屯田兵になった【北海道ハタケ仕事2】

「カフエ マメヒコ」が北海道・千歳市に構える有機栽培畑のお手伝いシリーズ第二回。

第一回目は5月に行われ、種まきや手竹のセッティングなどが行われた。このハタケ遠足はこの年にあと2回行われ、7月に雑草除去、9月に収穫が予定されていた。もちろん僕はこの3回とも全部参加する気満々だったわけで、5月の第一回が終わったらすぐに第二回に向けての準備を開始した。

広告

とにかく第一回目は、「放任主義」のマメヒコに困惑し、焦った回だった。マメヒコ常連の人なら、「これこそがマメヒコと客の距離感だ」ということなのだろうが、僕のような縁が薄い人からしたらそのお作法がわからず、大いに困った。しかし、人間は学習する生き物だ。第一回目でマメヒコのお作法がなんとなくわかったので、第二回目はそれを踏まえてこちらも企画準備するまでのことだ。

早速掲示板を作って、そこで参加予定者の情報共有と企画案検討の場とした。Facebookグループで運用してはどうか、という提案もあり、実際にグループを作ってくれた人もいた。Facebookだとなりすましができないし、外部の人が入り込む余地がないから安心して会話ができる。「もー、マメヒコいい加減にして欲しいよね」的な愚痴だって書くことができる。しかし、やはり2015年の現在においても、Facebook利用率は100%に達していない。「私、Facebookやってないから」とか、「Facebookはアカウント持っているけど殆ど見てない」という人が複数いると、情報共有としてはやりづらくなってしまう。結局、昔ながらの「web上の無料掲示板サービス」でやりとりをすることに落ち着いた。

「今時、Teacupってまだあるんだねえ」

参加者の一人が驚き半分、皮肉半分でコメントしていた。2000年代前半だろうか?Teacupという掲示板が結構よく使われたものだ。だから既に10年以上の歴史を持つレガシーな掲示板だ。僕自身、もう少し気の利いた今風な掲示板ってないのか?と思ったが、なんやかやでTeacupが一番使いやすそうだったのでこれを採用した。今時、webで掲示板を開設するなんてのは流行らないので、新規参入がないのだろう。

メーリングリストを作るということも考えたが、いろいろな情報が錯綜して、上書きされていくことを考えると使いづらいと思って採用しなかった。

みんなで仲良く同じ飛行機に乗って、遠足気分を!というとりまとめはさすがにしなかった。参加しているみなさんはいい大人だ、いろいろ予定や事情があるので、そこまで徹底して僕が旅行代理店的にとりまとめをするのはやめておいた。ただし、参加者は何人で、何時の便で新千歳入りし、ホテルはどこで、翌日は何時の便で東京に戻るのか・・・という情報は事細かに聞き出し、リスト化しておいた。気になるのは、レンタカーの手配があったからだ。何人がレンタカーに分乗するのか、レンタカーはどの規模のものが何台必要なのか、というのを把握する必要があったからだ。

僕がとりまとめをする必要は全くない筈なんだが、どうしても「数少ない車が運転できる人」ということで代表してレンタカーを手配しなくちゃいけない。手配するとなると人数把握は必須となるので、気がついたら幹事役になっていたというわけだ。

前回、11:40に新千歳空港に到着して、車を借りたらすぐにハタケ行きとなった。空港→レンタカー→ハタケ、ということで「折角北海道まで来たのに、観光気分もへったくれもない」状態だった。もちろん、マメヒコ側からすれば、「観光気分じゃないだろ、ハタケの手伝いに来てもらっているんだから」ってことなんだろうけど。

なので、今回は早めに新千歳に到着しておいて、昼の集合時間までの間「オプショナルツアー」として近場をドライブすることにした。賛同してくれる人もいたし、支笏湖まで行って帰ってくる企画を立てておいた。

ここまで計画しておけば、当日ドタバタしなくて済むだろう・・・ひととおり計画がまとまり、ちょっとほっとした。あとは臨時に不参加とか参加とか、そういうのがあったときの対応を気にするだけだ。

と、思ったら、前日になって井川さんから直接僕のところにメールがやってきた。

「当日は昼から雨が降るという予報なので、空港に到着次第ハタケに直行してください。前倒ししてやります」

うひょう。このメールを見て、思わず漫画のように口笛を吹いてしまった。予定がひっくり返っちゃったよ。事前にマメヒコ側にはこちらの情報を全部渡してあった。誰が何時に到着して、といった情報や、支笏湖にドライブに行こうかと思っているという話まで。放任主義のマメヒコだけど、情に厚いというかサービス精神旺盛なので、事前告知はしなくても当日現地で気を遣ってくれることがありえた。だから、「気を遣ってくれるならくれるで、僕らはこういう計画の上で行動してますんで」と腹の内を全部さらけ出しておいた方がいいだろうと思ったからだ。

