鳳凰さんざん【鳳凰三山】

南御室小屋が見えてきた

14:34
おー、景色が開けてきたと思ったら、赤い屋根の南御室小屋が見えてきたよー。赤く染まった紅葉が登山客の到着を祝福してくれている。

夜叉神峠登山口から数えて4時間ちょっとでの到着。標準コースタイムを1時間短縮することができた。まあまあの結果だろう。

さて、山小屋に到着してからが「登山のお楽しみ」の開始だ。小屋の中を探検しまくって、その後にビールをぐきゅぐきゅ飲むぜー。

薬師岳小屋本日ソールドアウト

14:34
やや。何か看板が出ていると思ったら、こんな事が書いてあった。

薬師岳小屋は本日満員の為、予約のある方以外宿泊できません

びっくり。薬師岳小屋と南御室小屋は経営母体が一緒なので、お互い連絡を密に取っているのは知っていた。だけど、薬師岳小屋への入場規制をここで実施しているとは意外だった。

そもそも山小屋において「満員」の定義って何だろう。「来る客拒まず。寝床は気合いと根性で何とか確保しろ。どうしても寝場所が無ければ廊下にでも食堂の床にでも寝るがいい」というのが山小屋だと思っていたのだが、薬師岳小屋の場合どうも違うようだ。

前述したが、夜叉神峠から入山する人のほぼ全てが、南御室小屋か薬師岳小屋に泊まる事になる。で、初日のうちに薬師岳小屋に到着しておけば、二日目の行程がちょっと楽になる。だから、多くの登山者は薬師岳小屋を目指したいところだろう。その結果、薬師岳小屋がぎゅうぎゅう詰めになってしまい、阿鼻叫喚を招いたのは想像に難くない。だから、そうならないように南御室小屋がストッパー役を買って出ているのだろう。

ということはどういうことかというと、「薬師岳小屋には満員という概念があるが、南御室小屋はあぶれた人全員を収容します。満員という概念?そんなものはありませぬ」というわけだな。うへー。

看板だらけ

14:34
こんな看板もあった。

薬師小屋へ御宿泊の方は予約済の方も、確認のため当小屋へお申し出ください 南御室小屋

薬師岳小屋小屋のチェックイン的なものをこの南御室小屋で行っているのだった。ここから薬師岳小屋へは80分の道のりだ。薬師岳小屋は、南御室小屋での事前チェックインにより、登山客がちゃんと小屋に向かってきているか事前に把握することができる。そこまでして客の動向を知りたいのだろうか?謎だ。そういえば、南御室小屋もやたらと「遅れる場合はTEL」などと看板を出していたっけ。

14:35
南御室小屋。キャパシティ100名。

うわ、ちっちぇ!と思う。倉庫か何かですか、と思ってしまうサイズと見た目。これのどこに100名が収容できるのか、ちょっと見ただけでは信じられない。なにせ、半月ほど前に尾瀬のゴージャスな山小屋(多分尾瀬の山小屋は日本一快適)を見たばっかりなので、その違いたるや相当なものだ。でも、本来山小屋ってこんなものだよね。目を覚ませ、おかでん。

南御室小屋の前で

14:35
南御室小屋の看板を前に記念撮影。標高2,440m。

事故無く怪我無く到着できてありがたいことです。さて、チェックインしますかね。幸い、まだこの小屋に泊まる予定である大半の人は未到着だ。人がいない間に、山小屋内を隅々まで激写してやろうと画策中。人がたくさんいると、写真撮影どころじゃないからな。

南御室小屋に入ったところ

南御室小屋に入ったところ。

狭い受付がある。カウンター内とこっち、人一人がようやく相対できるほどの幅しかない。ここで、チェックインもやるし(南御室小屋、薬師岳小屋共に)、バンダナや絵はがきなどのグッズも売るし、ビールやジュースの販売もやっている。人が多くなってくるとこの受付に行列ができていた。対応する小屋の人は大変だ。

