鳳凰さんざん【鳳凰三山】

夜叉神峠の看板

11:19
夜叉神峠の標識で記念撮影。

単なる峠に過ぎないわけだが、こういう看板があると写真を撮りたくなるよな。一体何の「記念」なんだかわからない写真撮影。

でも、それを言いだしたら山頂での記念撮影も「単なる山のてっぺんに過ぎない」と一刀両断されちゃうな。

こういう時の写真って、どういう顔をすれば良いのか難しい。山頂だったら達成感があるので、ガッツポーズするとかニコニコして写真に納まるのは当然だ。しかし、峠じゃどうすりゃいいのかな。

夜叉神峠小屋

11:19
この夜叉神峠には山小屋がある。そのものずばり、夜叉神峠小屋というネーミング。収容人数は15名なので、泊まろうと考えている人は事前予約必須だろう。どんな人がここに泊まるのか、不思議。

調べてみたら、南アルプスの山々を一度に複数登ろうとしている人の中継点として使われることがあるようだ。ちなみに、鳳凰三山だけが目当てで夜叉神にやってきた人は、この先にある南御室小屋か薬師岳小屋に泊まるのが一般的。

白峰三山は雲の中

11:20
この峠から、白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)がきれいにみられる、という話だったが。

おーい、見えるのは雲ばっかりだよー。山の片りんすら見えやしなかった。残念。

甲斐の国 よっちゃばれ弁当

11:27
一息ついたところで、ちょっと早いけどお昼ごはんにする。朝ごはんを食べて3時間も経っていない状態だが、この先手ごろなピクニック場所がなさそうなので、ここで大休止。

ザックから取り出したのは甲府駅で買ったお弁当。2つあるわけだが、どっちから食べようかな・・・。しばらく悩んだ結果、「甲斐の国 よっちゃばれ弁当」を食べることにした。

よっちゃばれ、ってどういう意味だと調べてみたら、「寄っておいで」とか「集まれ」という意味があるらしい。甲州弁は非常に難しいとは知っていたが、まさか駅弁で悩むことになるとは。

集まれ!と言われたからには、おかでんとしてはスルーできぬ。はい!集まります!

よちゃばれ弁当の中

11:30
うわ。弁当箱の中がえらいことになってるー。これ、雑に扱うとえらいぐちゃぐちゃになってしまいそうで怖い。寄り弁どころか、雪崩弁になりかねない。ここまでこのお弁当を丁寧に持ち運んだ自分に感謝。

お品書き

こういう「ちょっとお高い」お弁当特有だが、箱の中には「お品書き」がきっちり入っていた。ええと、メインは「フジザクラポークしゃぶしゃぶ塩だれ和え」か。

そのほかに、狭いお弁当箱にみっちりと料理が入っている。その種類はというと、ざっと9種類。よくぞまあ、ここまで詰め込んだものだ。おせちみたいで華やかだ。ただ、当然その分お値段に跳ね返ってくるわけで、このお弁当は1,100円。うーむ。

「1,100円?ぼったくりだよ」と言いたいところだが、中にこれだけみっちりとおかずが入っていると、文句言えないよな。思わず黙り込むおかでん。

高いお弁当というのはご飯が少ないんだな。おかずだらけ。炭水化物が必要となる山登りにおいては、あまりフィットしないお弁当だったかもしれん。400円程度で買えるのり弁の方がよっぽど山登りに合っていると思う。でも、そんなのり弁は駅弁屋さんでは手に入らないと思うが。

よっちゃばれ弁当、「これは何だろう?」とお品書きと実物を見比べながら食べるのは楽しい。量の割にはえらく時間をかけたお昼ごはんとなった。

行軍再開

11:49
夜叉神峠で当初予定どおりきっちり30分休憩を取った後、行軍再開。

不思議な木

道中、不思議な木を発見したので撮影しておいた。木の幹が、シケイン状に折れ曲がっている。どういう生育をしたらこういう形になるのだろう?まるで盆栽の松だ。

なにやらありがたいご神木かもしれないので、手をあわせておく。今晩美味い麦酒が飲めますように、ナムナム。

登山道1
登山道2

12:01、12:08
樹林帯の中を進む。急な坂が続く、というわけではなく、比較的なだらかに登り続ける状態。道は相変わらずよく踏まれており、歩きにくいという箇所は特になかった。

夜叉神峠登山口が標高1,380mで、今日の行程中一番高い場所である苺平が2,510m。ざっと1,100mちょっと登らなければならない。楽できる箇所がある、ということはその分後でキッツイ坂を登らされることを暗示しており、先が思いやられる。

