ばんやを後にした我々は、鋸南町の隣、南房総市にある「道の駅とみうら」にやってきた。たいてい、ばんやで食事を食べる機会があればここまで足を伸ばしている。
ここは、ビワが名産で、ビワ関連商品が道の駅でたくさん売られている。独自開発の商品なども多く、その努力が評価されて表彰されたりもしている。
甘いものに目がないいしは、この道の駅にはびわを使ったソフトクリームを売るお店が何店舗もあり、それぞれ味や作り方が違う、という話を聞いてワクワクが止まらない。
「あれ、でもこのあと館山でピーナッツソフトクリームを食べるって言ってなかったっけ?」
「それはそれで食べますけれどー。気になるじゃないですか、いろいろ枇杷ソフトがあるって言われたら」
「気になるだけ?」
「そりゃあ、気になるものがあったら食べますよ?」
「じゃあ、結局ピーナツソフトも枇杷ソフトも食べるってこと?」
「そうですよ?」
何を馬鹿なことを言っているのか、という顔をされる。なるほど、そこにソフトクリームがある限りは食べないという選択肢はない、ということなのか。
ここで僕が、
「その心意気や良し。だったら道の駅のびわソフトクリームを全種類食べ歩いて、どれが一番うまいか決めようぜ」
と言えれば最高だった。でも、そこまでのガッツはさすがになく、「お、おう・・・」程度に賛同の意を表明するのがやっとだった。
いっちゃあなんだが、枇杷ソフトクリームで「こいつァうまいなあ」と思ったものって、これまで出会っていないような気がする。記憶が抜けただけだろうか、それとも本当にそうなのだろうか。
いくつか食べると、どれかは絶品な枇杷ソフトクリームに出会えるのだろうか?
そう思いながら、道の駅の敷地内にある建物を見て回る。建物がいくつか並び、それぞれにソフトクリームを売るお店がある。
最初にみかけたのは、「まるごとびわソフト」250円。
これは、通常のソフトクリームの上にびわのピューレがかかっていて、さらにびわの実が1個乗っているというもの。
これから先、いろいろな「枇杷ソフト」をお目にかけるけど、いろいろなものがあるんだな、と感心すると思う。そして、選ぶ側としては大変に悩ましい。どれを選べばよいのか、と。
このお店は、何種類も枇杷ソフトがある。
300円の「びわソフト」も、コーン部分がワッフルなのかそうでないのか、という選択肢があるし、350円になるとびわソフトの上にびわの実ソースがかかる。
そして最終兵器、400円にもなると「びわ盛りスペシャル」と名付けられ、枇杷の実が載せられるようになる。
先程のお店が、通常ソフトクリームにびわ要素を後付でオンするスタイルのソフトクリームななのに対し、このお店は「ソフトクリームの中にびわ要素がすでに入っている」というスタイルだ。
このお店なんて、さらにややこしい。びわソフトだけで4種類も提供している。
(1)がごく標準的なもので、「オリジナルびわ果汁入りソフト」。
で、これにびわの身がトッピングされたものがあり、2つ付いて350円。
本当はもっとたくさん枇杷の実が乗って400円なのだそうだけど、枇杷不足ということで枇杷の実は2個に減らされ、そのかわり50円引きで落ち着いている。
(3)は、(1)と違うものだ。プレミアムびわピューレ入り、なんだという。「びわ果汁入」と「びわピューレ入り」がどう違うのか、ちょっと想像できないのだけど「びわピューレ」の方が手間がかかっている分高級らしい。
で、この350円びわピューレ入りに、枇杷の実が添えられたものが(4)。
ややこしい。
「道の駅でここだけの コーンに巻いたアイスクリーム びわピューレ(裏ごし)で作りました」と書いてある。これが先ほどの(3)だ。
そういえば、びわ果汁が使われている300円のやつは「ソフト」という言葉が使われているけど、このピューレが使われている350円のやつは「アイス」という言い方をしている。微妙に言葉の意味が違うらしい。
「枇杷倶楽部カフェ限定 びわパフェ」なんてものもある。900円税込。
これはこれで魅力だ。よくみると、びわカレーというのもある模様。
そして、プレミアムびわソフトクリーム。
さあ困った、どれを食べようか。全部食べまくる、というのもこの際だからオッケーとしたいところだけど、さきほどばんやで魚を沢山食べてきたばかりだから難しい。
悩んだ結果、このお店のお世話になることに決めた。果汁シロップさっぱりタイプだったっけ。
おっと、濃厚びわソフトのミニカップが100円であるぞ。マジで?じゃあこれもついでに。値段につられて。
戦利品の2つを並べたところ。
どちらも美味しいんだけど、冷たいアイスクリームにおいて、枇杷というのはちょっと地味な存在だと思う。もともと枇杷はパーンと華やかな味わいの果物ではないので当然だけど、ソフトクリームになると「なるほど枇杷だね!」とにっこりしてしまうような、そんなインパクトに乏しかった。「うん、まあ美味しいね」という感じだ。
これは2つのアイスを食べ比べてもそう思ったので、どこかのお店のクオリティがいまいち、というわけではないのだろう。枇杷を使うということは、そういうことだ。
じゃあ、わざわざここで枇杷のソフトクリーム/アイスクリームを食べる意味はないのかというと、そんなことはない。十分にある。どれにしようかと悩むのも楽しいし、そもそも枇杷のソフト/アイス自体が珍しいものだから。
(つづく)
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