日本列島高速移動編
日 時:2003年(平成15年) 09月15日~17日
場 所:サイコロ任せ
参 加:おかでん、しぶちょお、ひび(以上3名)
「国道走破サイコロの旅2」で完膚無きまでわれわれを叩きのめしたサイコロの神。サイコロという物体に、車中4人が翻弄され、疲労し、そして体調を崩す。第三者から見たら馬鹿としか言いようのない企画を・・・いや、当の本人からしても、馬鹿な企画やってるという自覚はあったが・・・終えたとき、「もうしばらくはいいや」と思った。サイコロ1終了時点に感じた「ドキドキ感」は確かにサイコロ2でも大きく花開いたが、それ以上に精神が参った。これはもう、次はないと思った。
しかし。その強いインパクトは、確実にわれわれをむしばんでいた。
9月上旬。毎度のことで、アワレみ隊企画が決まらないまま連休直前を迎えたBBS。やけくそになったおかでんがこんな発言をした。
カネかけずに何かをしようとなれば・・・さ、サイコロ3・・・うぎゃあ。
語尾に「うぎゃあ」という悲鳴をつけていることからも分かるとおり、単なる冗談のつもりだった。あり得ないからこそ、冗談として話題にしたわけだ。しかし、これを見たしぶちょおが
ひびさんはサイコロでもいいと半ばあきらめモードです。
やりますか?サイコロ。
テント持っていって。
とコメントを返してきた。この時点でも、まだおかでんは「サイコロ3は冗談」のつもりだった。直後に、
あやや。ひびさん参加可能ですか。だったらちょっとサイコロはストップしますか?
前回サイコロ2で体調を崩してしまった張本人だからなあ
という回答を返している。だが、しぶちょおが畳みかけるように
ああ、あれはサイコロで体調崩したんじゃなくて、
最初から体調が良くなかっただけ。ていうか、結構積極的にサイコロでもいい気がしてきている自分が怖い。
とやり返したものだから、流れは一気にサイコロ3実現に向けて動き出したのであった。ひょうたんからコマならぬ、冗談からコマ。やはり、しぶちょおにしろ、おかでんにしろ、「あんなしょーもない企画」と思いつつも、サイコロで行き先を翻弄されるという「あまりに不毛な」旅の魔力にとりつかれてしまっていたようだ。
誇張表現でもなんでもない。あれは、「魔力」だ。その強烈に鈍く光り輝く(日本語が変)、毒々しい刺激は、麻薬のようだ。一度体験してしまうと、行き先が決まっている旅行が断然つまらなくなってきてしまうくらいだ。
やるしか、あるまい。
自分の中でくすぶっている、「またやるのか?もう止めた方がいいんじゃないか?」という良心を振り払い、レギュレーションの作成に着手した。もう、戻れない。これから先は、サイコロの目に託そうじゃないか。
2004年9月15日。今年3度目のサイコロの旅は、長野県庁前を出発する。さあ、運命はどっちに転がる?
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2003年09月15日(月) 1日目
朝8時すぎ、長野駅で東京から新幹線でやってきたおかでんと、名古屋から車でやてきたしぶちょお・ひびと合流。三人とも気合いが入った面もちで、出発地点に設定した長野県庁に向かう。その車中での会話。
今後掲載される各自の発言の全ては、ICレコーダーで録音されたものであり、「飾りっけなし」の発言です。精神的にヤラレてくる様を存分にお楽しみください。
おかでん「では、長野県庁に到着する前に・・・今回、どこに行くかという予測と、それから『自分はここに行きたい!』という希望を聞いてみたいと思います。じゃまず、しぶちょおから聞いてみましょうか。今晩どこら辺に行ってると思いますか?」
しぶちょお「正直検討つかないんですが・・・悲しいけど、松本あたりで一泊するんじゃないかと・・・」
車中笑。
おかでん「長野から一歩も外に出られない、ということでよろしいですか?」
しぶちょお「うーん、今日は長野から出られないんじゃないかな、と思うんですよ。ええ」
ひび「うおー」
しぶちょお「今までの経験から言うとですねえ、いきなりサイコロの目が北に行きゃいいものを、南に出しちゃったと」
おかでん「南に行くだろうなあ、多分」
しぶちょお「うん。で、上田のあたりに行った挙げ句・・・こう・・・グルグル回ってね、で、ビーナスラインのあたりを通ってですね、で、松本あたりに行っちゃうんじゃないかと」
おかでん「ああー」
しぶちょお「で、見慣れた景色でチクショウめ、と。・・・ただね、翌日は東京・名古屋というこの企画のゴール地点が近いですから。それはそれでまた、企画の主旨としてはいいのかな、と。だけど、今日は・・・・・・・・・松本かぁ。うわぁ」
おかでん「じゃあ、最終到達地点としては、東京名古屋いずれかにゴールできると思いますか?それとも、もしリタイアするとすればどこでリタイアすると思いますか?」