というわけで、「ああ、ハタケ遠足参加者の多くは朝から新千歳に来るんだな」ということは井川さんには伝わっており、だからこそ「朝からハタケへGO」という指令が飛んだというわけだ。

「なんて横暴な!僕らは観光をするんだ!」とは言わない。何もなかったときのための「オプション」として計画されたツアーだ。ハタケが優先されることは全員認識していたので、朝からハタケ、という話になればそれに従うまでだ。やあ、それにしても今回もみっちり農作業ができそうだ。

2014年07月26日(土) 1日目

成田空港

朝6時半。成田空港に僕はいた。4時すぎに起き、始発電車で移動している。

今回の僕なりのテーマは、「安く北海道に行ってみよう」ということにした。往復ともに成田発着のLCCを使い、宿はカプセルホテル、という企画だ。さすがに隔月で北海道を往復していたら、アホみたいにお金がかかる。節約できるところは節約したい。

びっくりしたのが、7月の北海道旅行というのは5月と比べて値段がかなり上がっているということだ。さすが北海道、夏ともなれば観光客が押し寄せるので、観光業関連は軒並み高い値付けになっているのだった。宿と飛行機がセットになっているツアーを調べたら、あまりの高さに悲鳴を上げた。ANAやJALを使って、宿はちゃんとしたホテル、なんてツアーを選ぶのはちょっと無理だった。

そもそも、宿なんて単に寝るだけだ。日が暮れるまでハタケで仕事して、メシ喰って宿に着いて寝るだけ。シンプルかつ安い宿で十分だった。だから、すすきのにあるカプセルホテルを選んだ。カプセルホテル、といっても本当のカプセルではなく、カーテンで廊下と仕切られた部屋に椅子とテーブル、クローゼットがあり、そこにカプセルのベッドが用意されているという「半個室」形態の宿だ。これなら、パソコン作業をやったりしながらくつろぎつつ、カプセルホテルの安さで泊まることができる。カプセルホテルには泊まったことがないので、ちょっと楽しみだ。

そんなわけで、飛行機もキャリアのものは使わず、LCCを使ってみることにした。そもそも、LCCなんてのはほんの僅かしか国内を飛んでいないものだと思ったが成田と新千歳間ではジェットスター、バニラエアの2社が就航していた。しかも1日一便、ド早朝とかド深夜だけ、みたいな不便きわまりない時間帯だけでなく、普通の時間帯にも飛んでいたりする。もちろん普通の時間だと値段は上がるのだが、不便な時間をあえて選べばぐっと安くなる。

今回は、往路はジェットスター、復路はバニラエアを選んでみた。どちらが快適かを比較して、次回第三回目の旅行のときは快適だった方を使おう、と思ったからだ。

便はもちろん早朝便となる。「そんなに早く北海道に着いてどうするの」と第一回目の時点では思っただろうが、早く着けば午前中観光ができる、というメリットがある。交通費をケチるためにLCCを使う、というのと利害関係が一致し、良い事尽くめだった。朝、早起きをしなければいけない、ということを除けば。

往路のジェットスターは12,290円、復路のバニラエアは8,500円だった。いずれも、信じられない金額だ。どうやって儲けているのか、よくわからない。さすがLCCだと呆れる。同じ日のANAやJALだと、この倍以上の値段になってしまう。

ただ、LCCは臨機応変にプライスが変動する。競りにかけているようなもので、人気がある便は値段がぐぐぐっと上がり、人気がない便は値段が低いままだ。なので、日程が決まったらとっとと予約を入れてしまうのが、安くチケットを入手するコツなんだろう。まだ空席があるから、とチンタラと予約を先送りにしていたら、どんどん値上がりしていってしまう。

ジェットスターはオーストラリアのカンタス航空が親会社ということもあって、ユーザーインターフェースが日本風ではない。ちょっと日本人のセンスとあわないところがあり、わかりにくいと感じることがいくつもあった。あと、LCCは大きな手荷物は有料だし、座席指定は有料だ。機内食や飲み物だって、当然有料だ。予約時に、すぐこれらの有料サービスに誘導しようとするので、ややこしかった。LCCとしては、付加価値サービスを多く利用してもらうことで利益を増やしたいのだろうが、余計な料金はそぎ落としたい僕としては困惑させられた。その点、まだバニラエアの方が使い勝手はよかった。

こういう使いにくさを許容する、というのも含めての格安航空なので、文句を言ってはいけない。「使いにくいだろ!どうにかしろ!」と声を荒らげるのは、趣旨を解っていない。

成田空港の片隅にひっそりと国内線カウンターがある

成田空港はLCC(国内線・国際線)専用ターミナルとして2015年4月に新たに第三ターミナルを作った。だが、この遠足が行われた2014年7月は、まだ第三ターミナルができておらず、国内線各社は第二ターミナルの国際線到着ロビーの片隅に居を構えていた。到着ロビーなのに出発ロビーがあるというやっつけ感がいかにも国際空港を前提として作られた成田空港らしい。

