今年もまた天災【北海道ハタケ遠足201809】

17:30
千歳から札幌を経由して、月形にやってきた。もう日没寸前。

北海道樺戸郡月形町。札幌市も流れている石狩川を遡上していった中流に位置する。

北海道の地名というのは、僕をはじめとして多くの人が殆どわかっていない。あまりにも広大な大地なので、自治体の数も地名も多くて、かつアイヌ由来の耳慣れない地名があったりして、覚えきれないからだ。

北海道の悩ましいところは、狭い島国に生まれ育った身体感覚として、デカすぎる土地だということだ。「北海道に旅行に行きます」と人は簡単に口にするけれど、それってせいぜい「新千歳空港、札幌、小樽、富良野、函館」・・・といった局地的な場所に限られる。

バイクや自転車乗りなら、一週間以上かけてツーリングをやるかもしれないけど、多くの人にとっては途中の土地は「風光明媚な通過点」になってしまう。そもそも、素通りさえもしない場所が圧倒的にお多い。

月形がまさにそれ。僕、まったくその存在を知らなかった。知っても、ピンとこなかった。なにせ、旭川さえ訪れたことがないのだから。「札幌と旭川の間にあるんだよ」と教えられたとしても、そのあたりがどんな感じの土地や人口密度なのか、まったくイメージができない。

札幌からだと、だいたい車で1時間。札幌起点で考えれば、さほど遠くはない場所だ。北海道というのはデカすぎて、うっかり地図を見て油断すると想定と違って距離が遠い、ということがよくある。しかし、そういう「うっかりしないように」という前提のもとで移動すると、「あれ?1時間で着いた。案外近いな」ということもある。何事も、物事を測る物差しのサイズ次第だ。

鉄道は「札沼(さっしょう)線」という路線があり、町の中心に「石狩月形駅」という駅がある。

今日参加せず、明日1日だけこのハタケ遠足に参加する予定の人がいる。東京から日帰りで北海道にやってくる、というだけでもとんでもない根性の持ち主だけど、ハタケが新千歳空港からほど近いところにあるからこその身軽さだった。しかし我々御一行様は、空港からはるか遠くの月形までやってくることになった。さあどうする日帰り組。

で、これもまた驚きなのが、日帰り組2名が、月形までやってくるのだという。公共交通機関で。

日曜朝羽田発の飛行機で新千歳空港までやってきて、そこからJR千歳線で札幌駅、そしてJR札沼線に乗り換えて石狩月形・・・いや、それが無理だった。地震の影響がここまで届いていて、札沼線は手前の北海道医療大学駅止まりだった。

つまり明日は、月形からその2名を北海道医療大学駅まで車で迎えにいくことになる。片道20分。で、それだけ苦労してお昼頃に到着した2名は、その日のうちに新千歳空港に戻って東京に戻るんだから、ますますすごい。現地滞在時間、わずか数時間。

さすがに最初っから月形町に行き先が設定されていたら、日帰りの2人はこんな強行軍はやらなかったとおもう。しかし、遠足直前になっての地震で、それに伴っての行き先変更なので「北海道に行くと決めたからには、どこにでも行きます。」ということになったのだろう。

17:31
赤い、将棋の駒のような形をした屋根の建物。こちらの方にまずはご挨拶をする。今回お招きくださった方だそうだ。

中では「藤川志朗イラスト展」なるものが開催中だった。

「藤川志朗イラスト展」。水彩画で、淡い色使いで四季折々の野菜の絵を描いている。

やさしい見栄えで、嫌味のないアートだと思った。1枚10,000円だという。

ちょうどこの頃の僕はアートのオークションに参加したりして美術品を買っていた。そんな文脈とはちょっとちがうけれど、この絵が欲しくなった。

一晩悩んで、「野菜のタネ」というタイトルの絵を買った。まさか北海道で絵を買うことになるとは思わなかった。この絵は気にいっていて、まずは台所の冷蔵庫脇に飾り、現在は場所を移してリビングのテレビ脇に飾られている。つまり、かなり目に留まる場所に置いている、ということだ。