しぶちょお「ああー。ゴールはですね、難しいと思う。うん、ゴールは難しい」
おかでん「では、どの辺りでリタイア?」
しぶちょお「リタイアはですねえ・・・タイムアップは、希望的観測も込めて、うーん、甲府あたりじゃないかと」
おかでん「あー、僕もそんな感じかなと思ってた。いい線行ってるよ」
しぶちょお「なんとなくあの辺、行ったり来たりして。下手すると富士山の周りを回ったりなんかして」
おかでん「富士山サーキット!」
しぶちょお「富士サーキット。で、気がついたら思いっきり南アルプスも回ったりなんかしてるかもしれない」
おかでん「ありそうで怖いな。というかそれ、現実解。うーん、じゃ、次ひびさんに聞いてみましょう。前回は2日目、サイコロにきついのお見舞いされてしまい、寝込んでしまった不遇の人。でも、愛知ピストンネットワークの怖さは十分に知っている人でもあります。さて今回は?」
ひび「いやー、今この地図見てるんですが。うーーーーーーーーん。諏訪。諏訪までは行きたい、なあ。」
しぶちょお「今日?」
ひび「今日。」
しぶちょお「何?今日諏訪行っちゃうの?」
ひび「行きたいなあ、と」
おかでん「なるほど。じゃ、今晩は上諏訪温泉あたりで温泉旅情で一泊と」
ひび「したいなあ、と」
しぶちょお「みんな南に行きたがる」
おかでん「で、最終的には?」
ひび「東京・・・って、市も入るんですか?区も?」
おかでん「23区。東京23区がゴール」
ひび「あ、区、ですか。・・・では、区、にたどり着けない東京のどこかで」
車中笑。
おかでん「あー、東京都ナンチャラ市、あたりでということか。・・・じゃ、次僕ね。僕はねぇ、ええと、僕はねぇ、確かに長野から今日は脱出できなさそうな気はするんだけどね、うーん、希望的観測も込めてだね、新潟県にいるような気がします」
ひび「うぉ?」
おかでん「新潟のね、魚沼とか、あそこら辺」
しぶちょお「おやっ!?意外と・・・進んでますねえ」
おかでん「野沢温泉を通っていって、んで・・・津南から六日市のほうに抜けていくのかな、という気がしなくもないです。でも、僕自身の希望を言うと、だ。僕は、宇都宮で餃子を食いたい」
車中爆笑。
しぶちょお「難しいなぁー」
おかでん「餃子専門店で餃子食べながら、ビール飲みたい。いやね、自分自身車運転して行ったらビール飲めないし、かといって餃子食うためだけにわざわざ電車に乗ってだ、あそこに行くっていう気もしないし。で、今回せっかくしぶちょおが運転してくれてるんだし、格好の機会、ということで宇都宮で餃子。で、ビール飲んだあと、宇都宮のビジネスホテルか何かで一泊。すごく気持ちいいと思うんだよな。でも、あそこに行こうと思ったら、ゴール地点である東京をぐるっと避けて回り込まないといけない」
しぶちょお「ものすごく気持ちいいんだけど、すっごくむつかしい」
おかでん「今日、結局出発時間は9時30分くらいになりそうだから、実は今日ってそんなに行動範囲広く活動する時間って無いんだよね」
しぶちょお「そうだね」
おかでん「もっとも、夕方4時になった時点で本日の宿探しを始めるようなマネはせず、ひたすら走り続ければ話は別だけど」
しぶちょお「あとね、今回は高速次第ですよ」
おかでん「あー、高速。今回の新アイテム」
しぶちょお「新アイテム。ハイウェイ。どこまで連れて行かれるのか。果たして国道と交わっているのか」
ひび「ひゃー」
しぶちょお「これがね、どこまで飛ばされるのかが今回の鍵を握っていますね」
おかでん「高速乗ったら、それまでの進路予測の全てが吹っ飛ぶからね。全然違うところにすっ飛ばされる。ワープだよな」
しぶちょお「今回、長野県庁前でサイコロ振るわけだから、できればガラス張りの康夫くん公務室前でサイコロ振りたいね」
おかでん「ははは」
しぶちょお「うん、できれば県庁の中に入って、康夫くんと一緒にサイコロ振りたいね。♪何がでるかな、って」
おかでん「今日公務やってればいいんだけどな」
しぶちょお「サイコロ振ってくれればベスト。『僕ら踊りますんで、踊り終わったらサイコロ振ってください』・・・で、最後に記念撮影して」
おかでん「気の利いた目を出したら、長野県内をぐるぐる回るので観光振興になりますし、売上も上がりますよ。気が利かない目をだしたら、さっさと僕ら長野県から出ていくのでお金びた一文も落としませんよ。さあ県知事!たのんます!って。でもなー、相当難しいんだよなぁ。長野市街を、国道がぐちゃぐちゃぐちゃっと走っているからなあ。長野市街を抜けるだけでもちょっと苦労するかもしれな・・・おっと、長野県庁が見えてきたぞぉ」
県庁前でルールミーティングを実施。サイコロ3ルール案は、修正箇所なく可決された。これでルールはフィックス、途中での変更は認められなくなった。さあ、あとはサイコロを転がすだけだ。