2014年の時点では、LCCとそうでないキャリアは混ざっている。この第二ターミナルからはLCCのバニラエア、ジェットスターの他に、JAL、スカイマークが就航していた。このほか、第一ターミナルからはIBEXが就航している。国内線だけでもターミナルがバラけているのがややこしい。

2015年になって第三ターミナルができてからも、ややこしさは解消されていない。新たに就航した国内LCC、ピーチ・アビエーションは第一ターミナルから出発だ。どうにかならんのか、これ。「LCCは第三ターミナル」と思い込んで、第三ターミナルに行ったらピーチのカウンターがなくて途方に暮れる、という人は多数いると思う。で、第三から第一に移動するにはかなりの時間がかかるので、結果的に乗り遅れ・・・というのは想像に難くない展開。これまで何人が犠牲になったことやら。

あ、文句いいっこなしなのがLCCだったっけ。すまんすまん。

道に迷わないように気をつけて

大きな荷物を抱えている人達の多くは、階上の出発ロビーへと向かっていく。その中で、僕は到着ロビーのフロアを移動していく。

Jetstarのカウンター

案内に従って進んでいくと、ジェットスターのチェックインカウンターが見えてきた。人生初めて見る、LCCのカウンターだ。おお、これまで空港で見てきたラグジュアリーな空間とは全く違う、殺風景な感じだ。

天井は化粧板がなく、配線や配管が向きだしになっている。照明も普通の蛍光灯。極力金をかけないで作りました、という感じだ。むしろ、わざとらしさを感じるくらいだ。

ホワイトボード

案内はホワイトボードに手書き、というのがイカす。

飛行機というのはプライドと見栄の塊みたいな世界だった筈だが、すっかりここでは「日常の一コマ」に落ち着いている。手書きのホワイトボードの先に、何百トンもの重さの金属の塊が宙に浮くという非日常が待ち構えているとは到底思えない。

文字のところどころがかすれている。書いてから時間が経てば、当然かすれてくるだろう。定番の文字列については、印刷してマグネットで貼り付けるとかすればいいのに、それすらもしない。そういうところの美意識というか拘りを持つことが、無駄なんだろう。「消えたら書き直せばいいじゃないか」という発想は、なかなか日本人では持ちづらい。

ホワイトボード一枚であれこれ案内が書かれているが、裏を返せば「これで理解してくれ。あとは知らん」ということでもある。余計な手間をかけさせるんじゃねーぞ、というわけだ。なにせ最小限の人員でやっているから。

余計な手間、といえば、ジェットスターの場合はチェックインは出発時刻の30分前が締め切りで、搭乗口には25分前に到着していないといけない。それよりも遅いと、無情にも受け付けてもらえないことがある。少ない機体をフル稼働させるため、定時運行はLCCの肝となる。朝の便で遅延が起きたら、その後一日中遅延が続いてしまうし、最悪「23時が門限」である成田空港に到着できる見通しが立たず、旅行先で無念の一泊ということになる場合もある。「遅れたヤツが悪い」という、至って当然なことがLCCでは徹底されている。

「少しくらい待ってくれてもいいじゃないか。25分前に搭乗口って早すぎるだろ!」とごねる人がいたとしたら、LCCはそうなんです、ご納得頂けないなら大手航空会社をご利用ください、としかいいようがない。

羽田空港をはじめとする国内線の空港は、「15分前までに保安検査場を通過すること」をリミットとして設定している。それと比べると、「25分前に搭乗口」というのがいかに入念な時間設定かがわかる。

※「成田空港は門限23時」だったが、2014年4月から「遅延などによるやむを得ない理由がある場合」は24時まで延長して着陸できるようになった。ただし、通常の着陸料の二倍を払うことになるので、できるだけ避けたい選択肢だ。そもそも、乗客だって、24時近くに成田空港に到着してもマイカーでもない限り自宅にたどり着けない。

手順が描かれている

出発までの簡単3ステップ!と書いてある。さすがにこれは手書きではない。全国どこの空港でも一緒だからだろう。

「簡単3ステップ」とはいうものの、飛行機の世界というのはわかりにくいものだ。「チェックイン」って一体何だ?というのがそもそも理解不能だし、「チェックインがあってチェックアウトがないのは何でだ?」とか、困惑することが多い。慣れれば大したことないのだが、僕でさえ未だにわからなくなることがあるくらいだ。だから、「おっ、最近はLCCとかいうのが安いんだね。じゃあ、飛行機なんて乗ったことないけど、たまには飛行機で遠出してみようか!」なんて思い立っても、ちょっとハードルが高いと思う。ネット予約をする段階でへこたれるだろうし、当日空港に着いても迷うだろうし。ご高齢の方なら特に困ると思う。

成田から新千歳まで1万円前後で行けるようになったのは偉大なことだけど、やはりまずは飛行機での旅に慣れた人向けのサービスなんだと思う。