屯田兵になった【北海道ハタケ仕事2】

食堂

自室でおとなしく写真の整理でもしてりゃいいのだけど、やっぱりそわそわする。お散歩を心待ちにする犬のようなものだ。また部屋から出て、館内を散策しはじめた。

ラウンジで漫画を、とも思ったが、リクライニングチェアはいっぱいだった。入浴だけのプランで入場し、このリクライニングチェアで一晩過ごす人もいるらしい。すでに漫画を読むのを放棄し、寝入っている人もいた。

食堂に行ってみる。今回の一泊プランでは朝食がセットになっているので、明日朝はここでご飯を食べることになる。

宿泊予約をしたサイトには、こんなことが書いてあった。

ご宿泊頂いた皆様に、ささやかな振る舞いをさせていただいております。
軽朝食を超える軽超食!!ぜひお召し上がり下さいませ!

「朝食」ならぬ「超食」とな。それは一体どんなものなのか。しかも「軽」という文字が添えられている。ガッツリ系ではないけど、「超」と胸を張る食事。ちょっと想像がつかない。鯛のお刺身が用意されていて、鯛茶漬けをセルフでお召し上がりいただけます、みたいな感じだったらすごいけど・・・さすがにそれはないだろう。

朝食付きプランではない人や外来の人は、この朝食を380円で提供するようだ。値段から考えたら、そんなに凝ったものは出せない。トーストにゆで卵、ハムにチーズにレタスくらいか?でもそれだと「超」とは言いづらい。

夏季限定メニュー

店頭にあるメニューから、超食とは何か?を紐解いてみようとする。どうせ暇だし。
すると、「夏を乗り切れ!季節限定メニュー」という張り紙に目が留まった。

メニューそのものは「冷しラーメン」「冷しそば」「から揚げ定食」と普通だ。しかし、「限定メニュー ウーロン茶付き」という言葉にグググッと来た。

今日はチェックインからわずか2時間程度なのに、既に二回もお風呂に入っている。かなり喉が渇いている状態であり、「ウーロン茶」という言葉が今この瞬間の自分自身にグッと響いた。いやいやいや、ただのウーロン茶だぞ?無料のお冷だったら、隣のラウンジにも置いてあるし、ウーロン茶目当てで限定メニューなんて・・・と思う。しかし、生唾を飲み込んでしまった自分は正直だ。

そういえば、お昼ご飯兼夕ご飯を食べたのが15時だったんだよな。中途半端な時間だったし、大皿料理ゆえに遠慮と配慮しまくりの食事だったために満腹にはなっていなかった。今から、遅い夕食を食べてもいいんじゃないか?そんなささやきが、聞こえる。

馬鹿を言うな、今の時間を見ろ。そろそろ24時になろうかというタイミングだぞ。あとはもう寝るだけのこの時間に食事だなんて。自分の頭に浮かんだ欲望を振り払うように、このメニューから目を逸らせた。

男っぽさ全開のメニュー

しかしなぁ、目を逸らせた先にあるメニューがこれまた目に毒なんですわ。

ここは男性専用ホテルであり、男性専用のレストラン。なので、「女子供に遠慮はいらねぇ」とばかりに、ガツン!ドカン!と激しい効果音が鳴りそうなメニューばっかりが並んでいるのだった。

極太の毛筆風フォントで記されたメニューが眩しい。「あんかけ勝負!!」とか「炎の鉄板料理」、「漢の丼」、「ぶっちぎりカレー」といった突き抜けたインパクトが胃袋に、心に突き刺さる。

ああそうか、ボクはもうすっかりこういうガッツリ系からは背を向け、枯れた人生を歩み始めたものだとばかり思っていたよ。でもどうだ、今この瞬間感じる心のときめきよ。

冷しそば

なんだか、「数年ぶりに自分の下半身に春が訪れた!」と喜ぶED老人のような心境。うれしくなっちゃって、そのままお店に入っちゃった。深夜だから食べるのは控えよう?そんな綺麗ごと、くそ食らえだ。

というわけで、冷し蕎麦到着。うひょう、ウーロン茶付きだし、蕎麦つゆは冷え冷えだし、風呂上りアンドマッサージ終わりに最適!食べるぞー。

本日の夕食

と、思ったら、冷し蕎麦の丼の脇にもうひとつ。いやだって、あれだけ熱いメニュー見ちゃったんですよ?冷たくてするっと食べられるメニューだけでなく、ガツンとくるやつも食べたくなるじゃあないですか。

というわけで、「玉金丼」。

名前だけで選んだだろ、って言われそうだけど、実際そうなんだから「ハイそうです」と力強く答えるしかない。こういう料理名を授けるあたり、男性専用の施設ならではだ。

若い女性店員さんがいたら、注文の際に「うへへへ、ちゅ、注文しちゃうぞー」とニヤニヤしながらこの料理名を伝え、恥らう顔をめでる、なんていうセクハラ行為が横行したかもしれない。でも・・・あー、そういう心配はいらないな。男性店員ばっかりだ。

冷やしそばアップ

このときの蕎麦については、「蕎麦喰い人種行動観察」「#0624 旭三六屋」で記述している。

クローゼットの中

ああいう料理は、どうひっくり返ってもA級グルメではない。また、珍しい料理でもない。「今食べておかないと後悔する!」ということはないので、食べなくても大丈夫なものだ。それでもついつい食べてしまうのがこの手の料理の魔力だ。で、食べた後「ああ、食べ過ぎた」と後悔するところまでがセットで楽しい。「後悔するのが楽しい」というのは変な話だが、そこまで楽しめる器量を持っていないと、駄目だと思う。

というわけで満腹になって満ち足りた状態で自室に戻った僕だったが、待っていたのはクローゼットに展開された衣類だった。迷彩服やシャツだけでなく、ソックスやらパンツまでもがところ狭しと広げられている。

2時間という制限時間の中では乾燥仕切れなかったので、せめて翌朝までには・・・ということで行った苦肉の策だ。さらに2時間、200円の延長料金を払ってまで洗濯機を使う気にはなれなかったのでこういう状態になっている。難民船みたいで見苦しいが、仕方がない。

ぐったり

クローゼットは鍵をかけられる場所だが、衣類乾燥のために全開状態になっている。そのため、お財布をはじめとする貴重品は、全部枕元に置いて保管することにした。夜中、トイレに行きたくなったときは?・・・一瞬自室を離れるけど、全速力でトイレを往復する!

というわけでおやすみなさい。翌朝起きるときに、頭をゴチンと天井にぶつけませんように。

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