温室が並んでいる。あの中ではトマトが栽培されているらしい。

明日はトマト摘み体験をするとのこと。何か、ハタケのお手伝いのはずが、観光させてもらう会になっていてなんだか恐縮だ。

花があれこれ並んでいて、一株いくらで売られていた。

そうか、そりゃそうだよな。

さっきまで、札幌からここまでの道中は延々と続く田んぼだった。田園風景が自然だとは言えないけれど、なんとなく「自然豊か」という印象を持っていた。しかし人がそこに住む限り、ガーデニングという概念は存在する。田舎だろうが都会だろうが、花は売られ、そして買われていく。

そんな当たり前なことに今更気がつき、自分の鈍感さに驚く。

「花を売っている」というのはホームセンターで、都会的に・極めて商売的に行われているものだという先入観があったからだ。でも別にそんなルールはない。

いろいろなものが売られている。

水仙の球根が売られていた。1個100円~200円。

いや、別にこんな写真を撮っても何も珍しいことなんかないんだけれど、つい。北の大地の、静かな集落にやってきてまさか水仙とは思わなかったので。心の準備ができていなかったのでまずは写真を撮って平静を取り戻す。

赤い屋根の建物は「コテージカフェ たね」というお店になっていた。

17:48
日が沈んできたので、今日はひとまず何もやることはなく、夕ご飯の準備。

地元の方がジンギスカンを用意してくださっているということなので、ジンギスカンをいただくことになった。

なんでも、月形はジンギスカンが名物の一つなのだという。へえ、東京もんからしたら「北海道といえばジンギスカン」というものすごくザックリとしたイメージを持っているけれど、北海道の内部では地域ごとにジンギスカンが名物とか特産とか、あるのか。

「月形ジンギスカン」という名前だという。

そもそも僕は人生のうち、何度北海道産のラム肉を食べたことがあるだろうか?2度は自覚があるけれど、あとは記憶にない。というか、多分それ以外は海外産だとおもう。それくらい、北海道産ラム肉はお高い。

それにしても豪快だな、洗面器のような容器にドスンドスンと味付けラム肉が3袋入っている。こういうスケール感は非日常的でテンションが上がる。

畑からもぎたての枝豆を茹でて、今日摘んできたトマトを添えて、夕食開始。

さすが摘んだばかりのトマトは色艶がすばらしい。

見よこのテカりを。

月形町としては、トマトも

獲れたてトマトを潰したトマトジュース。

トマトジュースなんて、僕はビジネスホテルの朝食ビュッフェくらいしか飲む機会がない。その味と比べると、青っぽい味や酸味、甘みが混じって複雑な味になっている。でも、いかにもトマトジュースでござい、というガツンとした味の市販品と比べるとやや薄く感じてしまう。

とはいえ、トマト農場の見学、農家の方からの解説、そして収穫体験とジュース作りまでセットにして観光客に提供すると、すごく味わい深い特上の品になりそうだ。

これはなんだったか忘れた。試作品、とかいう話だったような気がするけれど。ヨーグルトとなにかを混ぜていたような。

月形の現在と今後について話を聞く。人口流出が続いていて自治体としては大変なのだという。そういう中でどうやってこの地を盛り上げていくか、ということをあれこれやりとりした。

あとになってわかったことだが、2020年国勢調査では、2015年と比べて人口減少が大きい自治体の上位として月形町がランクインしていた。5年の間で、19.3%の人口減という強烈な数字となっていた。つまり、わずか5年で住人の5人に1人がお亡くなりになったか、転出したということだ。これは北海道内でもっとも厳しい数字となった。

地震によって北海道医療大学から先が不通となってしまった札沼線だけど、結局2020年4月に廃線となった。ちょうど2018年頃、JR北海道と沿線自治体とが協議を行っていた最中だったそうだ。代替手段としてバス路線が用意されたが、バスといってもハイエースによる運行となっている。それくらい、利用者数が少ないということだ。

(つづく)

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