屯田兵になった【北海道ハタケ仕事2】

ネットの支柱作り

とうきび畑に防獣ネットを張るためには、まずネットを張るための杭を地面に打ち込まないといけない。樹脂製の杭をたくさん運び込んで、等間隔に地面に刺していく。

前回5月のときに、しこたま手竹を差してヒイヒイ言わされたものだが、またもや地面に刺す系か!

前回は「攻めの農業」だったのに対し、今回は「守りの農業」。一生懸命ネットを張ったって、とうもろこし自体がおいしくなったり、収穫が早くなるというわけではない。なんだか不毛な気がする。しかし、これをやっておかないと、野性の動物たちはめざとく見つけて作物を食い散らかすのだという。「収穫できなければ意味がない」農業なのだから、守りもしっかり固めなくてはいけない。RPGで、主人公や仲間に高価な武器ばっかり買い与えて、防具をほとんど買わないというのと一緒だ。一撃は強いかもしれないが、相手から一撃食らうとダメージが半端ない。農業の場合、ベホイミとかの回復系呪文など存在しない。「一撃食らう」がその年一年を台無しにしてしまう。むしろ、攻めるよりも守り重視なのかもしれない。

斧

防獣杭を地面深くまで差し込むのはかなり骨が折れる作業だ。

風雨に耐えるだけでなく、場合によっては野獣の意図的な突撃にも耐えなければならない。あっけなく横倒しにされてしまったら、そこから侵入されてすべてがパーになる。なので、「これでもか、これでもか」と杭を入念に大地に食い込ませないといけない。

そこで出てきたのが、斧。

「これでガンガン打ち込め」

といわれるが、さすがにびびった。ずいぶんなまくらになっているようだが、それでもかなりの重量感を伴う刃物だ。ガツーンと打ち込んだ直後にはね返って、顔面直撃なんてことになったら一大事だ。手先がぶれて、杭を素通りしてしまったら、それはそれで足に直撃してやばい。

こういうのは、ひたすら「慣れ」の世界だ。そういえば、僕らってすっかりこうやって腕を振り回したり、重いものを手にしたり、刃物のような危険物を扱う機会ってなくなったな、と思う。頭ではわかっているつもりでも、いざ実物を手にしてみるとちぐはぐ感がある。ああ、都会のひ弱な生活が浸透してしまっているな、とちょっとさびしく感じる。

「鉛筆を削るときくらいは、せめて彫刻刀とか使ってみようか」

支柱作業中

と一瞬思ったが、考えてみれば鉛筆すら使わないんだった。シャーペンばっかり使っていて、鉛筆なんてかれこれ何年触っていないんだろう?

畑の端に一本目の杭を刺したら、そこから等間隔に杭を刺していく。何メートル間隔だったか忘れたが、写真を見ると5メートル間隔くらいだろうか?

杭は高さが2メートルくらいあるので、実際に斧を使って打ち込もうとしても高すぎて無理だった。そりゃそうか、それなりの身長がある杭とネットで動物の侵入をブロックしないと意味がない。結局、斧をブンまわすことはなかった。

支柱が立ったところ

杭をどんどん打ち込んでいく。

身長以上の高さがある杭が、いまや見下ろす位置までめり込んでいる。それだけ、苦労して地面にねじ込んだ証だ。地味に疲れる。しかし端から見ていると、内股になって杭に抱きついて、クネクネしているだけなのであまり格好良いものではない。

「いや~ん」

とアテレコするとちょうどいい。または、

「おしっこ漏れちゃう!漏れちゃう!」

か。

この考えを誰かに伝えたかったが、今回も参加者のほとんどが女性だったのでやめておいた。たぶん、このアイディアに賛意を示してくれる人はいないだろうから。

ネット設置中

杭を打ち終わったところで、ネットを張っていく。杭のフックに網目を引っ掛けていく。

今回のおかでんの格好

ちなみに流れをぶった切るけど今回のおかでんの格好。

今回も迷彩服を持参していたのだけど、さすがに夏に着るには暑かった。「頑丈な作りで、汚れにもへこたれない」ということは、すなわち重くて風通しがあまりよくなくてしんどい。今日は特に雨が降る直前で湿度が高いので、なおさらだ。

結局、上着は着用せず、Tシャツ姿で作業をやっていた。幸い、虫に刺されたりするような危険はなかった。

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