おかでん「長野県庁前です。早速最後の一投・・・違った、最初だ」
しぶちょお「まだ早いぞ」
おかでん「終わらせちゃいけないな。まずは、ここでは二つの可能性があります。国道19号が、県庁の前で直角に折れ曲がっているんですが、その道を東に向かうか・南に向かうか」
しぶちょお「二者択一だね」
おかでん「今んとこ、どっちにいってもそんなに問題ないんだけど、北に行きたいんだったら・・・」
しぶちょお「まず東を出しておきたいね」
おかでん「東だね」
この企画の主旨としては、「東京もしくは名古屋にゴールインする」事だ。しかし、ここでなぜわれわれは「北に行きたい」と思うのかと言えば、松本界隈はさんざんアワレみ隊企画でウロウロした経緯があって、面白みに欠けるからだった。過去何度にも渡って行われた、「信州新蕎麦包囲網」の企画で、長野は勝手知ったる県。正直、もうこれ以上サイコロ企画とはいえ走り回りたくはなかった。「ゴールとは方向違うけど、とりあえず日本海に出て海の幸でも」というのが、三人そろっての共通認識となっていた。
おかでん「じゃ、南下する方を偶数。東に向かう方を奇数、としましょう。それでは、注目の第一投目・・・ええと、サイコロ、赤と白どっちがゲンが良かったっけ?」
今回も、サイコロ2で使ったサイコロそのものが手元にある。さんざん、サイコロ2でわれわれを追いつめてきたそのサイコロで、今回も旅を続けることになるのだ。赤と白、過去の経験則でどっちがわれわれにとって有利な目を出したかは非常に重要な要素だ。
しぶちょお「それねぇ・・・どっちもどっちだったと思う」
おかでん「じゃ、赤で行きます!赤のサイコロで。・・・奇数でヨロシイですか?」
しぶちょお「奇数で、東に向かいましょう」
おかでん「オッケ。じゃまず、奇数で。では!長野県庁前から!・・・うわ、人が歩いてるぞ。2カ月ぶりだと相当恥ずかしいんだけど。よし、やるぞ」
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロまかせよ♪
おかでん「長野県庁ぉぉぉぉぉ!」・・・・
おかでん「4!偶数!」
一同大爆笑。おかでん「やっぱなぁ。やっぱ第一投目からこうくるか!・・・まだリカバリーはきくけどさあ。きくとは言っても、さぁ」
しぶちょお「なんか・・・悲しくなるね」
しばらく沈黙おかでん「ああ゛ーっ、チクショウ」

