見たことも聞いたこともない謎料理「東北農家鍋」をディープ西川口で食す

席に案内されるまでの間、店の入り口付近で待機して待つ。

中国的発想に基づいて作られたお店なので、レイアウトも、恐らくオペレーションも、日本風とは異なる。

招福来門、みたいなおめでたい言葉が書かれた飾りが飾ってあるのはデフォルトとして、いちいち見るものが珍しく感じる。

そんなわけで、思わず厨房の出入口脇に設置されていたタイマーまで撮影する始末。なんの変哲もない、タニタのタイマーだけどこれは一体何に使うものだろう?

恐らく、これから僕らが体験する「東北農家鍋」をグラグラと煮る時間だろう。デフォルト値が8分にセットされている。8分経ってピピピ、と鳴ったら何か次の動作に移るに違いない。

タイマーの下にたくさん並べられている数字は・・・うーん、テーブル番号、かな?

これを見ると、15番テーブルさんの東北農家鍋が、煮えるまであと4分33秒だよ、と言っているように見える。

全然違うかもしれないけれど。

こういう推理をしてワクワクする時間、というのがディープなお店の楽しさだ。外れていても当たっていても、どっちでもいい。

タイマーの上には、「飲食物は持ち込まないでね!」ということが中国語で書かれている。そうか、中国風ならばそういうのはオッケーなのかと思っていたけど、やっぱりダメなのか。

天井はむき出しでコンクリートの梁やダクトが見えている状態。でも殺風景ではなく、「福」と書かれたペンダントライトがあちこちに吊り下げられている。ほかにも、おめでたそうな赤いボンボン飾りも、あちこちに。

ここまでおめでたい装飾にして、本当におめでたくなかったら、中国人が信じている縁起というのはうそっていうことになる。でもきっとおめでたいに違いない。なにせ、こうやって僕ら初見のお客さんがやってきたわけだし。ああ、めでたいなあ。

席に通される。

噂には聞いていたが、実際にこのお店のテーブルを見るとギョッとする。テーブルの真ん中に、鍋が埋め込まれているからだ。そしてその上には、巨大な木のフタが乗っている。

テーブルそのものは、墓石のようだ。表面だけパネルが張られているのか、中までそうなのかはわからないけど、黒光りした石がズシンと鎮座している。

よく考えたら、そりゃそうだ。「鍋が机にめり込んでいる」ということは、鍋の熱がそのまま机に伝わる、ということだ。木材で作られた机なら、燃える。または焦げる。

それにしてもなんてぇ野蛮な。何しろ、段差なしでそのまま鉄鍋だぞ。これは人生で初めて見た。テンション上がるなぁ。

この鍋がどれくらい大きいかというと、人が手にするとこんな有様。これなら、子豚の丸焼きならぬ、子豚の丸茹でくらいできてしまいそいうなサイズだ。でけぇ。

「机にめりこんだ鍋」というのが初体験なら、このサイズの鍋というのに遭遇するのも初めてだ。中華鍋でも、このサイズは見たことがない。

せっかくだから、とわざわざ巨大な鉄鍋を持ち上げてみる。鍋の下がどうなっているのか、見てみたかったからだ。

さすがに机に固定されているわけではなく、鍋はすんなり取り外せた。そうすると、下に見えたのは巨大なガスコンロ。

業務用ガスコンロでも、こりゃあかなり立派なサイズだ。一体、どれだけの炎がここから吹き出るというのか。こんなん、ご家庭で「チャーハン作るよー」なんて目的で使ったら、玉子を投入してからご飯を入れるまでの間に玉子が焦げそうだ。

そして、テーブルそのものはコンクリートブロックで作られている、ということをここで知った。本当にブロック塀だ。ブロックを井桁に積み上げ、その真ん中にガスコンロを据え付け、上に蓋をするように石のテーブルトップを載せている。DIY感が強く、無骨だ。

ただ、その石のテーブルトップは、鍋がぴったりとはまるようにきっちり作られていて、精工でもある。ここが雑だったら、机から火が吹き出てきて危ない。

メニューを眺めるおーまさん。

この日参加したのは、おーまさん、よこさん、いし、おかでんの4名。

よこさん、いしの女性2名は顔出しNGなので、必然的におーまさんの姿が今後たくさん出てくるけど、そういう事情があるということだ。僕がひたすらおーまさんラブで写真を撮りまくっていたわけではない。

注文するのは「中国東北鍋」と決まっていたけれど、もちろんそれ以外のものだって食べたい。どうやら鍋はボリュームが相当ありそうなので無理はできないけれど、ちょっと色気を出して料理をチョイスしたい。

しかし、おーまさんは苦笑いをしている。

それもそのはず、中国料理店あるあるだけど、メニューが豊富過ぎるのだ。限られた我々の胃袋キャパと、おおよそ釣り合わない。なので、「もう、こんなにメニューがあっても選べませんわ」と苦笑するしかないのだった。

おもしろいのは、テーブルにセットされたお皿だ。

なぜか、小さなザルがある。その上に、カップ・・・というか、取り皿。アイスクリームでも入っていそうなカップ風取り皿のデザインはちょっと斬新。そしてここにも「福」の字が。本当に福にこだわるんだな。

おっと、ザルかと思ったら、ザル風の柄がプリントされた平皿だった。

いずれにせよ、お皿がこうやってセットされるということと、皿が積み重なって配膳されるというところが日本風ではなくて、楽しい。

(つづく)

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