ライトかつエレガントな縦走【金時山】

11:49
金時山山頂をめがけて歩いていく。

ダブルストックを使っているので、ぐいぐいと前に出られる。まさにこういう平坦な道こそ、ストックの効果が発揮される。

昔、まだこの「へべれけ紀行」の連載を開始する前・・・だから、1990年代。ストックを1本買ったことがある。なんとなく、で、使い方とかよく考えずにだ。

そのストックを意気揚々と谷川岳登山に投入したのだけど、帰り道として採用した中ゴー尾根ルートが非常に険しく、ストックを使う場面が殆どなかった。で、ザックにくくりつけて下山したのだけれど、あとになってふと背中を見ると、ストックが見当たらなかった。どこかの木の枝とか岩の隙間に引っ掛けて、するっと抜けてしまったらしい。

アルパインストックは2種類あって、お年寄りの杖に似たT字型のグリップと、スキーのストックと同じI字型グリップがある。これはそれぞれ目的が違うもので、T字型グリップは体重を預けるために使う。一方I字型というのは、体重を預けるのではなく、体幹のバランスを取ったり、地面を後ろに蹴り出して体を前に押し出し、スピードアップを図るためにある。「守りの姿勢のT字型、攻めの姿勢のI字型」と僕は理解している。

で、I字型グリップの場合、断然ダブルストックが便利だ。山の上り下りの際に、体が左右にグラグラしなくなるからだ。何だその程度か、と思うかも知れないが、姿勢保持や重心維持のために絶え間なく、細かくインナーマッスルを酷使しているものが軽減されるとなると、ものすごく楽だ。そして「四本足」になるようなものなので、安定感が抜群だ。安心してペースアップを図れる。

山に詳しい人に言わせると、「ダブルストックは便利だ。でも、その便利に頼ってしまうと、筋肉が衰えてしまう。いざというときに困るので、老いて衰えてもいないのに安易にダブルストックは使わないほうがいい」とのことだ。なるほど最もだと思う。ストックはかなりのドーピングだからだ。

でも、僕はドーピングをしてでも、山に登る習慣を生活に組み込みたい。楽して登れる、ということで重い腰が少しでも軽くなれば、それに越したことはない。

仙石原、芦ノ湖をバックに自撮り。

三脚を自撮り棒がわりにして、撮影。

自撮り棒というのは今や当たり前のツールになったけれど、ひょっとしたら元祖に近いことをやっているのがアワレみ隊かもしれない。

初出は、2004年9月14日。「日本三台巡りの旅」の初日、浅草浅草寺の参道での写真だ。

ただ、三脚にデジカメをつけて自撮りをするのはなかなか難しい。スマホと違って、インカメラという概念がないからだ。今でこそ、バリアングル液晶モニタがついていて、カメラ前面方面に液晶を向けることができる機種があるけれど、当時は何度もトライ&エラーを繰り返していた。

おかげで今や、一発で狙ったアングルの撮影ができるようになった。無駄な職人技だ。

11:54
確かに、先程の警告看板の言っている通り、登山道の両側はキレている。とはいえ、馬の背と呼ぶほどの狭い稜線ではない。

おそらく金時山は、登山慣れしていない人や子供も登る山だから、敢えて警告をしたということなのだろう。

正面に金時山山頂が見えてきた。あれっ、このまま山頂にたどり着くのだろうか。ちょっと登山道がエレガントすぎるぞ。もっとハアハアさせられる山だと思っていたのだけれど。

12:05
「猪鼻嶽」という名前を実現させるためにも、山のてっぺんはにょきっとそそり立ち、そしててっぺんが平らになっていないといけない。

実際、最後の登りはちょっとだけあったけど、そこまでキッツイものではなかった。山頂周辺は岩場が少々ある程度。

12:07
山頂に着いちゃった。

100分程度、かな?案外あっけなかった。途中、富士山がキレイに見えるやら、仙石原や芦ノ湖がくっきり見えるやらで、飽きがこないエクセレントなルートだった。「まだか、山頂はまだなのか」的な修行は一切なく、デブった僕でさえも楽しく登ることができた。これはほんとうに素晴らしい。

山頂には、金太郎伝説をふまえ、「まさかり」が置いてある。記念撮影にこれを持ってどうぞ!ということらしい。僕も、まさかりを抱きかかえて撮影だ。さすがに金太郎みたいに「まさかりをかつぐ」ということはできなかった(案外重い)。

先ほど、やたら大きな白いオベリスク型山頂標識があったけど、こちらにはまさかり型の山頂標識がある。

山頂に複数の山頂標識があるのは珍しいことではなく、どこかの山岳会が国や自治体とは別で建てていることがあるし、自治体が複数建てていることがある。

なんで自治体が複数建てるのか?老朽化による建て直しか?というと・・・

さっきのオベリスクを見てほしい。「静岡県小山町」と書いてある。で、こっちのまさかりは、「(神奈川県)箱根町」と書いてある。

まあ、端的に言うとだ、山頂の奪いあい、ってことだ。

こちらには小山町による、金時山の解説板。

その左奥に、うっすら白い看板で別の金時山解説があるので、おそらくそっちは小山町ではない自治体によるものなのだろう。

山の山頂は複数の自治体の境界になることが多く、有名な山の場合は「奪い合い」というと大げさだけど「自分のところの山感」を出したい自治体が多いものだ。それがまさにこれ。

金時山は、小山町、箱根町、さらには南足柄市の境になる。

山頂周辺の眺め。

白いオベリスクが建っているところは、山頂そのものではなく少し下がったところにある。

なんでこんなところに山頂標識的なものが建っているのかというと、ちょうど正面に富士山が見えるからだ。記念撮影スポット、というわけだ。

で、肝心の富士山だけど、あいにくご機嫌が悪くなってきたらしく、雲に隠れてしまった。

これだから山の写真というのは難しい。昼になってくると、気温の上昇とともに山が霞んでくる。

「後でもっといい場所があるから、そこで撮ろう」なんて思っていたらだめ。たとえ木々で視界が邪魔されていようとも、写真を撮れるときに撮るという癖をつけておいたほうがいい。そのあと、いい写真が撮れたならいまいちなものは削除すればよいのだし。

12:13
山頂から、仙石原を眺めたところ。

ゴルフ場が目立つ。地図で見ると、名門コースと呼ばれているゴルフ場が2か所、あるらしい。

こんな山奥に・・・?とゴルフを嗜まない僕なんかは驚くのだが、この界隈に前泊して、温泉を満喫して、翌朝スッキリとしながらゴルフという流れなのかもしれない。くっそう、金持ちはやってることがエグい。

そもそも、前泊もなにも、このあたりに別荘(または、会員制リゾードホテルの一室)がありますがなにか?という人だっているだろうし。

(つづく)

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