しぶちょお「しゃーない。じゃ、まずは南に向かいますか。どうせすぐ、次のサイコロが待ってるし」
おかでん「えー、9時25分。分岐点にあたります中御所交差点350m手前にやってきました。ここは二分岐ですね。まっすぐ南下すると・・・18号とぶつかるのか。そして、右に折れると・・・19号。右に曲がって大町街道に入っちゃうと・・・ええと?途中、19号バイパスで敗者復活戦があるとはいえ、そのまま松本の方向に一直線で。。。おい、どこまで行くんだ、この国道。。。ああ!分岐なく、明科まで行ってしまうぞ。松本の一歩手前じゃないか。距離は稼げるけど・・・ビックゲインだけど、これはイヤだ!恐れた通り、松本がわれわれを呼んでいる!」

しぶちょお「それはイヤだ!」
おかでん「だから、なんとしても、ここは直進して、国道18号線で北の目をだして、リカバリーしないと。って、おい!よく見ると長野市街ってサーキットコースになってるんだな。また県庁前に戻りかねないぞ」
ひび「ま-わ-るー」
おかでん「ま、先を考えてもしゃーない。松本にレッツゴーの国道19号が偶数、まだ北の目の可能性がある国道117号が奇数、で行きます」

おかでん「アルプス証券の前で振ります。では!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
おかでん「まっすぐ!」
・・・

だだだっ
おかでん「3!奇数!まっすぐ!」
しぶちょお「よしっ!」
おかでん「・・・良し、なのかどうかはわからんけど」
しぶちょお「まあ、いきなり松本行くよりかは、面白そうじゃん」
おかでん「ま、そういうことで。とりあえず、まだまだ日本海行きの可能性は捨てていないぞ、ということで次に向かいます」

国道117号線を南に向かう。「日本海行きの目はまだある」と言っているが、国道は南行きだ。
犀川を渡ったところで、左に90度折れ曲がり、そして国道18号篠ノ井バイパスにぶつかる。
おかでん「いやぁ、ワクワクするね」
しぶちょお「やめられんな、この刺激は」
おかでん「ひびさんもそうだろ?やめられんだろ?」
ひび「あ、いえ、私はそんなには」

おかでん「バカモン!君もだ、あと半日もすれば『やめられんなぁ』って低い声でつぶやくようになるんだ。せいぜい、いまのうちに常識人ぶってればいいさ。ああ、そうともさ」

国道18号との合流地点にやってきた。
左折で、長野市街に向かって戻る。右で、やっぱり僕らメチャ松本好きか、という松本方面。おっと、右折の場合は上田という可能性もあるのか。
おかでん「右折が、偶数。左折が、奇数。われわれとしては、何とか奇数の目を出して、北の目を出したいところなんですが・・・」
しぶちょお「日本海の海の幸。」
おかでん「そう。もうさっさと行かないと、お昼ゴハン食べそこねちゃう。お魚の鮮度が下がっちゃうからな。遊びはなしだよ?一発で北に向かうよ?」
しぶちょお「ほうとうは、いらないからね」
おかでん「ほうとういらない!山梨名物じゃないか、それ」

♪何がでるかな、何が出るかな、これが第三回目に・・・投げるぞぉ!(字あまり)
奇数!頼む!