料金表

料金表。1,0000円単位で設定された料金は非常に分かりやすい。

3食付泊 9,000円
2食付泊 8,000円
1食付泊 7,000円
寝具のみ 5,000円
素泊 4,000円

「3食付泊」というのは、夕食、朝食に加えて翌日のお弁当を注文すること。山小屋泊ではよくあるシチュエーション。でもおかでんの場合、駅弁を下界から持って上がっているので、3食はいらない。「2食付泊」8,000円でお願いする。

1食付泊、というのは夕食だけ食事を提供してもらうシチュエーション。翌日は早朝出発を予定している人の場合、これを選ぶ事がある。もちろん、翌朝食と昼食は自分で用意してあることが必須だ。

「寝具のみ」というのと「素泊」というのがあるのが面白い。同じじゃないのか?と思うが、どうやら違うらしい。おそらく、「素泊」にすると寝具すら提供されず、寝場所だけ与えられるのだろう。寝袋持参、というわけだ。面白いね。でも、ここまで簡素化しちゃうなら、テント持参した方が安い(幕営費は一人500円)と思うのだが。

この山小屋、コンパクトな作りの割には個室なんてものも用意されていた。北アルプスの山小屋みたいだ。でもそのお値段は相当高く、

5-6人用 5,000円
4-5人用 4,000円
3-4人用 3,000円

と設定されていた。見知らぬ人がたくさんいる中でぎゅうぎゅう詰めの状態はイヤだ、という小規模の団体さんがいれば、追加料金で上記のお金を払って個室を確保するのも悪くはない・・・かな?

食事時間の案内看板

夕食は17時30分からです、と小屋の人に告げられた。この日、この宿では夕食は2回転するらしい。2回目の食事の人は食堂の準備ができ次第、ということなので18時過ぎの食事になる。さすがにそろそろオフシーズンの山だけあって、3回転、4回転するような事はなかった。

「そうか、ということは、寝床もある程度ゆったりと確保できるかも・・・」

ちょっと安どする。

朝ご飯は5時から。早い時間の食事はありがたい。2日目の行程は結構長いので、早めの小屋出発ができると後々楽だ。

受付正面のスペース

受付の正面は自由にくつろげるスペースになっていた。乾燥室も兼ねているのかな。上からハンガーがぶら下がっていた。

休憩 1時間300円/人

小屋の入口に貼ってあった紙。

休憩 1時間300円/人

高い!誰が使うか!と思うかもしれないが、雨が降っていてずぶ濡れになった場合、こういう屋内休憩場所は大変にありがたいものだ。そのような時には1時間300円でもしかたがない。

山の中でもお金は結構必要なのですよ。お金があるかないかで天と地の違いがある。特にビール飲みのおかでんなんてのは、その典型例。山で大金払ってビールを飲む。

下駄箱

下駄箱はこの休憩室の壁際にあった。

ここで靴を脱いで、小屋の中に入ることになる。

他人の靴と間違えやすいので、要注意。間違える人なんていないだろ・・・と思うが、案外「自分の靴がない!」なんて事件は発生するらしい。意図的なのか、そうでないのか、わからないが、靴泥棒がいるということだ。

ファブリーズ

この山小屋の親切なところは、「ファブリーズ除菌と消臭 御自由にお使いください」と消臭剤が置いてあったこと。なんて親切なんだ。

こんな親切な事をわざわざ山小屋がやるとはちょっとびっくり。おそらく、周囲に迷惑を与えるほど悪臭の靴があるので、その対策ということなんだと思う。

更衣室

雑魚寝の山小屋において、女性ってどこで着替えればいいの?という疑問があると思う。

答:トイレの個室で着替えるか、もしくは着替えない。

もちろん、中には恥じらいもせず堂々と着替えているおばさまもいらっしゃるが、原則この答えの通りだ。

しかしこの山小屋、休憩室の片隅に「更衣室」という小部屋があった。これは便利だ。しかし、張り紙が貼ってあって、「夜間用トイレ 小用だけです」となっていた。要するに、トイレの片隅で着替えてくれ、というわけだ。まあ、これは仕方が無い。

