屯田兵になった【北海道ハタケ仕事2】

菊地珈琲

札幌駅で全員集合したのち、車に分乗して「菊地珈琲」を目指す。

以前の記事にも書いたが、カフエマメヒコの珈琲豆の仕入れと焙煎を一手に引き受けているお店だ。何店舗かお店がある中訪れたのは、今回も前回同様「ブルーマウンテン館」。単に珈琲を飲みに訪れたわけではない。併設されている焙煎工房を見学させてもらうために訪れたからだ。

地下鉄東西線の終着駅、宮の沢駅からだと徒歩20分はかかる場所にある。車でないととても不便だ。でも、そういう場所だからこそ、心置きなくガッツリと焙煎ができるということなんだろう。それを考えると、街中の自家焙煎珈琲店って周囲にすごく気を遣っていると思う。「臭い、洗濯物ににおいが付く」というクレームはきっと多いはずだ。

でも、とんこつラーメンのお店などよりは臭いの害は少ないとは思うが、どうなんだろう。

菊地珈琲店内

店内に入ると、いろいろな珈琲豆がショーケースに入ってお出迎え。まるでケーキ屋のようだ。今回も何かお土産に買って帰ろうと思う。北海道土産が珈琲豆、というのはちょっと面白い。熱帯の国で収穫された豆が、札幌経由で自宅で消費されるという。

菊地珈琲焙煎室

今回は社長の息子さんが案内をしてくれた。お店の奥にある焙煎室に入れさせてもらう。焙煎室はガラス張りになっており、客席からちょっとだけその様子を見ることができる。さすがにオープンキッチン状態にしてしまうと、臭いや衛生面の問題というより騒音が問題になるのだろう。

焙煎機

今回も一度に30kgの豆に焙煎することができるロースターがお出迎え。とにかくでかい。これでポップコーンを作ったらどうなんだろう、と一瞬頭によぎるが、たぶん強力な火力なのであっという間に真っ黒こげになり、炭になってしまうだろう。弾けるどころじゃない。

ハンドピック中

専務取締役である社長の息子さんがじきじきにこれから焙煎をするという。前回ここを訪れた時は見られなかったので、この配慮はとても嬉しかった。

街中の珈琲店でオーダーメイド焙煎をやっているのは何度も見たことがある。しかしそれは、せいぜい数百グラムの豆を焙煎する程度のものだ。小さな機械で、少量だ。しかし、さすがにここで焙煎するともなれば、やっていることのスケールが違う。なんだか、生コンクリートをこねているような、そんな印象を受けた。

豆をかくはん中

まず、冷却箱と呼ばれているドラム缶のような円形のところに生豆を流し込み、ぐるぐると攪拌させながらハンドピッキングを始めた。珈琲豆は痛んだ豆やゴミが混じっていることが多いので、最終的には目視による手作業での除去をしなければならない。

ハンドピッキング自体は知っていたのだけど、てっきり大きな机の上に豆をばさーっとばら撒いて、そこでちまちまと作業するものだと思っていた。さすがにそんなことはなく、冷却箱で豆を攪拌していたら不良豆は比較的楽に発見できた。豆一粒一粒吟味していたら、商売として成り立つ量の豆を仕分けるとなると気が狂う。

ハンドピックで見つかったゴミ

ハンドピックで除去されたゴミの例、ということで保管してあったものを見せてもらった。

もちろん生産国で麻袋に豆がつめられる前に検査はされているのだけど、それでもすり抜けてゴミが混ざってくるようだ。収穫後天日干しをして熟成させるというプロセスを経る場合がある珈琲豆なので、小さなゴミや虫、石くらいなら混じっても仕方がないとは思う。しかし・・・なんだこれは。「偶然混ざった」とは思えないゴミが結構ある。大きめの石は百歩譲ってよいとしても、なぜナットとかワッシャーが混じっているのか。珈琲を栽培している国の品質管理というのは、その程度ということなんだろう。

生産国から日本に運ばれた時点でこういうゴミが混じっていても、「そういうもんだし、しょうがないなあ」とお店は考え、除去して終わりだ。しかし、お店が焙煎をし、お客さんに提供する時点でこんなのが混じっていたら信頼がどん底に落ちる。お店としては、最後の防波堤として念入りにハンドピックをしなくちゃいけない。

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