ひび「わー」
おかでん「奇数!」
しぶちょお「よし!」
おかでん「よーしよしよしよし、まずは松本の目を潰した!北だ!北に行くぞぉ!」

また、犀川を渡る。ちょうど、長野県庁からUの字を描いたルートを通った事になる。
しぶちょお「考えてみればわしら」
おかでん「ん?」
しぶちょお「ゴールするのが目的だよな。何で北に向かいたがってるんだ?」
おかでん「企画の主旨からハズレてるな、言われてみれば。でも、何か楽しいじゃん?」
しぶちょお「うん、何か楽しい。それは確かにそうだ」
おかでん「何だかね、サイコロ2の時と違って、ワクワク感が強いんだよ」
しぶちょお「そうだね、それは言えてる」
おかでん「だから・・・ゴールなんてこの際どうでも良くって、サイコロは一体僕らをどこまで遠くに連れて行ってくれるのかな、ってそっちの方に興味がある」
しぶちょお「俺もそんな感じは、する」
おかでん「まあいいんよ、企画実行中のわれわれのココロがいかにヨコシマだろうがタテシマだろうが、結局企画の主旨通りにゲームを進めれば。全ては2泊3日終了時点で分かる事だ」
しぶちょお「やっぱりどこでやってもサーキットとピストンからは逃れられない、と」
おかでん「縁起でもないこと、言うな!」

おかでん「第4投目、ですね。18号と19号の分岐になります。
左に曲がって19号に入ってしまうと、スタート地点の長野県庁に戻ってしまうという悲劇が早速」
ひび「サーキットだー」
おかでん「いきなりサーキットはイヤだな。わき目もふらず、サーキット実現!ってなったら、この先お先真っ暗だ。それだけは避けたい。まっすぐ直進して、ますます日本海海の幸を確実なものとしたいが良いか?」
しぶちょお「良いのではないかと」
おかでん「じゃ、いつも通り偶数でまっすぐ、北へ。奇数でしなやかまろやか県庁に突撃ということで。絶対に偶数出さないと!」

おかでん「第4投目ですね。・・・ちょっと今人が来てしまいました。しばらく待ちましょう、恥ずかしいので」
やり過ごすのを路上で待つ。
おかでん「さあ、非常に怪しまれております」
ひび「ははは・・・すごいみんな見てますよ」
おかでん「確かに怪しすぎます、周囲に店も何もない路上で車がハザードたいて停まってるんですから。事故ったか何かしたとしか思えません」
ひび「サイコロ振ってるだけなんですけどね」
おかでん「まさかサイコロ振ってるとは思うまい。ザマーミロ長野県人」

おかでん「ソレでは行きます。偶数、で行きます」
ひび「偶数で!」
おかでん「それっ」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
ぬおりゃっおかでん「頼む!偶数!」

アワレみカーの下に潜り込みそうになったサイコロを、一同追いかける。
おかでん「あっ、偶数!来た!2だ!偶数!来た来た来たーッ!北だ!よーしよーし、まだまだ北に向かうぞぉ。こりゃ本格的に北が僕らを呼んでるんじゃないのか?」
長野市サーキットの可能性がとりあえず無くなったということで、ほっと一安心する車中。あとは、国道の少なさを利用して、次の分岐までぐいぐいと進める・・・という「旅の醍醐味(だいごみ)」を味わおうではないか、という気分だ。
おかでん「どう考えてもこれは、今日のお昼ゴハンを日本海の海の幸で賄え、と言ってるとしか考えられんだろう」
しぶちょお「まさしく。食うぞぉ」
おかでん「今日は何を食べようかな。ほたるいか、っていうのは・・・富山の名産か。ええと、上越あたりだったら何があるのかな」
と、早くもお昼ゴハンの心配を始める始末。しかし、地図を見て貰えば分かるとおり、日本海に出るまでにはまだまだハードルは高い。
次の分岐は日本海に行くためには非常に重要な意味合いがあった。

