屯田兵になった【北海道ハタケ仕事2】

カボチャ畑に向かう

とうきび畑、終了!となったところで、次に一同が向かったのはかぼちゃ畑だった。

かぼちゃ畑は畑の隅にあり、真っ先に野生動物に狙われる場所だ。ちゃんとネットを張らなくては・・・。いや、さすがにそういうことはない。硬いかぼちゃを喜んでかじる動物はいないらしい。

カボチャの茎は太くて長い

そのかわり、われわれが直面したのは、わがまま盛りで縦横無尽に張り巡らされたかぼちゃの茎だった。茎は地面に沿って生え、ところどころに根っこを張り地面に食い込んでいる。かなり長い。

カボチャの茎

この茎があちこちで分岐し、隣の株と立体交差し、首都高速も顔負けの複雑に入り組んでいるのだった。短時間でよくぞ茂ったものよ、と自然の偉大さに感嘆するが、農としてはこれは駄目な状態らしい。果物がそうであるように、かぼちゃにおいても「間引く」ということが必要なのだという。一株につき1つの茎だけにし、そこに栄養分とかぼちゃのやる気を集中させ、大きなかぼちゃをこしらえる。いくつも枝分かれして、たくさんのかぼちゃが実をつけたら、それだけ未成熟なものが多くできてしまい商品価値が落ちる。

「メインの茎だけ残して。後の茎は切り取って」

と指示があったが、さてどれがメインの茎なのかがわからない。どうやらメインの茎は早くに成長しているので、緑色が濃いということはわかったが、それは新しい茎と比較した結果論だ。ぱっと見て「これ、メインだ!」とはわからない。結局、茎の一番根元までたどり着かないと判断がつかないのだった。おかげで全員、はいつくばって茎をずっと追いかけていくことになった。これはこれで結構大変だ。

茎を折ったところ

かぼちゃの茎。

折ると、真ん中は空洞になっていることがわかる。さすがにこれだけ太い茎を短時間でぐいぐい伸ばすのは無理だ。マカロニみたいに中が空洞だからこそ、外側だけぐいうぎと成長することができたのだろう。

太さの割にはもろい作りなので、手で折ることは容易。セロリのように、つぶすとじわっと水が出た。

株の根元にたどり着こうとすると、うっかりこの茎を踏みつけてしまうことがあった。ぐちゃっとつぶれてしまったらたぶん再生しないんだろうな、と思うと心が痛んだ。足元は注意を払っていたものの、どうしても茎が密集するエリアに足を踏み入れないと作業ができない。極力爪先立ちになりながらの作業となった。

カボチャ畑

一株につき茎を一本だけ残すといっても、切り捨てることになる茎もかなり立派だ。切り取るのにはかなり勇気が必要だった。なにしろ、何メートルもしっかりと成長したものをばっさり切り取るのだ。本当にこんなことをやってしまってよいのか、という戸惑いと躊躇が参加者全員があった。

中には、すでに実をつけつつある茎もあって、ますます不安になってきた。しかしそういう株は、メイン茎にもすでに実がついているので、そっちを肥え太らせるためにはしかたがないことだ。

しかし、一同があまりに「メインの茎だけ残す」と呪文のように唱えながらばっさばっさと茎を切り取るので、井川さんと井川さんの奥さんが協議をはじめだした。

「このあと、ちゃんと収穫する前に駄目になるかもわからないのだし、予備となる実や茎も残したほうがよいのではないか」
「いやでも、ちゃんと間引きしないとどれも大きくならないで未熟なままになってしまう」

というやりとりが聞こえる。井川さんとて、農業を何十年もやっているプロではない。迷いもあるということだ。結局、「すでに実が大きくなっている茎は残す」という折衷案で落ち着いた。「ちょっとやりすぎじゃないか」とびびってしまうくらい、大胆に間引きをしまくっていたからだ。

せん定中

茎は複雑に入り組んでいるので、どれがメイン茎でどれがサブ茎なのかを見極めるのが大変だ。ずっと追いかけていっても、途中でわけがわからなくなる。そこで、メイン茎と見極めたものがあったら、それをまずはずりずりと引っ張り出して隣の畑との隙間にまっすぐ伸ばす、ということをみんなやり始めた。メインの茎がまっすぐ伸びて目印になれば、あとの切り落とすべきサブ茎がわかりやすいからだ。

しかし、前述のとおり茎は途中途中で根を伸ばし、地面に固定されている。綱引きみたいに引っ張ったら、根は地面から引き抜かれてしまう。かなり乱暴なやり方だ。別に、雑に扱っているつもりはないのだけど、気がついたらこんなやり方になってしまっていた。

このやり方をすることでずいぶんと効率よく、確実にサブ茎を除去することができるようになった。しかし、引きずり出されて整列されたメイン茎は、根っこの支えがなくなったためにでろーんと横倒しになってしまった。引っ張られる前は、太陽の力を受けて葉っぱが天に向かっていたけど、いまやその面影がない。

これを見た井川さんの奥さん、すっかり顔を曇らせてしまい、茎を引っ張り出さないようにと通達を出した。このまま茎が枯れてしまっては、まったく意味がないからだ。そりゃそうだ。

せっかく「間引きのコツをつかんだ!」とばかりに調子が上向いていた一同、残念ではあったけど通達どおりに間引きのやり方を変えた。あらためて、入り乱れた茎の中に顔を突っ込んで、根っこを探し当て、メインとサブの仕分けをするひと時。

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