仕事の関係で、那須に行くことになった。しかも一泊で。
那須は僕が愛してやまないエリアの一つだ。過去、何度も何度も訪れている。
断酒したとき、真っ先に旅に向かったのは那須だった。精神が不安定になったとき、湯治場所として最初に選んだのは那須だった。
僕の人生の様々な場面で、那須がでてくる。
非日常空間満載の高原、そして俗に染まりすぎていないいろいろな店、風光明媚な景色、さらには温泉。魅力が満載だ。
そんな場所に業務として行くことになるとは思わなかった。
レンタカーで行くことが多い場所だけど、今回は行きも帰りも公共交通期間だ。そのかわり、せっかくの那須だけど自由度は低くなる。「ちょっと買い物に行ってくるわー」とお気に入りのお店に繰り出す、ということはできない。
でも、制限がある分、むしろ自由時間はのんびり過ごそうと思う。車があると、自由がありすぎて、ついついあれもこれもと予定を詰め込んでしまったり、情報収集で疲れ果ててしまう。
2022年11月18日(金) 1日目
指定された集合場所は、東北新幹線の新白河駅だった。
新白河駅は福島県に位置する。えっ、那須なのに新白河?那須塩原駅じゃなくて?と驚いて当日の要項を二度見してしまったが、確かにそう書かれていた。
そうか、那須といっても広く、北は新白河の近くまでが那須エリアに該当するのだな。

09:48
東北新幹線で新白河駅に下車。
那須塩原駅はこれまで使ったことがあるが、新白河駅は初めてだ。なんだか神妙な顔つきになる。
新幹線のダイヤは薄い。通勤用に那須塩原と東京を行き来する「なすの」はあるものの、それより先に向かいながら、しかも各駅停車する便は少ない。このときは、1時間に1本・・・よりちょっと多いかな、という印象だった。
「なすの」はてっきり那須塩原始発の新幹線に名付けられた列車名だと思ったが、僕が乗った「なすの」は郡山行きで、その途中に新白河に停車した。こういう便もあるのだな。

新白河駅から北側を眺めたところ。
おお、新幹線駅にしてはのどかな光景が広がっている。
東横インが無駄に大きな看板を掲げているのは毎度お馴染みの景色として、あとはレンタカー屋が駅前にある程度。
なにせ、駅のロータリーに面して戸建ての家が建っているのだから、感心する。
奥には那須連山がよく見えていて、その光景で「なるほど、那須が近いんだな」と気づく。

09:52
新幹線の改札を出たところに、「白河関」という門がしつらえてあった。奥の細道で知られる、白河関。ここからが本格的な東北地方だ。

NEWDAYSのような、JR東日本のお決まりのお店ではなく、毛筆書体で「おみやげ処 新白河」と書かれた看板のお店が居を構えていた。
那須が洋風なイメージを押し出しているエリアなのに対し、新白河は和テイストだ。
店頭に置かれているのは「ままどおる」や「薄皮饅頭」。福島銘菓だ。改めてここは福島県であることを実感する。

次回、また業務でここに来るかもしれないので、券売機周辺の写真を撮っておく。
気をつけないと、発券に時間がかかって電車に乗り遅れることがありえる。大きくない新幹線駅の場合、券売機やみどりの窓口に制約がある場合があるからだ。
いつもなら「えきねっと」で予約してチケットレスで乗車するのだが、なにせ今回はお仕事だ。会社が発行した旅費精算専用のクレジットカードで決済をしなければならない。券売機でカードが使えるだろうか?などと、初歩的なことから現況確認をする。

09:54
新白河駅を出たところ。
ロータリーはあるが、バスターミナル風にはなっておらず、送迎車の発着場としての機能だ。

驚いたのが、ロータリーすぐ脇にJRAの場外馬券売り場があったこと。
新幹線でJRAの券を買いに行ける!そんな場所があったのか。

10:20
お迎えの車に乗せてもらい、場所を移動する。
国道4号線を南下すれば、あっという間に県境を越えて栃木県に入境した。そしてそのまましばらく走ると、今日の目的地の一つ、「那須まちづくり広場」に到着。
北から那須に立ち入ったことは初めてだったので、このあたりの地理は詳しくない。
地図を見ると、近くにトラピスト修道院があることに初めて気がついた。へえ、北海道にある、ガレットのお土産で有名なあの修道院がここにもあるのか。あのガレット、美味しいよな。

この「那須まちづくり広場」は、廃校を利活用した施設で、とても意欲的な作りになっていて面白い。
企業のオフィスを誘致して教室跡に入居してもらっているだけでなく、食堂、売店、そして老人ホーム、住居、果ては宿泊施設まである。

廃校が福祉施設に生まれ変わりました、というわけではなく、「まちづくり」と標榜しているだけあってにぎわいがある。僕が訪れたときも、ひっきりなしにいろいろな人が校舎を出入りしていた。
昔校庭があった場所には、小綺麗な高齢者向け住宅が立ち並んでいた。広場の方に聞くと、人気があるのでまだ増築するのだという。デイサービスもある、最期を看取ることができる施設があって看護師なども常駐している。便利な場所だ。
一方で、校舎の二階には現役世代も住める賃貸部屋があり、安い部屋だと25平米くらいで月額3万円(管理費等別途)だそうだ。安い。
そういった人々が、校舎内にある売店や食堂にやってきてコミュニケーションをとっているので、とてものどかで良い景色だな、と思う。病院や行政サービスはここにないものの、生活をする集落としては超コンパクトシティだ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
那須町立朝日小学校・・・。
福島県堺に近くて、熊も出たことある。
でも那須の山並みが近くからきれいに見える。
この校舎の屋上から「あれが富士山だよ」って生徒みんなで見てました。
いまはこんな施設に生まれかわってたんですね。
こちらのサイトがgoogleに出てきて拝見しました。
私の出身小学校です。
小学校時代はこのエリアにある小川や自分の背丈より高い竹林の獣道を走って
暗くなるまで遊びまくってたのを思い出します。
今は埼玉県に住んでいますが、出身小学校がこんな風に生まれ変わって
再利用されてるのはうれしい限りです。
素敵な情報ありがとうございます!
はやく(その3)が見たいです。
楽しみにしています。
鈴木さん>
なんと、朝日小学校のご出身ですか。このサイトの文章を読んでいただき、ありがとうございます。
国道4号線から森の中に入り、しばらく車を走らせると忽然と洗われる施設なので、「こんなところに賑わいがあるのか!」と驚きました。
鈴木さんが「獣道を走って遊びまくっていた」という光景が想像できます。
現在は東北自動車道那須高原SAにスマートインターチェンジが併設されたおかげで、アクセスが便利になりましたね。また近々、この地を訪れたいと思っています。