しぶちょお「次・・・406号を左に行ったら、どうなる?」
しぶちょおがカーナビを横目でチラチラ見ながら、画面に表示されていない先を気にする。
ひび「えーと、白馬まで行きますぅ」
ナビをしばらく操作したひびが回答する。
しぶちょお「白馬でしょ?で、その国道を北に向かえば、もうすぐに日本海に出られるんじゃないんか」
おかでん「そうだな。日本海だな。糸魚川に出る」
しぶちょお「だったら、今度の分岐では左、だな」
おかでん「いや待て、その白馬だけど、間違って南に曲がってしまったら、そのまま松本に一直線なんだよ」
しぶちょお「なにぃ?松本まで?」
おかでん「おう。モロに松本市にぶつかる。ということで、ハイリスク・ハイリターンな分岐ということになるわけだな」
しぶちょお「日本海のつもりが松本だったら、ショックだなあ」
おかでん「だろ?ということで、次の分岐は、ローリスクローリターンの右折で、ちまちまと日本海行きの可能性を高めて行った方がいいんじゃないかと思うんだよな」

おかでん「では、第5投目行きます。えー、今、国土交通省長野国道工事事務所東和田情報ステーションに居ます。長い名前だな、おい。次の分岐は、国道406号を白馬方面に向かうか、国道18号を須坂方面に向かうかの二者択一です。偶数で、須坂。奇数で白馬で行きましょう。しぶちょおは、白馬方面でいいんじゃないか、と言ってますが、僕は間違って松本に戻るのはイヤなので、偶数出して須坂に向かいたいと思っています。さあ、どっちが正しいか?結論はこのあとすぐ!」

おかでん「さあ、行きます!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・おかでん「どっちでもいいけど、偶数!」

おかでん「偶数!右に曲がります!」

ひび「はははー」
東和田交差点を曲がって、ほんの数分のところでまた国道分岐があった。
左折、18号だと信濃川西岸を北上していくルートになる。右折だと、信濃川を超えて須坂市街に突入。そこでは3分岐が控えていて、今後どういう展開になるかが読めなくなる。ここは、国道18号に曲がっておきたいところだ。
おかでん「偶数で須坂方面、奇数で豊野方面ですね。もちろん、奇数で北上続行の方がありがたいんだけど・・・ま、偶数でも我慢はできるか。軽井沢とか小諸の目も見えてくるからな」

おかでん「では、行きます。奇数!・・・出るかな?ま、どっちでもいいや。でも、奇数が出てくれるとうれしい!それ!」
♪何がでるかな、何が出るかな・・・そりゃっ

おかでん「どうだ?・・・偶数!・・・まっすぐ!」
ひび「うーーーん」
おかでん「そうかぁ。まっすぐで来ちゃったかぁ」
しぶちょお「何?まっすぐなの?」
おかでん「はい、まっすぐ須坂方面にGOです」

「あのサイコロ、偶数の目が出やすいんじゃないか」
などと、これまでの出目について議論をする車中。しかし、よく考えてみたら、奇数も出ているわけで、特に出目が偏っているわけではなさそうだ。悔しいけど、「サイコロの物理的な特性」ではなく、「サイコロの神様」によって今回も僕らは翻弄されているわけだ。
信濃川を渡る。長野市とおさらばだ。
おかでん「見ろ!長野市突破だ!サイコロ2のとき、名古屋市を脱出するのにいかに苦労したことか!それを考えれば、すごく順調だぞオイ」
しぶちょお「いや、でもサイコロ2の時も豊田市とか瀬戸市には早い段階で入ってたぞ。それでも、名古屋さんに呼び戻されたんだから」
ひび「長野さんも・・・?」
おかでん「うわぁ、そんな夢もキボーもないことを言ってはいかん!長野さんは、決してそういう粘着質でないと思いたい!」
おかでん「須坂市街の交差点手前にやってきました。ここでは、403号南下でインター入り口方面、406号直進で菅平、406号北上で小布施、信州中野方面ですね。えー、ですから、1,4でインター。2,5で菅平、3,6で信州中野という出目になるな。おお、今回初の3分岐ではないか。車中では、理想は信州中野の3,6といった感じですね。菅平は・・・まあ、いいか、って感じ。1,4のインター方面は絶対に避けたい。これをやると、今までの努力が全部パーになりかねない。と、いうわけでそろそろ交差点が近づいてきましたよ、っと」