予約が必要な山小屋

12:14
登山道の脇に、こんな看板があった。

南御室小屋 薬師岳小屋 予約が必要です お電話ください。

予約無しで突撃したらどうなるのだろう。「もう山小屋はいっぱいですー、泊まれません」と追い返すことはさすがにしないと思うが(そんなことをしたら、登山者の命に関わる)、事前予約がないと何かと山小屋業務に支障が出るのだろう。

とはいえ、予約、といっても当日予約もOKなのね。おかでんは既に数日前にweb予約をしておいたので、全く問題なし。

予約必須の山小屋って、全国数多ある山小屋の中でもそれほど多くない。だから、登山者はついつい予約無しで山に突撃する人が多い。今回の場合、この先にある山小屋二軒とも予約必須、ということなので、この看板を見て肝を冷やした人は結構いると思う。「やべー、予約してないよ、今晩泊まれるかな?」と。

しかし時代は進んだもんだ。一昔前だと、お電話ください、といわれても公衆電話なんて山の中にないし、山小屋にも電話が通じていないし、連絡のしようがなかった。でも今じゃ、登山者も山小屋側も携帯電話を持っていて、しかもそれが山中でも電波が入るというのだから凄いご時世だ。

もっとも、山のどこでも電波が入るというわけではない。当然だ、普段人がほとんどいないような山中までインフラ整備するほど携帯キャリアに余裕はない。この「お電話ください」看板がある場所は、奇跡的に電波が入るところなのかもしれない。

歩きやすい道が続く

12:15
歩きやすい道が続く。このままの斜度で山頂まで道が続いていればうれしいのだけどなあ。

おかでんはマゾっ気はないので、「きつい坂を登り切ったぜ!」という事にカタルシスはあまり感じない。なるべくなだらかな道歓迎。でも、そうなると「なんでアンタ山登りやってるの?」という根本的な事に疑問を感じ始めてしまうので、あまり考えないようにしている。なだらか道が良いのなら、近所を散歩した方が時間的にもコスト的にもよろしかろう。

杖立峠
杖立峠の看板

12:47
杖立峠到着。峠、と名乗っているが、実際の杖立峠はこの先しばらく行ったところにあるらしい。今いるところは峠の地形ではない。何でこんな紛らわしい事をしているのだろう?

道標として、パイプをピラミッド状に積み上げたケルンが設置されていた。この形のケルンはこの後も何度も登場することになる。普通、ケルンは石を積み上げたものだが、この山系は独特。

ズボンが汗でびっしょり

12:49
しゃがんでザックの中から水のペットボトルを取り出そうとしていたら、シャツに染みこんだ汗がズボンにべったりと付着してしまった。

うわあ、おしっこ漏らしたみたいじゃないか。恥ずかしいなあ、もう。

しばらくは前を隠しながら歩く羽目になった。

道はまだ続く

12:56
道はまだまだ続く。

夜叉神峠登山口から本日の宿:南御室小屋までは、水平距離で約7キロ程度。ちょうど今くらいが中間地点になるのかな?何時に山小屋に到着できるだろうか。一応、当初プランでは15時頃を想定しているのだが。

急に広い場所がある

13:14
この登山道、時折急に広場のような場所に出くわす事がある。原生林の中を歩くコースなのに、なぜここだけ木が生えていないのか、不思議。木の切り株が見当たらないことから、人工的に広場をこしらえたわけではなさそうだ。

このあたりだけ有毒ガスが出ている、とか、UFOがこしらえたミステリーサークルの場所だ、とかいろいろ妄想たくましくする。山登っている時は基本的に暇なので、こういう妄想ができる素材が登山道上に転がっていると、楽しい。

天然のヘリポートとして活用できるな。まあ、山小屋までまだまだ遠いし、ヘリコプターが飛んでくる必然性はないのだけど。よっぽどこの近辺で大怪我をしたら、ここからヘリ輸送して貰えるかな?

