
東京湾クルーズは今まさに真っ最中のはずなのだけど、船内探検やら食べ物購入やら宴会やらで全く落ち着かない。しかも外は大雨なので、景色を楽しみながらの飲食とはいかない。
晴れていて、なおかつこの納涼船に2回、3回と乗っている人ならば落ち着いてクルージングが楽しめると思う。しかし、初体験かつ雨だったらもうだめだ、ワチャワチャしちゃってそれどころじゃない。
レインボーブリッジが迫ってきたけど、まともに見る余裕がなかった。身を乗り出したら強い雨でびしょ濡れになってしまうからだ。ひさしの奥から、おそるおそる外の景色を見上げるといった感じ。

沖合いに巨大な貨物船がいた。いわゆるRoRo船というやつで、トレーラーやコンテナを積んで輸送するものだ。「近海郵船」とどてっ腹に書いてあるので、あの船は那覇行きだろうか?遠くにいくものだな。到着まで軽く丸二日はかかるだろうから、船内で宴会し放題だ。

屋外の廊下は雨が吹き込んで濡れまくり。廊下を歩くのさえはばかられる有様。
お陰で、ご覧のとおり誰一人いない。

一方我々は相変わらずCデッキ船尾の奥まった通路で、狭い視野の中立ち飲み中。
みんなが三々五々「飲み物、おかわり取ってくる」と離脱したら常に誰かがいない状態になってしまう。なので、船内探検のついでにちょくちょく飲み物を補充しまくった。おかげで手すりの上は飲み物だらけに。
夏とはいえ、強い雨が降っている最中。飲み物がガンガンさばけるといいうほどではなかった。テーブルすらない立ち飲みなので、どうしても飲み物・食べ物ともに消費が低調。

海上から見た大井埠頭。霧に煙る中照明がこうこうと灯っており、ちょっと幻想的。まるでCGのようだ。

そそり立つガントリークレーン。キリンのような巨大な建造物で、この無機質ッぷりがカッコイイ。
船が横付けになっているヤードでは、この時間になってもガントリークレーンが動いていてコンテナを運んでいた。夜なのにお疲れさまです。それにしても、このクレーンの上にある操作室ってどうやって登るんだろう?クレーンを操作する人は操作室まで登らないといけないわけだけど、エレベーターのようなものがついているのだろうか?歩いて登るっていうのはかなり大変だ。

Cデッキ屋内のモニターに映し出される、Aデッキステージの様子。浴衣を着た女性たちが舞い踊っていた。どうやら彼女たちが「ゆかたダンサーズ」らしい。
出向のときだけかと思ったが、始終このAデッキイベントステージは青色の照明で彩られていた。「納涼」という意味なのか、それとも犯罪抑止のためなのか。青色のライトというのは、精神を落ち着かせて犯罪を減らす効果が期待できるという。ナンパだのなんだの、色めき立っている若人(わこうど)たちをなだめようという意味があるのかもしれない。

我々の「基地」では、新たなつまみが投入されていた。握りずしと巻きずし。
こういう宴席で、ご飯ものを必ず欲しがる人というのがいる。昔はビール飲みだった僕にとって、その発想は断固受け入れがたかったな、と懐かしく思った。コメをつまみにビールが飲めるか!という考えが強かったからだ。
世の中には「酒を飲む際には軽く小腹を満たしてから」という一派と、「酒を飲むからには腹を空かせてから」という一派がいるのだろう。僕は明らかに後者に属しており、今晩宴席があるともなれば、水分断ち食事断ちは自らに与えた必須課題だった。もっぱらビールばっかり飲んでいたからだろう。

雨が強すぎて、大井埠頭沖を通過してからは状況がわからなくなった。ざっくりとした航海マップを見ると、ゲートブリッジが見えるあたりまでいってから戻る、というように見える。しかし、いくら目を凝らしてもそれらしいものが見えない。霧が強すぎだ。
「見えないねえ」
などとぼやきながら適当に宴会を続けていたら、遠くに何か光るものが見えた。何だろう、あれは。「第一海堡じゃあるまいか?」なんて話をしていたが、だとしたら相当沖に出たことになる。第一海堡は富津の沖にある人工島なので、それはあんまりだ。
「・・・ああ、あれは『海ほたる』だ!」
ようやく気が付いた。東京湾アクアラインの途中にある人工島のPA、「海ほたる」がこうこうと海のど真ん中で光っているのだった。
この海ほたるが見えたところが本日のクルージングの最果て。しばらくして船は向きをかえ、帰路へと転じた。時刻は20:08。さああと1時間弱、飲み食いするなら急げ急げ。酔いが回る前に着岸しちまうぞ。
コメント