交差点前に、ちょっとした車を停めるスペースがあったので強引に停車。ハンドルを握るしぶちょおを車中に残して、おかでんとひびが二人で社外に走り出る。
おかでん「さあ!1,4以外を出せばいいということで・・・」
ひび「できれば3,6を」
おかでん「うん、3,6を目指して!行きます。これで失敗したら、サイコロをひびさんに譲り渡しますんで」
それっ
♪何がでるかな、何が出るかな、須坂の交差点で振るぞっ!
おかでん「1,4以外!」
おりゃっ

おかでん「3!」
ひび「来たあぁああっ!」
普段、大きな声を出さないひびが思わず絶叫した。
おかでん「3!来た!」
ひび「すごーい。これ、すごーい」
熱狂する一同。
おかでん「ははは、今回は楽しい!」
ひび「スゴく楽しい!」
車に乗り込む。ひびがしぶちょおに報告を入れる。
ひび「3,出たよぉ。ホントに3出たよぉぉぉ」
しぶちょお「左だな?」
おかでん「左です」
しぶちょお「どしたん?こんなにいい目が出るなんて」
おかでん「いやぁ・・・サイコロの神様がねぇ」
ひび「来た来た来たーっ」
おかでん「神、光臨!」
ひび「いやぁー。凄い」
しばらくの間、国道分岐がない状態で快適なドライブが続く。
おかでん「おおー、いいね、この『移動してます』って感じ」
しぶちょお「いつも俺ら、移動してるけどね」
おかでん「でもよ、今までってどっちかといえば『移動させられてます』って感じじゃん。パズルゲームの1ピースみたいな。あっちいって、こっちいって。でも、今って、自主的に目的地に向かってるって感じだよな」
しぶちょお「そうだな、それは確かにそうだ」
おかでん「でも、旅って・・・」
しぶちょお「本来こういうもんだ。僕らがオカシいんよ」
おかでん「ああ、なるほど」
おかでん「ただいまの時刻、10時38分。信州中野の七瀬交差点手前にやってきました。ここは、292号北上と、403号東行きという二分岐ですね。どっちがいいかと言うと・・・どっちもどっち。292の方が素直に北上できるんだけど、途中で国道の分岐があるので長野市街に引き戻されるおそれアリ。その点、403号に入れば、ぐるっと大回りになるけど北上できるし、万が一分岐に失敗しても、志賀高原経由で軽井沢に抜けることができる。どっちかといえば、403号かなあ」
しぶちょお「どっちでもいいや」
おかでん「では、偶数で403号、奇数で292号ということで」
しぶちょお「おお?ダメだ、七瀬交差点停まるところ無いぞ。急げ!」
この交差点は、有料道路との立体交差とクロスしている関係で、直前で車を停めるような場所が無かった。
おかでん「ええ?あわわ、では、今すぐ。何がでるかな、何が出るかな、以下省略!」

しぶちょお「何が出た?」
おかでん「1!奇数だ!」
しぶちょお「どっち?」
おかでん「292号。左折だ!」
しぶちょお「あ、左折なのね・・・。ちょうど良かった、左折レーンに車が入ってたんで。それ」
車は、さらに北上のルートをとることになった。

ひび「292!ますます北に向かっていくぅ」
おかでん「292号、入っちゃったぞ。どうなるんだ一体この先?」
ひび「日本海?」
おかでん「いや、このルートはまだまだハードルが高い。えーと・・・あれ?」
ロードマップをめくっているうちに、292号はどんどん東のほうに向かっていくことに気がついた。
おかでん「おい、これ日本海に出られないじゃん。野沢温泉経由で、越後湯沢方面だぞ」
ひび「海の幸は?」
おかでん「今日は山の幸だ、諦めろ」
ひび「ああ・・・」
しぶちょお「おかでんの予想通りになりつつあるな」
おかでん「いやー、わからん。まだお昼にもなってないからな。それにしても、ダイナミックに動くよなあ、今回のサイコロ」
しぶちょお「楽しい。ドライブみたいで楽しい。」
おかでん「いや、まさにドライブやってるんだけどね、僕ら」
おかでん「10時47分。国道292号を北上してきたわれわれにまた新たな試練です。このまま北上を続けるか、それとも117号でUターン、南下開始するかという分岐ですね。南に戻ってしまうと・・・ああ、相当引きずり戻されるな。これはイヤだ。・・・偶数なら、まっすぐ292号。奇数なら戻って長野方面、ということになります」