登山道3
登山道4
登山道5

13:26
原生林歩きはまだまだ続く。きつい登りではないので、周りの風景が楽しめて大変によろしい。時には苔むしたところを歩いたりもする。

さっき、「大怪我したらヘリ輸送してもらえるかな?」と考えたが、この登山道で大怪我するってよっぽどの間抜けでないと無理だ。滑落しかねない崖なんてないし、スリップしそうな浮き石もないし。

この登山道について語られているブログなどを読むと、「標準コースタイムより随分早く目的地に到着できた」という話がちらほら出てくる。なんでだろう、と不思議だったが、いざ歩いて見て納得だ。誰もが息があがる急坂はそれほど無く、比較的なだらかな道が続くからだ。もともと歩くスピードが速い人であれば、この道はすいすいと歩いていけるだろう。

おかでんは?いやもう、標準コースタイム通りに進むのがやっとですわ。大幅タイム圧縮!なんて事ができる体力は持ち合わせていない。登山のモチベーションは「山小屋でビール飲みたい」で、そのために今こうして汗水垂らして歩いているわけで。

焼け跡
焼け跡の看板

13:32
おっと、また開けたところに出てきたぞ。今度の広場にはケルンがある。

どうやら、「焼け跡」と呼ばれるところに着いたようだ。周りを見渡しても、黒こげになっている木は見当たらない。山火事があったとしても、相当古い時代の話なのではあるまいか。

ここから本日の最高地点、苺平まで40分。さらにそこから40分で南御室小屋なので、予定通り15時には山小屋に到着できそうな予感。ほぼぴったり当初計画通りだ。

南御室小屋からのお知らせ

13:33
おや、またここにも看板が木にくくりつけられているぞ。

南御室小屋に宿泊の方 食事準備のため当所の通過が午後2時半以降でしたらご連絡ください。ドコモ・AU可

テント泊は連絡不要です

山小屋ではなにか時間的にシビアな事をやってるのだろうか?度重なる「連絡ちょうだい」という看板は、何か深刻な理由がありそうだ。いろいろその理由を考えてみたが、いまいち面白い話を思いつかなかったので途中断念。「鬼婆が包丁を研ぎながら山小屋にやってくる人を待ち構えている」などと昔話風のことを思いついたのだが。

まあ、実際のところは、えらく遅い時間に山小屋に到着し、「メシ食わせろ」とごねた人が後を絶たなかったのだろう。「メシはもう無い!空きっ腹を抱えてとっとと寝ろこの野郎」というわけにもいかないので、仕方なく料理をこしらえることになったのは想像に難くない。

後注:調べてみたら、「(webや電話などで)予約した人が無断キャンセルする例が後を絶たず、そのための対策」というのが事の真相らしい。料理を作って待っていても、無断キャンセルのため料理が無駄になることが多かった様子。

山小屋泊の場合、16時までに到着は常識だ。何しろ、まだ日没にもなっていない17時過ぎから夕食が始まってしまうから。

紅葉1
紅葉2

13:34、13:55
このあたりでも紅葉が始まっている。赤や黄色に染まった木々を愛でながら、道は進んでいく。途中、ガレた道もあったが、概ね歩きやすい。

苺平
苺平の看板

14:06
苺平到着。ここが本日の最高地点となる。標高2,510m。ここから先は下りになり、標高2,430mまで下ったところが、南御室小屋だ。

「平」と名前がついているが、あまり平坦な場所ではない。ケルンがないと、気が付かないで素通りしてしまうだろう。

小屋へはここから30分で到着できるらしい。もうここまで着いたら勝ったも同然。とはいえ、数分ほどここで休止。「百里の道は九十九里をもって道半ばとす」だな。気が抜けてすっ転んだりしないように注意。

南御室小屋の看板

14:08
ここにもあった!南御室小屋の看板。これで3度目だ。

夕食の受付は午後4時までです。遅くなる方はTel 南御室小屋

到着が遅くなる予定の人で、携帯を山中に持ち込んでいない人がいたら、これらの看板を見るたびにひやひやしたことだろう。「やべー、16時までに山小屋到着なんてできねーよ、でも携帯電話持っていないし、やべー超やべー」と。

南御室小屋への道1
南御室小屋への道2

14:16、14:28
下り坂。この坂を下りきったところが小屋だと思うと、自然と足取りが軽くなる。

本当は、南御室小屋からさらに80分先にある「薬師岳小屋」に一泊したかった。明日も行程が長いので、今日のうちにできるだけ先に進んでおきたかったからだ。しかしこの薬師岳小屋、残念ながら水場がない。天水頼みだ。水不足の山小屋の場合、どうしても食事の質が下がらざるをえない。やっぱり山小屋泊の楽しみは、なんといっても食事だ。うまい夕食にビール、これ最高。だから、水場がありふんだんに水が供給されている南御室小屋の方を選んだ次第だ。

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