで買ったパンはお土産になった。

さて今日これからの予定だが、黒磯駅からバスで那須湯本方面に向かい、途中「那須高原保育園入口」で下車だ。
それから近くのカフェに寄り、てくてく歩いてお昼ごはんのお店に移動し、さらにてくてく歩いてパン屋「ペニー・レイン」で買い物をし、仕上げに山を登り続けて湯元の「鹿の湯」に行ってお風呂に入る。そして那須湯本からバスで那須塩原駅、それから新幹線で帰京。そんな流れを予定している。
結構歩くことになるぞ、というのは覚悟している。
12:32
バスは那須街道沿いの「那須高原保育園入口」バス停に到着。僕一人だけが下車する。
いつもは渋滞する那須街道だけど、もはや11月ともなればシーズンオフなのだろう。土曜日なのに車の数が少なくて快適。

バス停からちょっと歩いたところにある、「Nasu Satie Cafe」が最初の立ち寄り地。
たたまたま地図で那須界隈を調べていたときに見つけたカフェ。
那須街道は幾度となく通過しているけれど、こんなカフェあったっけ?という程度の記憶しかない。あの界隈だと、「アジアンオールドバザール」という東南アジアの風情満載なお店がインパクト強すぎで、他のお店の記憶が全然残っていない。
ああそうだ、昔「アジアンオールドバザール」に立ち寄った際、肩こりが強かったからという理由で「煙のでないせんねん灸」を買ったんだった。殆ど使わないまま家に残っているので、あれはもう処分しよう。たぶん有効期限切れだ。なんで東南アジアの物産店でお灸を買ってるんだ、僕は。

広い店内。僕以外、ほとんどお客さんがいなかった。
あともう一組のお客さんは、水道管の敷設がどうのとか、壁紙だどうとか話をしていた。どうやらこの近辺でお店を開業するつもりで、あれこれ打ち合わせ中らしい。ただいま2022年、まだコロナが完全には沈静化していない状況のなかで、さっそく次なる一手を打とうとしている人がここにいるらしい。たくましい。

店内入ってすぐのところにショーケースがあって、色とりどりなケーキが並んでいた。どれも魅力的だ。
このお店は大ぶりなケーキサイズが売りらしく、それはメニューにも明記されている。実際、ショーケースのケーキを見ると「おっ、嬉しいな!」と思えるサイズ感だった。デカい、というほどではないけれど、「食べ終わったときに物足りなさを感じさせないサイズ」といった形。
他にも、メニューを見るとなす牛ヒレステーキサンドイッチセットやトリプルサンドイッチなど、写真を見る限りかなり素敵なボリュームの料理があるらしい。食べてみたい!
でも、今日はこのあと別のお店に行くので無理だ。残念。またの機会に!

コーヒーの種類がいろいろあってワクワクする。値段は590円から。

僕がこうやってメニュー写真を撮りまくっているのは、ワクワクしている証拠。
まだ食べてもいないのに、次来たら何を食べようか、ということを考え始めている。

で、店頭のショーケースでまばゆい魅力を放っていたケーキの数々がメニューに載っている。
小学生からケーキマニアのオーナーパティシエがワールドプレミアクラス~世界最高水準のケーキを提供。
と、堂々たる宣言。「ワールドプレミアクラス」とはどういうケーキなのか謎だが、とにかくそういうことらしい。
また、
ケーキバイキングなどのケーキとは、別世界の"ヨーロッパサイズ"の圧倒的クオリティの"生ケーキ"です。
とも宣言しており、大変に頼もしい。
あるよねー、ケーキバイキングで、上からみたらほぼ正方形の、小さなケーキ。そういうのじゃないぞ、とこのお店は主張していらっしゃる。しかも「圧倒的」とまで言うのだから力強いったらない。

どれにしようかなあ。
ケーキセット、というメニューはないので、コーヒーとケーキをあわせるとお一人様千数百円となる。でも、そりゃそうなるよね、と納得の大きさだ。

ほら。
大きいのはケーキだけでなく、コーヒーも大きい。金ぶちの小洒落たカップではなく、マグカップ風のどっしり量が入るコーヒーカップ。大変に僕好みだ。そしてもちろんケーキも。
今回は、ケーキの名前が「夢の◯◯」だの「21世紀の◯◯」と客を挑発し困惑させる魅惑のものばかりだったので選択に困った。だから、「メニューの先頭にあるケーキが、お店にとって一番のおすすめだろう」と勝手に決めて、それを頼んでみた。
「夢のビスキュイ・ジョコンド」。
僕はお酒を一滴も飲めないのに、カシスリキュール入りスポンジにキルシュ漬けのフルーツが乗ったケーキをついつい選んでしまった。もちろん、アルコールは飛ばしてあるだろうけど。
11月、那須のお昼。静かな時間を一人で過ごす。そのお供として、このケーキとコーヒーはとても素晴らしかった。
近くには、大人気のNASU SHOZO CAFEなどもある。でもあちらはいつも混んでいるお店。このお店は、ゆったりと過ごすのにちょうど良かった。
いかん、ここで満足してお腹がいっぱいになってしまったら、この後の行程が崩れる。そろそろ先に進もう。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
那須町立朝日小学校・・・。
福島県堺に近くて、熊も出たことある。
でも那須の山並みが近くからきれいに見える。
この校舎の屋上から「あれが富士山だよ」って生徒みんなで見てました。
いまはこんな施設に生まれかわってたんですね。
こちらのサイトがgoogleに出てきて拝見しました。
私の出身小学校です。
小学校時代はこのエリアにある小川や自分の背丈より高い竹林の獣道を走って
暗くなるまで遊びまくってたのを思い出します。
今は埼玉県に住んでいますが、出身小学校がこんな風に生まれ変わって
再利用されてるのはうれしい限りです。
素敵な情報ありがとうございます!
はやく(その3)が見たいです。
楽しみにしています。
鈴木さん>
なんと、朝日小学校のご出身ですか。このサイトの文章を読んでいただき、ありがとうございます。
国道4号線から森の中に入り、しばらく車を走らせると忽然と洗われる施設なので、「こんなところに賑わいがあるのか!」と驚きました。
鈴木さんが「獣道を走って遊びまくっていた」という光景が想像できます。
現在は東北自動車道那須高原SAにスマートインターチェンジが併設されたおかげで、アクセスが便利になりましたね。また近々、この地を訪れたいと思っています。