ひび「はい」
おかでん「絶対偶数出しましょう!」
しぶちょお「出しましょう」
ひび「出しましょう」

おかでん「さあ!サイコロよ、お願いします!・・・・うーん」
サイコロを投げようとして、ふと動きが止まってしまった。反対車線の車が渋滞を作っていて、暇なドライバーたちが全員こっちの様子を見ている状態だったのだ。
おかでん「見られてる・・・。」
ひび「信号が。信号が良くないですね」
おかでん「いや、そんなの関係ないね。もう、いい加減恥ずかしがらずにやらないと。・・・あ、でもその前に写真撮っとく」
ひび「時間稼ぎかい!」
20秒ほど、ここで間をあける。おかでん「では行くぞ、GO!」♪何がでるかな、何がでるかな、ここは絶対偶数!それっ

サイコロが転がった近くにいたひびが、大笑いをした。
ひび「ぎゃはははは」
駆け寄るおかでん。
おかでん「偶数!うわ!来た!ひゃははははは!偶数!」
ひび「ひょひゃはははは。やったぁぁ」
しぶちょお「偶数?良かったねぇ」
おかでん「まだまだ、サイコロの神は我が手元にあり!北上、続行!気持ち悪いくらい、快適!」

しかし、分岐に近づいてみて、カーナビの表示がヘンであることに気がついた。
しぶちょお「おい、117号が黒く塗りつぶされているぞ」
おかでん「まさか通行止か!」
思い出されるのは、サイコロ2で「法面崩壊につき通行止」となっていた道路。そのときも、この真っ黒な表示になっていた。
しぶちょお「通行止、だろうな」
おかでん「では、さっき振った劇的なサイコロの目は・・・」
しぶちょお「無駄になった、って事だ」
ひび「えええええええええ」
おかでん「イヤ待て、でもひょっとしたら通行止になっていないかもしれない。このカーナビの情報が古いかもしれないし」
しぶちょお「万が一そうだとしても、結局僕ら292号北上は変わりないんだから、どっちでもいいけど」
おかでん「あ、そうか。通行止でもそうでなくてもどっちでもいいのか。でもすっげえ悔しいな、運を使い果たしそうだよ、これじゃ」
案の定、国道117号は通行止になっていた。結局、サイコロ1回分の運を無駄にしてしまったことになる。嗚呼。
おかでん「10時50分。117号線との分岐にやってきました・・・って、あれ、また117号か」

しぶちょお「こっちがバイパスになるみたいだな」
おかでん「ああ、そういうことか。今度も南に引き戻される国道分岐なので、何とかここを逃げ切らない事には話が先に進みません。偶数でまっすぐ。奇数で・・・117号左折で、豊田飯山インター方面に向かいます」
ひび「うう」
おかでん「怖いですねぇ。今までのサイコロではインターの緑色表記があっても平気だったんだけど、今回からは『ワープ地点』を意味する表記だもんな。どこに飛ばされる事やら」
車外に出る。
おかでん「偶数、だな?よし・・・行くぞ」
♪何がでるかな、何が出るかな、まだまだ運は、続いてくれよっ!
よいしょっ!

ひび「ぎゃははははははっは」
おかでん「あああーーーーーーー。やっぱりなあ。やっぱり遂に来てしまったかぁ。いずれこうやって裏切られる時が来るのは分かってたんだけど、もう少し辛抱してもらなかったんかいなあ。・・・・・・・・(沈黙10秒)・・・・ああああーーーーー」
しぶちょお「遂に来てしまったな」
ひび「来てしまったですよー」
おかでん「あー(沈黙10秒)、2カ月ぶりに1の目を出しちゃったかな。しゃーないなあ」
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