トイレは山小屋の外に設置されているので、夜間消灯時間後に用を足そうとするとちょっと大変。だけど、こうやって屋内に夜間用トイレが用意されているのは随分便利だった。

消灯時間PM8:00

おっと。この張り紙は見逃すところだったぞ。

「消灯時間PM8:00」と書いてある。普通、山小屋における消灯時間というのは21時であることが多いのだが、ここでは20時らしい。余裕ぶっこいていて、急に20時で電気がシャットダウンされたら大変だ。20時前には寝床についておかなければ。それにしても寝る時間が早いな。その分朝が早いわけだが、ちゃんと寝付けるかどうか不安。

食卓
食堂

靴を脱いで山小屋の奥に入ってみる。

入ったところは、机と椅子が並んでいるところだった。薄暗く、誰もいない。おそらくここが食堂になるのだろう。何人一度に食事ができるかな・・・?ちょっとわからない。

薄暗いのは、多分まだ発電機が作動されていないからだろう。夜になれば電灯が点るはず。山小屋の場合、常時発電機を作動させていると燃料代が馬鹿にならないので、本当に必要な時間になるまで発電機を切っている事が多い。

薪ストーブ

食堂の片隅に薪ストーブが据え付けてあった。

10月上旬だし、まだ今日は出番がないかな・・・と思っていたら、夕方になったらしっかりと薪がくべられて赤々と火がついていたのでびっくり。でも、確かに、夜になると気温が急激に下がってきたので納得だ。さすが標高2,400mの山中だけある。

大量のスプーン

食堂と調理場を仕切っているカウンターのところに、ジョッキに入った大量のスプーンを発見。

ということは、今日はカレーライスなのかな?

カレーかぁ。せっかくだから別のものが食べたいな、と思うが、ここは山の中。ぜいたくなんて言ってられない。ちなみに先ほど受付で見た料金表によると、夕食代は1,000円だし、朝食代も同じく1,000円だ。1,000円という値段であることを考えたら、手が込んだ料理なんて出せるわけがない。カレー、ありがたいじゃないか。いやもう、食べられるだけで満足ですよ。

客室案内図

客室案内図が張り出されていた。

この山小屋は一階部分と二階部分があり、二階には2カ所にあるほぼ垂直なハシゴを登っていくことになる。一階には43人が泊まる事ができ、二階は42人。合計85人の寝床が確保されている。

・・・あれ?この山小屋、定員100名だって本(全国山小屋完全カタログ)で読んだ事があるんだけどな。残り15名はどこに泊まるんだろう。あと、オンシーズンで登山客がどっと押し寄せた場合、一体どうするんだろう。

まあいいや。今日はオフシーズンだろうから、あまりそんなことを気にしなくて良いと思う。今晩の宿泊は、85名いないと思うんだが・・・さて、どうかな?

二階

受付で指定された寝場所は二階だったので、急なハシゴを登って二階に上がる。

二階は、屋根裏部屋の様相。巨大な梁が行く手を阻む。この梁が一本や二本だけあるのではなく、結構な数あるので、水平移動しようとすると難儀する。上をまたいでいくにはちょっと高さがあるし、かといって下をくぐり抜けるには低すぎる、そんな微妙な障害物。

ただ、この梁があるおかげで、大部屋であるにもかかわらず個々の寝床の位置がはっきりと固定されていた。3人分の寝床ごとに梁が横たわっており、それ以上の領海侵犯ができないようになっている。

「3人1セット」の寝床

その「3人1セット」の寝床がこちら。一応掛け布団は一人一枚となっており、寝床環境としては悪くない。混雑する山小屋の場合、掛け布団を複数名でシェアするなんてこともあるので、それと比べれば雲泥の差だ。

枕の下に毛布が折りたたんで据え付けてあり、暗に「この幅があなたの領土」ということを示している。これ以上の横幅を陣取ろうとすると、隣の人といざこざが起きますよ、というわけだ。

寝相が悪い人がいたら憂鬱な横幅だが、そうでないならばほぼ問題無いレベル。ありがたい。これは快適に就寝できそうだ。

1 2 3 4 5 6 7 8 9

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください